わたしの手をとって、横に動かしてごらんなさいというひとがいる。

わたしのゆびは、手を添えてもらわないと、まったく思い通りにはうごかないけれど、

 

手を添えてもらって、わたしのかすかな動きを読みとってもらえれば、わたしの指は横にすっとうごく。

でも、わたしが読みとってほしいのは、その動きが、わたしの心だということ。

 

たった一本の線を読みとってもらえただけで、わたしの心は、すべて伝わったような気持ちになった。

(白石さきこ 2024.03.30)