エリック・ニーチェの若き日々(2007デンマーク)/ある一日(2007スイス/仏)--TIFF | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

楽しみにしていた東京国際映画祭(TIFF)が始まりました。当日券も上手く取れて、六本木の駅に降りてみると、マスコミや関係者、一般人がみんな映画目当てで集まってます。ワクワクするわ~。



「エリック・ニーチェの若き日々」(2007デンマーク) エリック・ニーチェ
個性的な教授や同級生と映画学校で学ぶエリックだが、どうにも才能が開花する気配がない。そして卒業制作の時を迎えるが…。 鬼才、ラース・フォン・トリアーが自らの若き日を脚本化した、悩める映画青年の成長物語。(TIFF HPより)

あら、これデンマークでも12/25公開なので、本当に出来たてホヤホヤがトロント映画祭を回って、届きました。脚本をラース・フォン・トリアーが務め、半自伝的物語に仕立てています。ナレーションも自分で担当し「元来、彼は正直な性質である」と言ってるので、面白いですよ。

ラース・フォン・トリアー監督といったら、デンマーク出身の押しも押されもしない鬼才で、ドグマ95教祖としても有名ですが。意外や若き日々はよわっちかったのですね。そしてちょっと病んでいた?これは、狭いデンマーク映画界の業界コメディでもあり、多くの登場人物は誰がモデルか分かるようになってるそうです。デンマーク人にとってのツボは楽しめませんが、これもそこそこは面白いです。映画ってこうやって作るのだーとか、才能を簡単に否定してはいけないなとか。

やわらかい光の使い方、静謐さが素晴らしい部分もあったのですが、でも、どうも私の心からずれているのも確かで…汗

ティーチインで登壇したプロデューサーのピーター・ガーデさんのお話がとてもためになりました。この方、「アフター・ウェディング」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のexecutive producerを務めた方で、デンマーク映画界や映画学校について、色々お話くださいました。

公開予定なし
満足度:★★★★★★☆☆☆☆


「ある一日」(2007スイス/仏) ある一日
夫、妻、息子。夫の不倫相手。自動車事故から始まる1日。長い人生の中から、彼らの人間関係が決定的に変わってしまう1日を、それぞれの立場から鮮やかに切り取った群像ドラマ。モントリオール国際映画祭監督賞受賞(TIFF HPより)


スイス映画というイメージは分かりませんが、これはまさにフランス映画でした。言葉のない長い間。寓意を詰め込んだ演出。最初は「しあわせな孤独」のように、人間関係が交通事故を介して張り巡らされていくのかと思いましたが、これは静けさの中で人間の孤独や壁を際立たせた作品でした。結構、寝ない限りは私は好きです。同じ事件、同じ日を3人の視点で各パートに分けて描いているのは、「羅生門」の影響だとか。家族はそれぞれ違うことに悩み、思いつめ、それを共有していないところが、とても淋しいんです…。家族という最小単位でもこんなものだよな…なんて納得もしてみたり。
ある一日2
特に子役の男の子の表情、目は、末恐ろしいものを感じました。そして、浮気性で情けない夫役にブリュノ・トデスキーニは適役!(「待つ女」「情痴アヴァンチュール」「不完全なふたり」全部ダメ男役だわ)

上映後は、浮気相手の女性役かつ脚本のノエミ・コシェールさんがティーチインに参加してくださいました(写真はTIFF写真ブログより拝借)。監督との共同脚本で、監督は夫のパート、ノエミさんは妻・息子のパートを主に書いたそうです。ガラスの使い方による気持ちの表現にはこだわったとお話されていました。ノエミさんのお話の端で、夫が轢いたのは動物だったようだと分かり、安心しました。

公開予定なし
満足度:★★★★★★★☆☆☆



* 登壇したゲストが、そのまま客席に下りて知り合いに挨拶したり、ロビーでお話していたり…なんて近さが、映画祭の醍醐味。私はロビーでファンに囲まれていたプロデューサーの方に、「アフター・ウェディング」のお話をしてみました♪