角田 光代
対岸の彼女

直木賞受賞作。


女が集まるといろいろややこしい。

噂や陰口が飛び交い、「ねー」と共感を求める。

その中で浮かないように気を遣い

心では自分は違うのだと思っている。


角田光代の書くごく普通の女たち。

悩み、笑い、泣き、毎日を暮らしている。

新しい人との出会い。

友情に変わる瞬間、破綻する瞬間。

心理描写を細やかに書いている。


しかしあまり共感して読めなかったのは

私が普段から集団に属さないからだろうか。


この話の中では葵の高校時代が一番輝いて見えた。

多感な青春時代には一瞬が永遠に思えることがある。

苦い思い出だとしても大切なのに違いはない。

その土台の上に今の自分がいる。


対岸に彼女が見えるのなら

彼女からもこちらが見えるのだろう。

川を隔てて存在していると思うのか、それとも

同じ川を見ていると思うのか。

心一つですっと楽になれるんじゃないのかな。



読後満足度   ★★★