悦に入っております | 龍馬と夢紀行

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紹介するのがかなり遅れてしまいましたが、

過日、馴染みの画廊で一幅の掛軸が売りに出されました。

 

その画像を目にして自分の中で情動が巻き起こり、

そんな情動がすぐさま行動に結びついて画廊店主に連絡を入れ、

久しぶりに戦国武将の書状を手に入れることができました。

 

書状の主は、細川幽斎の長男として生まれ、

明智光秀の娘・ガラシャを妻とした智勇兼備の武将・細川忠興です。

 

本能寺の変に際しては、妻・ガラシャを幽閉し、

関ヶ原の戦いでは、岡山烽火場の麓に布陣して

黒田・竹中隊とともに笹尾山の石田隊を壊滅に追い込む活躍ぶりを発揮。

 

戦後、豊前国と豊後二郡三九万石を与えられ中津城に入りました。

茶の湯にも通じ、千利休門下七哲のひとりに数えられた武将です。

 

さて、今回手に入れた忠興の書状をご覧に入れましょう。

残念ながら宛先は不明ですが、内容は以下のとおりです。

【原文】

已上

御撚(おんひねり)又返事何(いずれ)も拝見申し候 

駿府衆 御出(おいで)ニ付御隙入 申し候由尤存じ候今 

今夕 御夜詰中へ御出候ハん由貫待申し候 

上州二少し申度事御座候

恐々謹言  正月十九日       

【訳文】

祝儀また返事いずれも拝見しました。

駿府衆がお出ででお忙しいとのこともっともに存じます。

今夕、夜詰中お待ちしております。

上州に少し申し伝えたいことがございます。

 

書面に「駿府衆」という見慣れない表記がありましたので、

先月、弊社の戦国監修者にお会いいした際にこの件を訊ねてみると、

大御所政治を駿府で行っていた家康の取巻きを指す言葉として、

聞きなれない用語ながらあり得る表現ではないかとのこと。

 

良いものを手に入れることができたと、ひとり悦に入っております。