京極 夏彦
邪魅の雫

京極堂シリーズ、追いついた~。

しっかし相変わらずぶっとい本だわ。手首痛いわ。

世界観を楽しみつつ、ゆるゆる読み終わったよ。


今回は京極堂や榎木津の出番が少なくて

派手さに欠ける仕上がりだったなぁ。

事件を起こす人々も内向的でタガが外れたような人が多く

なんだか混乱することが多かった。

特に江藤と大鷹の性格がかぶっていた気がするんだけど・・・。


ロイヤルバカオロカデリシャスこと益田と犯人面した関口くんが

現場に二人してやってきて、名コンビぶりを発揮している。

書評を気にして凹んでいた関くんが段々と復活して

榎さんと堂々と向き合うまでになれたなんて感動したよ。

益田の上っ面が軽いのも内面からの反動だったと分かったし。


神じゃなかった榎さん。

誰もぶっ飛ばさなかったし、高笑いもしなかった。

変な格好してズカズカ歩いてくれなきゃ、調子狂うなぁ。

榎さんがニンゲンらしく静かだと、こっちも辛いよー。


邪魅という妖怪の薀蓄、なかったなぁ・・・。

それにその名が関くんの口から出たというのにも驚いた。

どうしちゃったんだ、こりゃあ。

妖しが見えなきゃ、憑き物落としの出番がこないわ。

京極堂は最後に物語の整理に来たようだ。本屋さんだ。

ラストの落としは榎さんだったものね。


読後感はただただ辛かったし、切なかった。

だけどしばらく経ってみるとね、遣りきれない怒りが湧いてきた。

ひとつの毒が多くの人の人生を台無しにした。

人間はなんて弱い、なんて儚い。

・・・ヨコシマな心は次々に連鎖する。

その毒に妖がとり憑いているごとく。



読後満足度   ★★★★