私は酔い潰れて眠っていました。
そして朝が来ました。
目覚めは一本の電話でした。
電話の相手は病院でした。
妻の様態が急変したとの事でした。
緊急手術になるので直ぐに病院に来て欲しいと言われました。
私は二日酔いの体で直ぐに病院に向かいました。
私が病院に着くと直ぐに先生から説明が有りました。
胎児の心音が低下してきている。帝王切開で出さないと胎児が亡くなってしまいます。
私は手術を了承し契約書にサインしました。
そして先生から「お父さん、もしもの事を想定してお聞きします。お子さんと奥さん、どちらかしか助ける事が出来ない場合はどちらを優先しますか?」
私は迷わず妻の命を助けて下さいと答えました。
それから、手術の準備が始まりました。
家を出る際に義父に連絡していたので病院には妻の家族とうちの子供たちが来ていました。
私は状況をみんなに説明し妻の手術を待ちました。
しばらくすると妻がオペ室に運ばれました。
妻はみんなに心配させまいと明るく振る舞っていた様な気がします。
手術は結構、長時間だった気がします。
子供たちを和ます為か義兄が腹が減ったんで何か買いに行こうと義姉に言っていたのを覚えています。
私はその言葉がやたら気に障ってイライラしたのですが、それどころではなく、手術室から戻らない妻の事が心配でした。
私は、どちらかと言えばワガママで何でも自分がやった気満々の男でした。
平日の休みの日には建設関係のアルバイトに行ったりしては、勿体ぶって妻にバイト代の一部を渡したりする事も有りました。
私のお陰でお前たちはお金が貰えるんだぞ‼と言わんばかりの態度を取ったことも有りました。
しかし、こんな事になって初めて気付かされました。
私は何にも一人では出来ていないことに・・・。
その建設関係のアルバイトも元はと言えば妻のママ友からの紹介でした。
会社だってそうです。
私が一人で働いているように思っていただけで、妻が家の事を支えてくれていたから何も思わず仕事が出来ていただけだったんです。
私は本当にちっぽけな情けない男です。
こんな事にならなかったら、そんな当たり前で、そんな大事な事すら分からないのだから。
私は、その想いが我慢出来ずに義父に伝えました。
そして私は自分の馬鹿さ加減が嫌になりました。
この時、心から妻の無事を祈りました。
妻が元気になったら本当に大切にしようと心から思えました。
もう父の時の様な気持ちにはなりたく有りませんでした。
例え誰かに恨まれてでも、妻を助けたいと思いました。
まだ見ぬ子供より私には、否、私たちには妻が必要だったのです。
私はそう判断しました。

それから、どれくらい経ったでしょうか。
手術室の扉が開きました。

続く