多くの人がそうであるように、音楽がないと生きていけない人間です。たぶん。

 

 

これまできちんと楽器を習ったことがなく、それだけは大きな後悔。

 

趣味程度であれば今でも十分間に合いますが、まだ気が向いていないのでしょうか。

 

聞く専門の40年間です。

 

 

小さい頃から何でも聞きますが、最初は車の中で親が流している歌謡曲。

PUFFYのアジアの純真とか、荻野目洋子をやけに覚えている。

 

クラシックのテープレコーダーも良く流れていたため、主にチャイコフスキー。

「1812年 序曲」は前の席に座って操作して、何度も何度も巻き戻して聴いていました。

 

それからスーファミ世代ど真ん中ですから、ゲームのサウンドトラックも買い集め。

スクエアのRPG音楽はほぼ持っていたんじゃないかな。

 

 

 

それで、自分がはじめて買ってもらったCDがチャイコフスキーのくるみ割り人形。

(?スラムダンクのオープニングかも 縦長のマキシシングル 懐かしい)

 

自分で買ったはじめてのCDがファイナルファンタジーⅤのサウンドトラックであったことは今でもしっかり覚えています。

 

 

 

そんな調子が続いて中学、高校時代はほとんどゲームのサウンドトラックか、母に買ってもらったクラシックCD(コンピレーションアルバム的な)を聞いていましたので、カラオケは嫌い(というか歌える曲がない)でした。

SMAPもGLAYもサザンも歌えない。

君は何が歌えるの?

 

辛い時間でしたね笑

 

 

 

その反動なのか、大学に進むとZIP FMなどのラジオリスナーになったことも影響し、邦楽、洋楽、クラブミュージックをこよなく愛するようになりました。

 

ユーロビート、トランス。

 

今でもトランスを聞くと、何故か心が穏やか(?)になります。

 

ぶっ飛ぶ系のジャンルなのに。

 

 

ラップ、レゲエ、ボサノヴァも流行った時代。

 

音楽ってかっこ良い。

 

ソニーウォークマンから、ipodへ。

 

ドライブにも、勉強にも馴染む音楽を求めて。

 

音楽ジャンルの視野を広げてくれたのは、ZIP FMと、医学部の学友ということになるでしょう。

 

 

挙げ句、上級生になると授業をさぼって一人カラオケに行くほどのカラオケ好きに。

 

まったく、人生何が起こるかわかりません。

 

 

 

学生を終えて医者になっても音楽の幅広い嗜好は変わりませんが、

 

何故か、ふとクラシックの比重が重みを増してゆきます。

 

 

 

大人になってようやくと、作曲家自身や、オケの楽団。

 

指揮者などにも興味が持てるようになり、男の子特有の網羅欲が爆発。

 

 

さまざま調べてCDを聴き漁り、youtubeで聞き比べ、年2回くらいは愛知県の芸文に聴きに行く(自分のお金で聴きにいける)ようになりました。

 

 

 

また他方で、コーヒー、お酒好き→カフェ、BAR→ジャズが好きになる。

の流れも加速し、30代を過ぎてからは圧倒的にクラシックとジャズを聴く頻度が増加。

 

 

祖父と父が比較的オペラ好きだったこともあり、古いレコードはすべて譲り受けてオペラも聴くようになりました。

 

 

結局、何でも聴く雑食種になった訳ですが、その時の時間、場所、雰囲気、自分の行動、気持ちに合わせて音楽を選べるようになったのは、楽しい。

 

 

 

もちろん、ランダムに聴いたり、新たな発見も欲しいですし、

何も考えずにBGMが欲しいときもある。

 

 

けれど、自分で決めて選べることにも特有の喜びがあります。

 

 

 

そうなって来るとamazonミュージックは便利でとてもとても感謝しています。

 

 

が、自分でジャケットを選んでCDをかけたり、レコードを出してしまって手入れするという一手間も、なんだか手放し難いのです。

 

 

きっと、いつか当たり前と勘違いさせられた便利は改悪され、料金が上がるか、選べる種類が限られてしまう可能性も高いでしょう。わかっています。

 

 

まだアナログも捨てきれない。

 

 

手に取ってジャケットも楽しみたいのです。

 

 

「そこ」に「それ」がある、という感覚も、いとおしい。

 

 

 

しかし、音楽というものは、

作曲者が一生懸命にあーでもない、こーでもないと書いて、演奏家、あるいは歌手が一生懸命に練習して奏でて、それをプロデュース、録音する手間もあって。

 

それだけ手のかかったものを、自分ひとりでぼーっと聴ける幸せ。

 

 

ブラームスの第一番なんて20年かかっていますからね。

 

ぼーっと聴いてすみません。

 

でも、ぼーっと聴かせて下さい。

 

 

 

とある昼下がりに、久屋大通のカフェテラスで新緑を眺めながら、タコライスとコーヒーを味わっていると。

 

ふと、爽やかな風と、ノラジョーンズが流れてきました。

 

ああ、やっぱり音楽は大切だなあと、つねづね思う、今日この頃です。

 

 

 

富永 隆史