眉毛25本、上まつ毛2本、下まつ毛0本。

いま残っている左目周囲の毛の本数だ。
右目はこれより少し多いが、左と同じくスッキリしたものだ。

目を閉じるとまぶたとまぶたがピタッとくっついて
目を開けるとくっついていたまぶたがはがれる感触を味わうことになる。
毛がある時にはない感触だ。

目のまわりを拭いていて、今朝気付いた。

まつ毛が生えはじめている。
一直線にきれいに…ではないところにやや不満は残るが、早い。

こんなにも早く、生えるところには生えるもんなんだな。
 
 
焦るな。
今じゃない。
時が来るのを待て。
それが今のあたしがすべきこと。


思うように動かない体。
できていたことが、できなくなっている自分。
けど治療が終われば動けるようになるのだから、その時にはゆっくり焦らず取り戻せばいい。
だから…。

焦り苛立つ自分を、これまで何度そうしてなだめてきただろう。


そして、その時は来た。
ストップをかけていた自分を解き放ち、約束どおり、ゆっくり焦らず取り戻す。

予定だった。



もとの生活に戻らないのは、むしろ不健康。
これまでの治療は、もとの生活に戻すための治療だ。
いつまでも病人のようではいけない。


抗がん剤治療を終えた翌週、症状がまだまだ残っているというのに、主治医からピシャリとこう言われたのだ。


病気利得という言葉がある。
そんなものにすがるつもりは、さらさらない。


治療が終わってもあるもんはまだあるわけで(骨髄抑制に伴う症状)、なくなれば動きたいし、むしろまだ残っとることに焦っとんじゃ!このボケが!


言われた直後、いや、その後3日間ぐらいはその言葉にとらわれて、とにかくイライラしていた。


あの時の症状がすっかりなくなった今、主治医の言葉を思い返すと素直にありがたいなぁと思う。

「しっかりやってやったんだから、甘えてんじゃねぇぞ。」

甘えや弱気がひょっこり顔を出した時には、主治医の喝を支えにがんばろうと思う。


ただし、あの時の自分との約束は最優先で。

「ゆっくり焦らず、取り戻せばいい。」
 
 
3月4日の血液検査の結果。
※赤血球213万L→293万L
※ヘモグロビン7.8L→10.4L
※白血球1700L→2700L
※好中球799L→1728
※血小板8万7千L→34万1千

貧血はまだあるものの、動悸はなくなったし顔色も良い。
白血球もまだ低いけど、気になる症状はないし数値的にも回復している。
お刺身やお寿司など、生ものも許可が出た。


そして、気になっていたPET-CT検査の結果。
※再発なし、リンパ節転移なし、遠隔転移なし
※少量腹水

異常なしということで、今後は3ヶ月ペースで経過観察となった。

PET-CT検査は今回が最後で良いでしょう。
以降は半年ごとのCT検査でいきましょう。

そう言ってくれた主治医は転勤が決まり、次回5月の診察は後任の先生に診てもらうことになる。
主治医がかわるのは不安だけど、大きな病院では良い先生ほど異動があるもの。
ここまでしっかり診てもらったのだから、あたしもがんばろう!


副作用で気になっていた症状がほぼなくなった今、体力を戻すべく少しずつ動いていこうと考えている。
そこで気になるのが、術後のキズの突っ張り感だ。

もう半年になるのだから普通に過ごせそうなものだけど、いざ背筋を伸ばしたり腹筋に力を入れたりするとどうも突っ張る。
主治医によると、開かないようにかなり引っ張って縫い合わせているので突っ張る感じが残っているのかもしれない。
けど、そのうち気にならなくなってくるし、腹筋やストレッチも自由にして良いということだった。

突っ張り感にもそのうち慣れると信じて構わず動くようにしているものの、まだまだくしゃみをしたり腹圧をかけたりすると腹筋がつる。
なかなかの恐怖だ。

あとはしびれ。
足の指が膨張しているような感覚としびれ、手の指先のしびれが常にある。
お風呂あがりや歩く時間が長くなった時など、温まると足のしびれは増強する。
一方、手の指先のしびれはパソコン操作が億劫な程度は常にあり、冷えるとピリッと電気が走る。

これについては、なくなるまでに長い時間がかかるらしい。
気候に左右されて症状が出るなど、残ってしまうこともあるというから、うまく付き合っていくしかないのかなと思っている。

誰が見ても一目瞭然なものが残っていた。全身の脱毛。
頭についてはショートカット程度になるまで半年、スポーツ苅り程度になるまで2ヶ月かかるらしい。
意外と早い。
坊主頭になったら、帽子とはさよならしよう。



いろんなことが目まぐるしく変わる季節。
春だなぁ。