少し煩雑な「幕末用語」
幕末期に諸外国が押し寄せて幕府の支配体制が揺らぎ始めると、
日本社会のあり方に大きな変化がもたらされました。
それにより様々な考え方による思想が生まれ、
こうした多様な思想が次第に混沌とした時代を動かしていきました。
しかしながら、歴史の幕末嫌いの要因の一つに挙げられるのが、
こうした思想に関する煩雑な幕末用語となるのです。
例えば「攘夷」絡みの用語だけをとってみても、
諸外国の日本への進出を排撃しようとする「攘夷論」から、
その攘夷論と尊王論が結合した幕末特有の政治思想で、
天皇中心の国を作って外敵を打ち払うという「尊王攘夷論」。
さらに無勅許で諸外国と締結した通商条約を一方的に破棄し、
外国人や外国船を襲撃や攻撃を辞さないという「小攘夷」や、
現状で国力が違う西欧列強と無謀な攘夷を行わず、
まずは開国して貿易を盛んにして国力を蓄えてから
外国の干渉を撥ねのけようとした考え方の「大攘夷」。
そして、「小攘夷」と同じような「即時攘夷」や、
同じく「大攘夷」には「未来攘夷」なる類似用語なども存在し、
これらが「攘夷論」や「尊王攘夷論」を思想する人々と絡み合っていき、
なおかつ敵味方という区分まで細かに設定されていく場合もあります。
また、加えて「公武合体論」「佐幕論」「開国論」「広議政体論」など。
折に触れて家内からもよく訊ねられるのですが、
その後にテレビなどで幕末に関する内容が放送され思想用語が飛び出すと、
また同じ質問がループのように繰り返されます。
これらを難解のまま終わらせるのではなく、
もっとわかりやすくできれば、幕末ファンが増えそうな感じがするのです。