宮部 みゆき
模倣犯〈上〉      模倣犯〈下〉


単行本上下巻合わせて約1400ページ。それも2段組

なんという長さだよ。

コレを読んだら京極の本が薄く感じるもの・・・。

ハリポタの前後ずーっとこれに掛かりきりでやっと読めた。


公園のゴミ箱に捨てられた女性の腕、滑り台に乗せられた死体、

テレビ局にかけられた犯人からの電話。

劇場型連続殺人は被害者の遺族や世間を嘲笑い、

犯行の描写は震えるほどの怒りを感じさせられた。

自分の世界に君臨する王は人を人とも思わずに

あまりに冷酷で、幼稚だ。


被害者の家族が抱えた辛さと湧いてくる負い目。

中でも有馬老人の気丈さと冷静さが印象的だった。

(やっぱりジジイが好きだー)

恐ろしい事件が起こる中、人々が互いに寄り添って

交わす温かさが読んでいて慰めになった。


ラスト近く、テレビ番組で犯人を追い詰める事になるのだが

今まで計算し尽していた犯人が簡単にぼろを出すところが

あっけないという気もしたが爽快だった。

幼稚な犯人の感情を揺さぶれば案外こんなものかもしれない。


ひとつの出来事を犯人側、被害者側と見方を変えているので

物語に厚みが出た分、少し回りくどかった。

元は連載小説だというから長くなっちゃったのかなぁ。



読後満足度   ★★★★☆   4.5