みんなが目指してきた農業は、大きくてやわらかくて甘い野菜や果物を誰よりも早く、たくさん作ること、ではないかと思うし野菜作りの本もたいていそんな立場で書かれている。

・やわらかくて甘い野菜はサラダには向いている。でも煮物には向かないし野菜本来の香り歯ごたえ苦味がない。
大きい野菜を作るためには肥料をたくさん入れ、間引きをし脇芽を摘み取ったりする。
甘い野菜は虫も大好き。歩留まりをあげるためには農薬に頼らざるを得ない。
それに品種も限られてくる。そして同じ品種・同じ味の野菜ばかり出回る。
本当はサラダ向き、煮物向き・・・など料理によってもっといろんな種類が売られててもいいはずなのに。

・消費者はふつう同じ値段なら大きいほうを買う。それで生産者もより大きい野菜を作ろうとする。
そのために一度には食べ切れなくて半分冷蔵庫に入れたり、半分に切った野菜を買ってきたりする。
切っておいておくと野菜や果物は傷む。そして傷んだ野菜をみんな食べる。かぼちゃはもちろんジャガイモもトマトも・・・
わざわざ痛んだ野菜を食べるのでなく一度に一人で食べられるだけの大きさの野菜を食べればいいのにと思うのだけどな。

・誰よりも早く作って高く売るためにはハウスやトンネル栽培をして手間とコストをかける。
でもみんなが早く作ったら結局同じじゃないか、手間だけかかって。
人を抜け駆けして野菜をだまして高く売ろうというその根性がどうにも気に入らない。
一般的には、野菜の種まきは、特に春蒔き野菜は自然の状態よりも1ヶ月以上早い。
そのためになかなか大きくならないし霜にやられたりする。
それで手間をかけてビニールマルチやトンネル栽培をする。
別にそんなに早く作らなくてもいいじゃない・・・といいたくなる。

そこで発想を変えてみる。
小さくて野菜本来の味と香りがするしまった野菜を誰よりも遅く作ろう。
最初から3割は虫にあげると思ったら少々虫にやられてもいいじゃないかと。
こう考えるととっても野菜作りが楽なのだ。
トマトは脇芽を摘み取って1本立ちにする・・・なんてしなくてほったらかしにしておくとミニトマト状の実がいっぱいなる。このほうが病気に強い。
大きいトマトもほしい時は半分くらいの苗は1本立ちにして普通に育てると同じ品種でミニトマトと普通のトマトが収穫できる。
ジャガイモは花を摘み芽柿をする・・・なんてしなかったら小さな芋がいっぱいできる。それでよかったら芽かきなんかする必要は無い。
イチゴはランナーを通路側にそろえて植える・・・なんてことは何千本と植えるイチゴ農家がやることで何十本かしか作っていない時はぜんぜん気にすることは無い。
要するに無茶な言い方をすると野菜の本に書いてあることを守らないでほったらかしにしておいたらいい。
そして手抜きをすることによって生産コストを下げられるのではないか。
野菜作りはせいぜい65歳までと聞いたとき、65歳からできる農業をしてみようと思った。
定年退職をしてから田舎暮らしを始める人にもできる農業を。
そのためには自然のサイクルにあった野菜作りを無理しないでやることではないかと。
売ることを考えなかったらこれくらい楽しいことは無い。

定年退職をして旅行や趣味に明け暮れる人たちに言いたい。
田舎に来て自給自足を始めたら?
自分たちで食べる野菜ぐらい自分たちで作ったら?
遊んでいるということはそれだけ若い人たちに負担をかけているんだよ。
田舎暮らしをして米や野菜を作ったら?
余った野菜を売ったり都会の子供や友達に送ったら、
みんながそんなことをしたら日本の食糧自給率はもっと上がるよ。