伊方原発の運転差し止め訴訟で、伊方町から原告になった長生博行さん。裁判所で行った意見陳述を紹介します。伊方町のある佐田岬半島で生まれ育ち、「半島の自然の恵みが住民の恵み」と話す長生さんが、「再稼働反対!」と話すのはなぜでしょうか?「伊方原発をとめる会」の許可をいただいて、陳述書を紹介します。ぜひ読んでください。
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私は
私
しかし、福島の事故を日本国民として体験してしまい、その原発事故の収束のめども立たず、また原因もわからないで再稼動の申請をするとは納得いきません。四電と東電は会社が違うから安全なのでしょうか?福島は東電が運転していたから事故を起こしたのでしょうか?それとも。人智を超えた想定外のことが起きたから事故を起こしたのでしょうか?それなら伊方原発でも想定外のことが起きる可能性は否定できず、安全基準などはありえないことになります。せめて福島の原因究明・事故の収束・環境の復元・住民の期間及び賠償が済んでから運転再開の申請をすべきです。
これまで私は
国内で原発がある地域は、どうして住民が少なく都市から離れているのですか?電力最大消費地に近ければ送電線はあんなにいらないんじゃないですか?安全なら都市に近いところに建ててください。ガソリン・軽油・灯油値上がりしても、車もトラックもバスも飛行機も動いています。どうして、電気料金は特別扱いされるのです。原発の燃料も輸入しなければならないのだから同じではないのですか?私たち
しかし、一度目が覚めたら疑問が次々湧き上がります。今年の4月に
行政では原発事故を想定した避難計画が、作られつつあります。一年一回、愛媛県と連携した訓練があります。私は旧
台風、豪雨による生活道路の復旧作業も幾度も経験しましたが、迅速な避難が必要な原発事故には対応できると思えません。その上、現在では、地元建設会社も減少し、保有重機も少なくなっております。私が勤めていた建設会社も廃業しています。
また、急斜面に暮らす年配者は、迅速に避難できると思いますか?私は消防団員なのですが、地区のお年寄りの迅速な避難誘導は困難です。生活している場所が急斜面で階段が多いからです。私は祖父母の病院への通院時、家から道路まで階段を背負っていました。
また、瀬戸地区・三崎地区からは、伊方原発の近くをすり抜けないと避難できない住民はどうすればいいのですか?船で九州へ避難すると言い続けていますが、津波や地震のときに港湾設備は無事使えますか?冬場の悪天候で、これまで訓練していますか?
私は漁業もしているのですが、時化ている時には漁船での避難は困難です。また、もし避難出来るとしても、その人数も限定されます。フェリーなどの大型船は時化ている時は、着岸が困難です。この事は、私がフェリーの着岸時の綱取の仕事もして経験済みです。南海地震の影響で津波被害も予測されてます。その時港湾設備は使えるのでしょうか?漁船は無事ですか?何事も最悪を想定して、また想定外の自体にも対応できる避難計画を愛媛県、
原発立地の過疎地の住民は言いたくても言えないしがらみがあることをご理解ください。原発のお金を貰っているからです。それで、生活をしているからです。子供や親族がお世話になった人がいるからです。しかし、福島で目が覚めました。駄目なものはどんな理屈をつけてもだめなのです。
私たちが求めているものは、安全な空気と水と大地と海・佐田岬半島からの恵です。そして、子々孫々受け継ぐことのできる佐田岬半島です。一旦伊方原発で重大な事故が起きれば、私たちは故郷を失ってしまいます。そんな危険な原発の運転など、すべきではありません。
意見陳述の最後に、訴えます。美しい佐田岬半島の自然を守るために、また何よりもそこに住んでいる私たち住民の生命と財産を守るために。伊方原発の運転差し止めを求める私たちの訴えを認めてくださるようにお願いします。