2023年は猛暑だった。
神奈川県でも連日の35度超え。
ゆだるような暑さが続くこの頃に、主人が突然日中の散歩を再開しだした。
引っ越し前は毎日ように散歩や電車とバスに乗って言っていた駅の喫煙所巡りが、引っ越しを機にピタッと止んでいたのいたのだが突然に再開したのである。
しかも一番暑い午後2時くらいに出歩く。
更に長袖シャツの上に薄めのセーターを着て。
主人は昔から半袖は着ない。
夏でも長袖のシャツを着る人だった。
しかしさすがに真夏はシャツだけでサマーセーターもサマージャケットも着なかったのに、この夏は薄めのセーターを必ず着る。
しかもシャツもセーターもズボンも毎日同じもの。
何度も「違うの着たら?」「暑いからセーターはやめなよ」と言っても聞かない。
暑いのにマスクもして毎日出かけていた。
ある日、洗面所を見ると、あちこちに茶色のシミがあった。
洗面台の蛇口のところ、石鹸箱、洗面台の淵、鏡、壁、洗面台の横に置いてある予備の洗剤を入れてある棚にまで飛び散っていた。
そして排水溝が詰まっていた。
「何だろう?」と思い主人に「洗面台で何かした?」と聞くと「知らない」と言う。
おかしいな、と思いつつ掃除をし、もう一度「洗面台が汚れていたけどどうしたの?」と聞くと、
「散歩から帰ったら急に気持ち悪くなって吐いちゃった」と言うではないか。
トイレではなく洗面所で?しかも掃除もせず?
それを黙っていたの??
おそらく熱中症になりかけていたのだろうが、今までの主人だったら考えられないことだった。
幸い体調が悪くなることはなかったが、私の胸の中に不安が広がったのを覚えている。