「リスペクト」という言葉の響きがあまり好きではない。一時期、巷で流行りすぎたような、耳にし過ぎたような、それで鼻白んだような。好きではないのだが、でも「尊敬する」と言う(書く)のは何かしら仰々しいきらいもあって、ストンと収まらない感じがする。
 
 とある講習で約一年お世話になったK先生、まさに熱烈リスペクトである(あーあ、使ってしもた)。そのK先生との話の中で、やはりここは攀っておいた方が良い~人格者のK先生は絶対に必要とかは言わない。ステップアップの道筋として「例えば」という風におっしゃっていた~ルートの一つに挙げていたのが二子山中央稜。ショートロープのトレーニングに二子山へ昨年初めて来たときに名前だけは聞いていた。
 
 今夏に縁あってMさんの知己を得る。世の中すごくないやつはたくさんいるけどすごい方もこれまたたくさんいらっしゃる。Mさんはすごい方。10月末のとある沢で二人して雨に濡れ、冷たい沢水に浸かり、久しぶりにうっすらと身の危険を感じた山行(沢行?)の帰り道、二子山中央稜に同行してもらえないかお願いする。運よく快諾(たぶん)。カムの類もMさんの新しいヤツを使わせてもらえることに、私の所有する某棒カムなどはもはや骨董品かも。「一番大きいヤツがいるみたいですよ」とのS嬢から聞いた話を伝えると、まさに大時計の振り子のようなでかいカムが車から出てきた(写真撮っときゃよかった)。
 
 高い所は大の苦手である。
 
 薄っ被りでふんづまってもがいているとぞわぞわと恐ろしさがこみ上げてくる。セカンドでロープを張ってもらっているので実質数10センチしか落ちることはない~もはや「落ちる」ではなく「下がる」くらいが日本語としては正しかろう~のではあるのだがその位置(高さ、露出感)で身体をずり上げられるか?課題である、再確認である。そのグレードならば絶対に攀れるという自信なり確信なりを持ち得ていないとただただ怖いだけなのである。コロナ自粛にかこつけて肥えている場合ではないのである。ちなみにあまり尊敬していない、でも毎日のようにボルダリングジムに通っているというその点だけはすごいN先生曰く、「5キロ痩せると一つ上のグレードが攀れる!」とか。あまり尊敬していないN先生の話なんで「フーン」ではあるのだが。
 
 韮崎に「ステップ」というジムがあったころに何回か行って以来、インドアクライミングにはご無沙汰なのである。大昔じゃん。Mさんに日々の練習を如何にしているかと尋ねると、いろいろある中の一つがインドアのボルダリングで、引き出しが増えるという。
 
 さて中央稜、下山というか下降が冷や汗ジャージャーの難路!行きのドライブ中、Mさんが「中央稜って下山が一番おっかねーんだよ」と言っていたのを聞いて、はて?。前回ショートロープの練習に来た時にはそこまでひどくはなかったけど??
 
 いざ下る段になって、いやはやこりゃおっかねえ!何度ロープを出そうかと!(そしてそこここにピカピカ光る新しい支点が)。Mさんが同ルート下降が良くねえ?と複数回言っていたのがが今更ながらよーくわかる(おせえ)。おかしいなあと思う余裕なくへーへーほーほーの体でようやく傾斜が落ちるあたりに着く。着いてみるともう一つ迂回路があることに気付いた、そうだよなあー。
 
 帰りのドライブで久しぶりにグーグル先生にやらかされる。