9月2日、四国電力が伊方原発の使用済み核燃料を保管するため敷地内で設置を目指す「乾式貯蔵施設」について考える講演会が行われました。1日には八幡浜市の「ゆめみかん」で、2日には松山市の「コムズ」で行われました。
四電が5月に、乾式貯蔵について、2023年度の施設の運用開始を目指し、国の原子力規制委員会に原子炉設置変更許可を申請。安全協定に基づき県と伊方町に事前協議を申し入れています。
「施設は伊方3号機の長期運転に必要な使用済み核燃料プールの容量不足を補うためで、安全確保とは無関係だ」とのことでした。
乾式貯蔵は核燃料プールを空けるためのもので、どちらで保存されてもその危険性は変わらないそうです。
長沢先生は、「乾式貯蔵の狙いは安全性ではなく、3号機の燃料交換のためプールに空き容量が必要なだけ」と強調。「乾式貯蔵できるのはプールで十分に冷却した後の使用済み核燃料で、その段階で乾式貯蔵とプール貯蔵で重大事故のリスクに差はない」と説明しました。
むしろ「乾式貯蔵を認めると、プール内は絶えず崩壊熱の高い使用済み核燃料で満たされ、リスクは高止まりになる」と、危険性が常に高どまりすることを示唆しました。
乾式貯蔵は崩壊熱が高い間はできず、プール貯蔵で冷やし続けるしかありません。
十分に冷やされた核燃料(現在長期稼働していないようなもの)であれば、乾式貯蔵でリスクは増大まではしないが、地震等によるリスクがけっして軽減されるようなものではないそうです。
また乾式貯蔵では、燃料の装荷・搬出・設置・管理にあらたな労働者被曝がともなうことも指摘されました。さらに伊方3号機はMOX燃料を使用しています。
プールも乾式貯蔵も長期的課題として、50~100年しか持たない。一方で使用済み核燃料の放射能は5千兆Bq/tUから100年後に1/10、千年後に1/400にしか下がらないそうです。
核のゴミ処分地、深地層処分は見えなくするだけ。地震・火山列島の日本に「科学的有望地」などありえないとも指摘されています。
そして、 全国の原発で使用済み核燃料の行き先がない現状も解説され、「現世代の最大の責任は、原発の再稼働を認めないことだ」と訴えました。
安全対策として、解体撤去できない現実があるのだから学ぶべきは、そもそも処理できない、行き場のない大量の放射性廃棄物をこれ以上増やさないことがまず必要、つまり原発を再稼働させないことが重要と指摘され、現実的には「超長期密閉管理」以外に、事実上管理方法はこうならざるをえないとも言われました。

