桜の花はとうに散って葉は緑を濃くしながら繁り、猫がへんな声で鳴き始めるこの季節。と、俳句みたいな書き出しをしてしまいましたが、私は季節を問わずの衝動によってちょっとお出かけして来ました。いつもどおり、徒歩圏内のコンビニへ。もうちょっと足を延ばせばわりとおいしい洋菓子店があるんですけどね。どうも自分のケーキを買うためだけに入る気になりません。気恥ずかしさがあるわけではなく、時事に合わせて自粛というわけでもなく、ただめんどーに思えてしまうのです。
 今はちょうど、チョコレート菓子を持ち歩くのがぎりぎりの季節かなとも思うのですが。ザッハ・トルテとかたべたいんですけれど。もっと暖かくなったら、溶けないまでも軟らかくなってしまいますから。チョコレートにとって温度管理は重要でして、パティシエはゆるゆるに溶かしてから温度を下げてやや粘度をだして、そこからまた温度を上げることによって舌触りと艶の良い最適なコンディションを作るという面倒で科学的な作業をやってくれています。それをこちら(客)の管理不行き届きのせいで台無しにしてしまったら申し訳ないです。どうだ、ツーだろう。
 というわけでコンビニでチョコバットを買って来ました(ここ、コケるところ)。レジ横に震災義援金の箱があったのでチャリンしました。本当は、今すぐ現地へ行って役所で物資の仕分けボランティアをやるべきなんでしょう。カネが足りなくて支援が進んでいないという状況ではありませんから、どれほどの為になるかと思います。何もできない不甲斐なさを和らげるため、つまり自分のための行動です。ふと今、自衛隊が仕分けをやればいいじゃないかと思いあたりました。余所からのボランティアが自分の寝食を確保して向かうのは難しいです。自衛隊なら可能ですし、彼らは仕事として行えます。市役所職員の手が空いたら、防犯パトロールをやればいいと思います。過去の出来事や流布されているデマから鑑みて、自警団は宜しくないです。被災地では空き巣被害が続出しています。混乱に乗じ弱みにつけこんで、人でなしですね。満員電車の痴漢や、女性社員の妊娠に乗じてボディタッチしたがる気色わるいハラスメント上司みたいなもんです。さわさわとさすりながら、ガンバレなんて言うんでしょう。そういえば、TVをほとんど見ないからかもしれないけれど、まったく被害にあっていない輩が被災者にむかって「ガンバレ!」と言ってイイ気になるムードがないような気がします。メディアがその面では自省したのでしょうか、被害規模の問題なのかな。
 長々と申し訳ありません。そろそろ終わりとしたいんですけれど、付け加えておかなければいけないことがあります。チョコバットはおいしかったです。きっと味気ないだろうと予測していました、予測に反してなかなかでした。ゴミ箱の外装を拾ってみたら、「パティシエ辻口博啓氏監修 私のチョコバット」「ラズベリー&ナッツとダブルち・よ・こ・れ・い・と」。ちょっといいチョコバットだったようです。レシートを確認したら、税込72円。もともとは10円だっけ? いつものC級スイーツが、ちょっとBへ足を掛けています。チョコとナッツの相性の良さは常識ですけれど、酸味のあるフルーツも合うんですよね。ザッハ・トルテのあんずジャムと同じ効果を醸していましたょ。
 まっ、そういうわけで、甘いのが苦手じゃない人はコンビニへ行ってチョコバットを買って募金箱へ百円玉を入れましょう。28円分、利己より利他が上回ります。