著者は高倉健の養女の小田貴月(おだたか)
p61
「朝は、自分で珈琲を淹れる。スポーツジムに行って、フルーツジュースにしてもらって飲んだり、腹が減って我慢できなければ、カロリーメイトをつまむ。」
あとは、プロテインとサプリメント。食事らしいのは、夕食だけ。
中華は好き。他には、ステーキを食べに行くことが多いかな。ジムで猛烈に鍛えてるときは、肉だけで300グラム以上。夕食で1日分のカロリーを摂ってたね」
これが、私が出逢ったときに聞かされた、高倉の食生活でした。自宅のキッチンの棚や化粧室の薬棚には、サプリメントや薬瓶がまるで調剤薬局のように整然とならべられていて、高倉の几帳面な性格があらわれていました。
「僕は、フリーになってから、一時期サプリメントに凝って凝って、店を出そうかと真剣に動いたことがあったんだ。しょっちゅうロスを行き来してた時、向こうのジムで勧められたサプリメントを、自分でも運動しながら試してみて、持久力というか、疲労感の違いがわかったんで、これからの日本を変えられるかもって、具体的に出店場所を絞りこむところまで進めたよ。もしあの時始めてたら、あの業界じゃかなりの先駆けだったね。」
サプリメント以外に、医薬品にも詳しく、「鉄道員」のスタッフが熱を出したらアドビル(解熱鎮痛薬)を出してあげたそうだ。
ロケ前に持参する薬リストには、花粉症には抗ヒスタミン剤ベナドリル、切り傷、火傷は軟膏ネオスポリン、うがい薬、鼻洗浄剤、水が使えない時に備えてトリゾンフォームやウエルパス(速乾性擦式手指消毒剤)などが含まれていた
他に、フランス製のエクストラクターという、蜂に刺された時に毒を吸い出す簡易キットはアウトドア雑誌で見つけてすぐに取り寄せたという。
高倉健にとって、パンのイーストは「海の向こう」の匂いであり、パン屋から漂うイーストの匂いは平和のイメージだという。
p71
別荘を持つなら、近くに美味しいパン屋さんがあったらいいな。そこに毎日焼き立てを買いに行けるって夢見るんだよ。
高倉がこだわったラッセルホブスのポップアップ式トースターで、ほんのり焼き色のついたトーストに仕上げ、オリーブオイルや蜂蜜、数種類のフルーツジャムを添えました。
食パンは齧ったときにあまりもちもちせず、サクッと音がする食感が好み。
ちなみに健さんは上野毛にあるキャッスルというパン屋さんに通っていたらしい。
キャッスル (CASTLE) - 上野毛/パン [食べログ]
リドリー・スコットが健さんが亡くなった時にこんなコメントを寄せたそうな。
p266
「ブラックレインの撮影中、疲労困憊の時、ケンが差し入れてくれた小さな小さな黒い薬がとっても効いたので、名前は覚えてないんだけど、帰国するときまとめ買いしたら、とても高価でびっくりした」
どうやら黒い薬の正体は”求心”らしい。
”薬屋健さん”らしいエピソードだ。
p67
肉食第一主義で、魚類はなくてもかまわない
(外食の寿司は例外)
p81
週7日の肉の内訳は、鶏、鴨、豚、牛、ラム、牛、豚と、できるだけ偏らないよう、かつ他の献立との相性も考えました。
晩年はステーキを100〜150グラムほど用意することが増えました。
長年加熱調理した料理や、夏でも常温や温かい飲み物にこだわったのは、腸のバランスを保ち体調を維持するためであったという。
他にはこんなエピソードも。
ドイツのヴィッテンベルグという町で泊まった宿の階段踊り場にかかっていた、レンブラント工房作の「黄金の兜の男」をひと目で気に入り、画家の到津伸子氏にすすめられてウィルヘルム・コーバーという模写専門の画家に描いてもらったという。
「ここにあるいくつかは古すぎてもう買えないと思うよ。籐で編んであるこれ(Antonio Puig Aqua Lavendo)とかこれ(St.Johns Indian Gold)きれいでしょ。見てるだけでもいい。」