夢の守り人 (新潮文庫 う 18-4)/上橋 菜穂子
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今年の読み始めは守り人シリーズです。

年末に手に入れ、年越しを待っての読書。


やられた、と思ったのは

<花守り=鬼>となってしまうのがタンダだったこと。

これが見ず知らずの人であったなら、バルサは

普段の用心棒や魔物退治と同じスタンスで淡々と

鬼をやっつけてしまっていたのだろうな。

一番大切な人と戦わせるとは、酷だ・・・。

鬼となったタンダを振り切って走ったバルサが

追いついてほしくないが、生きている姿を見たいと思うところに

愛情の深さをみるようで涙が出た。


今回の異世界である夢は魅力的でしたたかだった。

人を心地良い気分に誘い込み、夢の花を受粉させる。

その甘い世界から苦い現実へと戻すのは

夢の外からの<生きようとする意志>。

夢に囚われたチャグムに語りかけるタンダの

力強い言葉たちにとても感動した。


トロガイの娘時代の夢の世界の話もロマンチックで

おばばは生まれた時からおばばではないのだ、という事実が

当たり前なのだが、結構衝撃的。

離れて会えない人に向ける思いの深さを

それぞれのキャラクターが持っていた。


世界はこの世と見えないいくつもの世界で出来ている。

作品が増えるたびに膨らんでいく「守り人ワールド」が

上橋さんの心ひとつから生まれたというのが素晴らしい。





読後満足度    ★★★★