どんな仕事でも、職人技と呼ぶべき技術を持った人がいる。
それは、別に大工さんや板前さんのような、職人さん達の世界だけではなく、ごく一般的な職業に就いている人達のなかにも、職人技を持った人がいる。
スマートフォンを使っている私は、ディスプレイに傷が付かないように、保護シートを貼っている。
ご存じの方も多いと思うが、この「ディスプレイに保護シートを貼る」という行為には、かなりの技術を要する。
細心の注意を払って貼ったつもりでも、なぜか空気が入ってしまい、小さなポッチができてしまったりする。
小さなホコリが入ってしまうこともある。
先日、たまたまauショップの前を通りかかったので、純正の保護シートを購入しようと立ち寄った。
※実は、それまで貼っていたシートは、一般用の保護シートで、使っているスマートフォン専用のものではなかった。
で、店員さんに「XPERIAの専用保護シートをください。」と伝えた。
しばらくすると、受付をしてくれた女性ではなく、別の若い男性スタッフが私の前に座った。
「実は、私、保護シートを貼るのが得意でしてね。よろしければ、貼って差し上げましょうか?」
もちろん、私に異存などあるはずもなく、すがるような目で
「ぜひ、お願いします。」と答えた。
その若いスタッフは、私からスマートフォンを受け取ると、今まで貼ってあった保護シートをはがし、ディスプレイをメガネ拭きのようなクロスで、丁寧に拭き始めた。
「こうやって、目の細かいクロスでディスプレイを丹念に磨くことが、うまくシートを貼るポイントのひとつなんですよ。」
彼は、丁寧に拭きながらこう説明してくれた。
拭き終えると、デスクの引き出しから、細かい毛足の刷毛を取り出し、丁寧にディスプレイを掃き始めた。
「小さなホコリも取らないと、貼った時に入っちゃうんですよねぇ。」
私は、だまって彼の手先を見つめつづけた。
次に彼は、私が購入したXPERIA専用のシートをパッケージから取り出して、接着面についている薄いシートをはがした。
で、はがしたと思った次の瞬間。
その保護シートの端は、私のスマートフォンのディスプレイの端にピタッと当てられていた。
で、端から一気にすぅ~っと吸い付けられるように、保護シートがディスプレイ全面に貼られていた。
・・・専用シートを手にしてからディスプレイに貼られるまで、1秒とかかっていない。
「空気を入れずに保護シートを貼るコツは、時間をかけてディスプレイ表面を磨いたら、一気にシートを貼ることなんですよぉ。」
私にスマートフォンを手渡しながら、その若いスタッフは、ちょっと自慢げに言った。
自分の手に戻って来たスマートフォンを見て驚いた。
空気がまったく入っていないのはもちろん、自分の顔が映るくらいピカピカになったディスプレイが、そこにあった。
「いやぁ、素晴らしい!まさに職人技だねぇ。」
感嘆の声を上げた私に、照れたような笑顔で応えてくれた。
ちなみに、これほどの職人技にもかかわらず、手間賃は取られず、私が支払ったのは、保護シートの代金のみだった。
渋谷・bunkamura通りのauショップの長谷(ハセ)君。
君は、保護シート貼りのマイスターだ!