幕末期の藩邸の面影 | 龍馬と夢紀行

幕末期の藩邸の面影

今日も引き続き今回購入した泥絵に関して書きたいと思います。

今回購入した「霞ヶ関」と題した泥絵に描かれた光景は、

当時ライバル関係にあった黒田家と浅野家の上屋敷、

さらには両上屋敷の間には霞ヶ関坂が描かれています。

 

対抗心がめらめらしたのか、

黒田家の黒い海鼠壁に対して浅野家はひときわ目を引く朱色の門。

ちなみに朱色の門(赤門)は、

将軍家の息女を奥方に迎えた格式高い大名家の証左でもあります。

 

そして霞ヶ関坂は、見晴らしの良い坂だったこともあり、

江戸霞ヶ関の名所とされ、多くの錦絵が残されています。

そんなところを余すことなく忠実に描いた泥絵です。

 

左側に描かれた黒田家は、

現在の千代田区霞が関2丁目2番の外務省庁舎の位置あたり。

 

明治政府は霞ヶ関、大手町、丸の内などの大名藩邸を接収し、

官庁街や軍事施設として転換利用することにします。

 

明治3年(1871)創設されたばかりの外務省も、

銀座から移転して黒田家をそのまま使用して初代庁舎に。

明治10年(1877)に消失してしまいますが、

現在も外務省外周には当時の石垣などが残っているそうです。
 

こうして泥絵の内容を見ていくと、

幕末期の藩邸の面影を感じ取ることができ、興味深いものに映るのです。