
今年は戦後61年だって。こぐのおじいちゃんは、戦争に行って戻ってこなかった。
だから、こぐのお父さんは、自分のお父さんの記憶がないんだってさ。
こぐも、もちろん戦争には行ったことがないんだけど、
戦時下は体験したことがある。
初めて乗った船がペルシャ湾に就航していたから。
1990年の秋だったかな。
インド洋からペルシャ湾の入り口(ホルムズ海峡っていうのがあるんだ)にかけては、
NATO軍なんかの、軍艦だらけだったよ。
湾内に入ると上空をミサイルが飛んでいったりして、すごい怖かった。
こぐは卒論で日本商船隊とイランイラク戦争の背景について書いたんだけど、
まさか自分が体験する羽目になるとは思わなかったし。
こぐの乗っている船は便宜置籍船っていって、外国籍だったんだけど、
乗っているのは日本人だった。
世界中のルールで、二つの国の旗を掲げている船は、
どこの国の船ともみなさない、ってことになっているから、
本当は日本の旗を揚げることはできなかったんだ。
でも、打たれてからじゃ遅いから、甲板の上に日の丸を描いていたよ。
今考えると、当時のイラクはフセインのイラクだったから、
むしろどこの国でもないという名目で、西の大国と仲良い日本を、
狙い撃ちにするチャンスを与えてしまうところだったかもしれないね。
どんな理由であれ、正しい戦争っていうのは、ないんだろうなぁ。
戦争が外交の延長戦にあるのなら、下手な外交のツケを、
子供に払わせるようなまねをしたら、大人は、親は失格だな・・・。