私が常用しているMacでは、「Audio MIDI設定」と言うアプリが、アプリケーションフォルダ→ユーティリティの中に収められています。

DACを繋いだ時のPCオーディオの設定には、このアプリを使ってDACに送り出す信号を決定します。

 

これらの設定を書き始める前に、私の耳がどれほどの可聴域があるかを書かなければなりません。それを調べるのは、以下の様なモスキート音チェックのサイトがいろいろとネット上にあります。私は、以下のパナソニックのサイトでテストしてみました。

 

 

 

その結果、私は、加齢によって12kHzの音は、もう聴こえていません。モスキート音チェックで聞こえるのは10kHzまでです。ですが、たぶん、音楽は音楽としてちゃんと聴こえているので、ご心配なく。

 

モスキート音チェックでは、10kHzまでしか聴こえていませんが、ヤマハのサイトで「ピアノの鍵盤数が88鍵から増えないわけは?」というコラムを読ませていただきましたら、

 

「人間の耳は約20ヘルツから20,000ヘルツまでの範囲の音を聴き取ることができますが、音程として聴き分けることができる上限はせいぜい4000ヘルツぐらいまで。仮に、これ以上ピアノの鍵盤数を増やして音域を拡大したとしても、人間の耳には低音はゴロゴロという唸りに、また高音は音程感のない耳障りなノイズとしか聞こえなくなってしまうため、音楽的には殆ど意味をなさなくなってしまうのです。」

 

という記述がございました。

 

ピアノの音で音楽として認識できるのは4000ヘルツ(4kHz )ぐらいまでなんですね。バイオリンの高音はほぼピアノと同じ程度で、ピッコロがそれよりも少し高い成分を持っています。楽器の中で、シンバルは飛び抜けてかなり高い成分を持ってはいますが、それでも10KHzを少し超える程度。

 

すべての音は正弦波(サイン波の)の組み合わせによって出来ているそうですが、まったく純粋なサイン波の音は、この世に存在しないのだそうです。ざっくりとその様子を描きますと以下の様になります。

 

一つの音の成分の中には、AとBのような複数の音の要素が含まれており、それらを合成するとDの様ないびつな波形となります。これが自然の音なんだそうです。

 

 

また、オーディオファンが美しい再生にこだわる倍音成分は、どの楽器の音の成分としても含まれており、可聴域が10kHzの私には、シンバルの倍音成分が、まったく聴こえないわけで、若い方と私とでは、シンバルの音の聴こえ方は異なっているということが推測出来ます。

 

と申しましても、それ以外の楽器は、スピーカーから出てくる音は最終的に合成されてDのような波形となりますから、可聴域が10kHzでも問題ないと言えます。シンバルを除いた一番周波数の高い楽器のピッコロ(5kHzを少し下回る程度)の倍音成分も、私は聴こえているわけです。

 

以上のことを踏まえて、MacのAudio MIDI設定に話を戻します。このアプリで私の使っているDACが許容するフォーマットを選択することが出来ます。最高のフォーマットは、以下のように2ch32ビット整数352.8kHzです。

 

ビット数は24ビットと32ビットが選択できますが、当然ダイナミックレンジ(ノイズの少なさ)を考えますと32ビットに軍配が上がります。

 

そこで、問題なのがサンプリング周波数です。私の耳では10kHzが限界値ですので、アプリの最高値352.8kHzはどんなに若い人でも人間には聴こえない音ですので、オーバースペックだと考えます。(人間の可聴範囲は、下は20Hzから上は20kHzと言われています。)

 

ですので、私は、私の可聴域を考え、以下の様に最低の32.0kHzに設定しています。

 

数値的にはもっと高い設定ができるのだから、高いほうが良いではないかと思われるのは当然ですが、私の使っているスピーカーDali Helicon 800では、再生周波数帯域が31hzから27,000hz ですので、この時点で、MacからDACに送られる信号の方が、スピーカーの再生限界値を超えてしまっています。

ですので、耳の可聴範囲とスピーカーの再生範囲を考えて、Audio MIDI設定は、最低の32.0kHzで十分です。

 

それ以上の設定にしても、PCに無駄な計算をさせるだけで、耳に聴こえて来る音には変わらないと私は考えています。

 

設定の数値を頻繁に変えながら音をチェックしましたが、私の耳ではその差を聴き分けることは出来ませんでした。

 

PCオーディオの楽しみは、様々な楽しみ方があると思いますが、ある程度のPC設定とスピーカーセッティングを固めてしまえば、何よりも良い録音の音源を手に入れることが一番大切な様に思います。

 

寺島靖国氏の選ぶ100枚の第二弾で、1位に選ばれている鈴木勲さんのBlue Cityは、実にきめ細やかな音が聴こえてきて満足感を得られる1枚です。