昔話特集2
昨日、例の打ち合わせのために、いつもの路地(今工事中)をぬけた!
その路地に入ってみて、アレーって思った!
いつもやっていた工事が終わっていた!
そこで働いている30才前後の雑踏警備員が
もういないのである!
(回想シーン)
わたしも何度も雑踏警備員をしたことがある!
いままで生きてきて、この仕事ほど過酷なものは無い!
人間として階級をつけられる
もっとも屈辱的な待遇の仕事なのだ!
何らかの事情でこの仕事を選択するのだが
やり始めたら、精神までなえてくる!
技術職ではないし、かと言えば危険だし!
精神を休める場所が無いのだ!
日当もほぼ1日6000円前後と
生活していけないギリギリのラインだ!
肌は焼けて真っ黒になるし
排気ガスやチリは吸いまくるし
ドライバーから文句言われるし
もう疲れきるのだ!
しかし、いつもの雑踏警備員がいない!
今日も、頑張れよ、とエールを送りたかったのに!
赤黒く焼けた顔はどことなくポパイに似ていて
誘導灯捌きもうまかった!
しかし目つきが、外仕事特有のうつろだった。
暑さや寒さ、直射日光や雨や雪にさらされていると
冷静な感性をもてなくなるのだ!
まして移動時間(当然無給)の長い長時間労働になればなるほど
たかが6000円稼ぐのに12時間以上かかる!
まともな神経ではいられなくなる!
過去に私がこの職業に付かなくてはならなくなった理由は
免許の失効が原因だった!
失効?
ありえない?
そう思うだろうが
あるにはあるのです!
その期限なんかも、ちゃんと分かっていたし
まずいーな、とビビっていた!
その頃、極端に金銭面的に破綻(離婚後)をしていた私は
ルーズな生活を送っていた!(壊滅的な自虐的退廃生活)
ハンバやけっぱちで何も考えず、路上駐車していたのだが
その頃はあまり厳しい取り締まりもなく
油断させておいて、スポットで捕まえる....
警察は甘く見たらアカンゼヨ作戦の実行により
私は餌食になっていたのだ。
当然お金がないわけだから、支払う事ができなくて、ほったらかしていても
免許更新時に呼び出されて、御用となる、に決まっている!
多分、そのほか駐車違反が3件くらいの未払いがあって
ニッチのサッチも行かなくなっていたのだ!
人間はこうやってだめになっていく!
そんな典型的なパターンだと思った!
結局、警察に泣き倒されて
(何度も自宅に訪問!話によると、面会が可能な駐車違反者は
悪質とみなされないので逮捕状が簡単に出ないらしい。
つまり、担当になった警察官は家庭訪問の繰り返さなくてはならなくなる!
それが辛いらしい!この場を借りてその警察官に謝罪の意を表します!
そしてまた反省と感謝を込めて、すいませんでしたと社会に言いたい!)
結局、毎夜訪問、泣き倒され1,2ヶ月中に完納させられたのだが
それなら早く払っていれば、免許更新できたのに
と腹も立ってくるのだが、その時はそんな冷静な判断はできない!
何せ駐車違反が続くと、ムカついて
逮捕できるんなら逮捕してみろよ!
その場で自殺してやる!
くらいの覚悟が出来そうなムードなので
いっこうに気にしない方向性に向っている!
自虐的とか、自爆自棄とかいう姿勢に明日はない!
そんな馬鹿げたルーズさのお陰で
めでたく免許取り消しでなく、失効という
運命を科せられたのである!
つまり、それから運転する事は無免許運転になり
おもーい罪になるのだ!
その時点で持ってた車は意味をなさなくなり!
保険や今までかかってい費用は
無駄金となった!
そして追い込まれるように仕事が出来なくなる!
辞職と転職を余儀なくさせられ
路頭に迷う!
その言葉の意味を、実体験で、私は知っている!
大体このパターンで人生を棒に振るのは
飲酒運転で人身事故とか
絶対やってはならない事故ケースであろう。
だが私はまだ希望があった!
それはこの馬鹿げた失効のための転落だったからである!
その頃の私は目つきが違っていたろう!
何とかしなくては...
何とかしなくては...
そんな思いが駆け巡る!
一挙に仕事がなくなるのだから
収入もすぐなくなる!
家賃が払えない!
ガス、水道、電気、電話の停止、その悪魔のサイクルが止まらない!
さらに不安要素は洪水のように押し寄せてくる!
どうするアイフル!(古い?)
とりあえず面接だろう!
仕事していればどうにかなる!
無免許のその頃(30才)も過ぎたオヤジに
仕事なんかあるもんじゃない!
大体この状態で出来る仕事は
雑踏警備なのだ!
警備とは名ばかりで
なんら肉体労働と変わりはない!
イヤそれよりきつい仕事だ!
炎天下の中、交通を整理しなければ
ならない!
車を止めようと信号とを出せば
無理矢理突っ込んでくるし
バカヤロウの罵声は日常茶飯事だ!
それより、暑さと寒さが身にこたえる!
ある時、真冬に海が近く川縁あたりの雑踏を請け負った!
とにかく風が強くて、寒くて、息さえもまともに出来ない状態だった!
とうぜん、鼻水が横に流れていく
それを気にする余裕がないまま
仕事をする私の誘導で
若いカップルの大きな車が止まった!
助手席に座った彼女が私の姿を見て
プッと吹き出している!
私にはそれに悪気を感じているわけではない!
それほどこっけいな私だったのだろう!
それもそのはず、着膨れした私は雪だるまのような
格好だったのだ!
そんな経験をした私は雑踏警備員に特別な思いがある!
あのポパイに似た警備員がいない!
少し心配になると同時に
大きなエリアを一人でまかなっていたという
ベテランの技が彼の将来を約束しているだろう!
巻き毛のルパンもいない!
みんなどこへ行ったのだろう!
あの頃が大変だっただけに
思い返すと必死で生きていたような気がする!
いや命をかけて毎日を過ごしていたのだ!
今グレー色に包まれたこの道に
今、彼らはいない!
身を焦がした私もそこにはいない!
しかしなぜかその頃方が楽しかった気がする!
なぜだろう!