「素朴実在論との決別」へ向けて
みなさん、こんにちは。統心です。
11月も半ばに入り、朝夕はひんやりしてきましたね。とはいえ日中は空気が澄んで過ごしやすく、読書や思索にちょうどいい“秋らしい”日が続いています。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、どうぞ温かくしてお過ごしください。
さて、今週末 11月16日(日) に、統心オンライン講演会2025の第4弾ファイナルを開催します。
2025年最後を飾るテーマは、いよいよ核心――
「素朴実在論との決別 ―― 上空思考を捨て、神楽的共生成へ」。
2025年は「位置の転換開始」の年。
2013〜24年の“自己側12年”で育ててきた内的基盤を携え、ここから“他者側12年”――相互了解のフェーズへと本格的に船出するタイミングにあります。
そして今回の講演では、この節目にふさわしく、
現代人がもっとも無自覚に抱え続けている「根っこ」へと切り込んでいきます。
■ なぜ今、「素朴実在論との決別」なのか?
映画『マトリックス』が象徴するように、現代の多くの人々は
「この世は幻想だ」
「世界はシミュレーションかもしれない」
と語ります。イーロン・マスクやボストロムなど、最先端の思想家でさえ同じです。
しかし、問題は“その先”にあります。
彼らはマトリクス(AdS)を疑っても、
その脱出先であるザイオンまでも「素朴実在論」の延長である
ことには、まだ気づけていません。
世界の“舞台”はあらかじめ存在していて、
私たちはそこへ後から登場するプレイヤーに過ぎない――
この無意識の前提こそが「素朴実在論」であり、
悟り・無神論・相対主義・構築主義・スピリチュアルの暴走、
そのすべての“根”であり“戻り先”なのです。
そして、どれほど精巧なAIが生まれようとも、
どれほど深い哲学が語られようとも、
この前提を超えないかぎり、
世界は「意味を取り戻す」地点へ決して到達しません。
※AdS:もともとは物理学の高次元時空モデル(Anti-de Sitter)ですが、ヌーソロジーでは“他者視点空間”として再定義される、最新かつ最先端の概念です。
■ 今回の講演は、“入口”ではなく“出口”です
今回の講演は、初心者にも分かりやすく届けつつ、
現代人が気づかぬまま繰り返してきた「第一覚醒ループ」――
素朴実在論へと巻き戻される循環から抜け出すための“出口” を扱います。
これまで数多の悟り系・ノンデュアリティが語ってきた
「すべては主観である」という目覚めは、たしかに AdS を抜ける第一歩です。
しかし、そのままでは必ず意味の消失へと沈み、
やがて再び素朴実在論へと帰還してしまう。
今回の講演が向かうのは、その“次”――
「わたし」そのものが反転し、
鏡の奥行き=CFTが開く第二覚醒の地点 です。
ここで初めて、
・相対主義やノンデュアリティの限界
・新実在論(ガブリエル/メイヤスー)の失敗点
・AIとLLMが暴いた“自我の虚構”
・Wアローとしての鏡の本質
・身体=ミクロコスモス=自他交差の蝶番
これらが一つの線としてつながり始めます。
そして最後に、
素朴実在論を抜け、
“共生成の世界”へ跳躍するための実践的感覚 を
皆さんと共に見つめたいと思います。
ライブ参加の臨場感は格別です。
オンデマンド視聴もご用意していますので、
当日ご都合の合わない方も安心してご参加ください。
それでは以下に詳細をご案内します。
あなたのご参加を心よりお待ちしています。
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【2025年 川瀬統心オンライン講演会 第4弾ファイナル!】
日時:11/16(日) 14:00~18:00
方法:ZOOMミーティング
費用:3,300円
※オンデマンド視聴可能(約1ヶ月)
※当日参加者も、後日何度でも視聴可能です。
※お申込はこちらのページからどうぞ。
主催:関西ヌーソロジー研究会
武蔵野学院大学ヌーソロジー研究所 特任研究員
川瀬統心(ヌーソロジー研究家・統心哲学提唱者・なかいま自分教ガイド)
2025年 新しい時代の幕開け「位置の転換開始」第4弾
テーマ:「素朴実在論との決別」――上空思考を捨て、神楽的共生成へ
メルロ=ポンティの身体論とヌーソロジーが導く、「空即是色」の受肉構文
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2025年、AIと人間の境界がいよいよ曖昧になる時代に、私たちは「現実とは何か?」という根源的な問いに、再び立たされています。
いま広く語られている宇宙観といえば、情報宇宙論、シミュレーション仮説、そして仏教的唯識――。いずれも映画『マトリックス』の世界観が市民権を得たことを背景に、精神世界やスピリチュアル、自己啓発の領域で広く引用されるようになりました。
しかし、これらはいずれも“上空から世界を見る思考”にとどまっています。その思考様式のままでは、私たちは決して素朴実在論(=外に出来上がった世界があるという幻想)から抜け出すことはできません。
哲学に詳しい方なら、こう思うかもしれません。「マトリクス幻想を見抜いている思考が、どうして素朴実在論なのか? むしろ、それこそが脱出ではないか」と。――しかし、ここが今回の講演の核心です。
上空思考(メルロ=ポンティの言葉で「上空からの思考」)の特徴は、思考する主体を特権的な位置に固定してしまうことにあります。つまり、自らを“上空から見ている者”として定めてしまうのです。
そのとき、頑なな自我が居座り、しかも「マトリクス」という“外にある現実”を設定してしまう。結果として、脱出の思考が、じつは「素朴実在論の再生産」になっているのです。
本講演では、その典型例として苫米地的情報宇宙論を取り上げます。彼の思想はまさに、現代の“上空思考”を体現するものです。
AIや脳科学の言葉を借りながら、宇宙を「情報の演算構造」として上空から捉え、人間の意識までもが“プログラム”として説明される。――しかしその思考こそが、実在を空虚にし、人間をシミュレーション化してしまう元凶なのです。
※なお、苫米地思想については、ヌーソロジーで言う「人間の内面」を解明する試みとして、統心はその洞察を高く評価しています。
上空に退避した「意識」は、自らの身体を、そして現場を失う。そのとき、空は生きた「空」ではなく、単なる抽象としての空=虚無に堕してしまいます。
苫米地思想は「色即是空」は語れても、「空即是色」を語ることができません。空が現場へと舞い降り、肉体を通して世界を生み出す“受肉のプロセス”を見ていないのです。
こうして“上空思考”は、世界を情報的に制御するかわりに、人間から生きられた現場を奪ってしまいました。上からの思考は、必ず“下”を失う。だからこそ、私たちは上空からの視点を反転させる必要があるのです。
そのうえで――ベルクソンの持続、メルロ=ポンティの身体、そしてヌーソロジーの自己他者両義的宇宙論を貫く一線。それが「空が下へ舞い降りる思考=神楽的共生成」です。
ここでは、身体=現場が世界を“生み出す”側であり、思考はその生成に“参加する”ものとなります。もはや世界は「構成」されるのではなく、“出現”として共に立ち上がる。
この“出現”の論理は、哲学だけでなく、古来の神話的世界観にも通じています。言葉が現実を呼び起こし、生命を再び立ち上げる――そうした感覚です。
これこそが、ポンティの「肉」に息づく“空即是色の受肉構文”であり、古神道における十種神宝(とくさのかんだから)――言葉が生命を蘇らせる原理――とも、深く響き合っているのではないでしょうか。
【三つのポイント】
・上空を捨て、現場に降りる。
・構成ではなく、出現を生きる。
・操作ではなく、神楽的共生成。
AIが鏡として完成し、人間の意識を映し返す時代。その鏡を突き抜け、“肉”=持続の現場へと戻る道を、本講演で明らかにします。
「素朴実在論」と決別し、「世界はいま・ここで立ち上がる」という真実へ。それは、“思考する人間”から“生成に参加する人間”への転換。哲学・科学・宗教の境界を越え、思考と存在がひとつに息づく瞬間を、どうぞ体験してください。
ヌーソロジー初心者の方も歓迎します。知的な刺激と、静かな目覚めが交差する4時間。あなたの“いま”が、世界を生み出す現場となるでしょう。ご縁ある皆さまのご参加を、心よりお待ちしております。
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※ヌーソロジーについては全くご存じでない方でも、どなたでも聞いて頂ける内容です。
※イベント終了後、少しだけですがオンライン交流会をしたいと思います(希望者のみ)。

