娘が私をこの前の日曜から火曜日までの日程で、金沢の小旅行に招待してくれました。

 

親子での久々の旅行が、様々な伝統文化が息づく金沢であったことは、幸いにも私に新しい気づきの旅となりました。

 

最初に訪れました場所が、「金沢21世紀美術館」。特集展示は、イブ・クライン。

 

私は、「言葉遊び」的な現代美術には、全く関心がありません。・・・むしろ、理解しようとも思いません。

 

ですので、当然イブ・クラインの作品にも心を動かされることはありませんでした。

 

次に訪れましたのが「国立工芸館」。特集展示の「外国の工芸とデザインを中心に」は、世界中の工芸作品が集められ、見応えのあるものでした。

 

 

 

ルーシー・リーのエレガントな陶芸作品の数々、A. M. カッサンドルや、レイモン・サヴィニャックの街頭商業ポスターなどなど・・・。

 

ここでは、空虚な「言葉遊び」ではなく、目に見えるもので、直線的に見る者の意識へコミットする「巧みさ」や「表現の素直さ」が感じられます。

 

次に訪れましたのが金沢出身の世界的な仏教学者 鈴木大拙氏の様々な著作や思考を展示する「鈴木大拙館」。鈴木大拙氏には、学生時代に興味を持ってみたものの、その著作を読んだことはございません。この「鈴木大拙館」の素晴らしさは、充実した展示物と、建物で見事に「禅」を表現している建築家谷口吉生氏の手腕です。

 

 

二日目には、金沢城から兼六園へ。その後「石川県立伝統産業工芸館」に参りました。ここでは、石川県産の工芸品が集められて展示されています。

 

加賀友禅、牛首紬、加賀繍、能登上布、金沢和傘、手捺染型彫刻、九谷焼、輪島塗、山中漆器、金沢漆器、珠洲焼、大樋焼、茶の湯釜、金沢箔、和紙、桐工芸、加賀象嵌、鶴来打刃物、仏壇、和ろうそく、加賀獅子頭・・・。

 

それぞれの工芸作品に先祖代々の技があり、こだわりの魂があり、代々「ものづくり」を継承していることの文化の深さに圧倒されました。

 

実用に根ざした工夫と美しさを備える展示物を拝見して、職人の仕事への揺るぎないまっすぐな姿勢に、背筋が伸びる思いが致しました。

 

今回の旅行でお勧めは、「鈴木大拙館」とこの「石川県立伝統産業工芸館」のこの二つの博物館が大変印象に残りました。

 

様々な博物館を観て、兼六園を鑑賞し、古い江戸時代の姿を残す街並みを歩き、石川県の圧倒的な文化の深さに感動した旅でした。

 

夕食のために入った店のBGMが、美空ひばりさんのジャズでした。

今まで、ひばりさんのジャズにはあまり興味がありませんでしたが、金沢で聴くひばりさんは、どこか高尚な金沢の雰囲気から、世俗に引き戻してくれた様に魅力的に感じました。