友がいま、ながく、病院のベッドで天井を見上げる生活を、おくっている。
病院の天井のつまらなさは、私もよく知っているけれど、病院の天井のつまらなさは、
そこに、なかなか明日が見えてこないことだ。
ただの真っ白い壁ならば、そこに希望を想い描くこともできるけれど、
病院の天井は、なぜかいつになったら、私は青い空を見ることができるのだろうかという、
あせりに似た苛立ちをかきたててしまうのだ。
病院のベッドで白い天井を見つめるということは、明日を失うことなので、
私はどうか病院の天井ではなく、窓から見える美しい青空を、もう一度じっくりと、
眺めてほしいとおもう。
私が病院の白い天井をみるのをやめて、窓からわずかに見える青空に、視線をうつしたとき、
少しずつ明日がみえるような気になったことを、一番覚えているから。
病院の白い天井でなく、窓から見えるほんのわずかな青空に、また明日の希望を見てほしい。
(白石さきこ 2023.12.08)