母のマンションは築年数が古く、部屋の手入れや掃除も行き届いていないため、
そのまま住むのは無理だった。
また母の物もそのほとんどを処分しなくてはならない。
不用品処分とリフォームの手配をし、その間に引っ越しの準備を進めていった。
幸い仕事がフルリモートのため、時間のやりくりはオフィスに出社しているときよりも格段に楽だった。
とはいえ正社員で仕事のボリュームも多く、母の施設へも行かなければならないのでなかなか大変ではあったが・・・。
主人はものの見事に何も手伝わない。
手続き関係なども疎く、銀行口座の管理すらやらない人だ。
それこそスマホは持っているがLINEとYouTubeを見るだけ。
iPadもゲームでしか使わない。
インターネットもできない、いわゆる「情弱(情報弱者)」。
年代的には違うとはいえ、仕事上デジタルネイティブの私とは真逆にいる人。
家事も得意ではなく、洗濯機の使い方すら分からない、というか覚える気がない人。
それでも過去の引っ越しのときは進んで荷造りを手伝ってくれたのだが、今回は本当に何もしなかった。
唯一、引っ越し作業で出たゴミ捨てを手伝ってくれるだけだった。
そして2023年5月末に無事にリフォームが終わり、買い替えた新しい家具や家電が搬入されたので、愛猫を新居に慣らすために一緒に身体だけ先に引っ越すことにした。
買い替えなかった大物家具や家電は、一週間後の本格的な引っ越しのときに移すが、
既にベッド、冷蔵庫、洗濯機、その他こまごまとした備品類は新調していたのですぐに住める状態だったからである。
そしてそのためには一週間分の着替えや、私の仕事用のPCやデスク、愛猫のグッズなどを運ぶ必要がある。
また引っ越し本番までに役所関係も済ませておきたかった。
数日かけて車で荷物を運んだり、役所に行ったりしたのだが、
このときくらいから、主人は約束を忘れる、出かける時間を守らないことが格段に増えていった。
愛猫の病院の時間を守らないことが既に多くなっていたので「またか」という気持ちではあったが、それにしても出かける予定時間を1時間以上過ぎることが増え、
しかもそれを全く悪びれない、荷物を運んでいる途中で「もう終わりだよね」と帰ろうとすることが多々あった。
その都度、私はイラつき、怒り、「なんでお願いをきいてくれないの?」「いやがらせなの?」「本当は引っ越しが嫌なの?それとも本当は私と離婚したいの?」と詰め寄ってしまうこともあった。
文章にすると「こんなことで?」と思うかもしれないが、
「多忙な中で私一人で引っ越しの準備などを全て行い、お金の工面もしいているのに、なんでこれくらいのことを手伝ってくれないの!?」と主人に対して不信感が募ってしまったのだ。
そんな風に私がキレるたび、主人は知らん顔をして横を向き、車の窓から外を見て
「あ、ワンコの散歩だ」「おお、小さい子が自転車に乗ってる」と意味のないことを言っていた。
それがまた私の怒りを増幅させるのだが、主人はまったく気にしていない様子だった。