全記事で書いたのですが、西ロマR15の作品で全年齢でもOkな範囲でサンプルUpしますね。
※検索よけのため人物名での名前表記に変換しました。
※一応内容的には腐ですのでご注意。
※サンプルでは親分はでてこないよ。
ひたすらロヴィとギルに純情な隊長が弄られているというハナシで終わってる。
※下品注意
西ロマ「上とか下とか」サンプル
友情、愛情、親愛の情。
二人の間にある愛は決して一つではなかったから、複雑に絡み合ったそれらを区別することなく、自分たちの持てる全部で互いを愛していた。
二人にとってお互いは、とてもとても大切な存在で。
だから焦ることなくゆっくりと、二人は愛を育んできた───。
青く澄んだベルリンの空。
自国よりも幾分柔らかく感じる太陽の光を浴びながらヴォーグのサングラスをモデルの様な所作で外すのは、イタリアはロマーノ地方のハンサムガイ、立派な上向きくるんも眩しい自他ともに認めるへタレ男、ロヴィーノ・ヴァルガスである。
滅多な事では芋々しいドイツの地へと足を向けることのないロヴィーノは、けれど今、誰に命じられたわけでもなく自らの意思で首都ベルリンのとある住宅街にやってきていた。
何のことはない。バイルシュミット兄弟に会うためである。
しかし、それも珍しい事ではあって、基本的に女性以外の生命体に嫌悪と恐怖を感じずにはいられないロヴィーノは、アントーニョと弟以外の男と積極的に関わることはない。
弟の事を抜きにしてもイタリアとは浅からぬ縁で繋がっているバイルシュミット家にしても例外ではなく、むしろムキムキゴツゴツ筋骨たくましい武骨な人種であるところの彼らを遠ざけるのがロヴィーノの常だった。
それが何故、今日に限って自らドイツに赴いたのか───。
ロヴィーノはゴミ一つ落ちていないその家のドライブを歩いていくと、シンプルだが質の良い木材の扉の横に設置されたインターフォンを押した。
「よく来たな、ロマーノ」
程なくして開かれたそこから、幾分表情を緩めてはいるのだろう男が「お前にしては時間通りだったな」と笑う。
「お前にしては」というのがミソで、実際は午後二時半と言う約束の時間から二十分遅れての二時五十分。
しかし指定した時間の20分後がオンタイムのイタリア男にしては、まさにピッタリの時間と言えるだろう。
「さあ、兄貴も待ってる。中に入ってくれ」
「グラツィエ」
促された居間、性格が滲み出ているかの如く整然とした部屋のソファーに座ると、
「おう、本当に来たな、お兄様」
ロヴィーノの訪問に合わせて用意していたらしいアプフェルクーヘンとコーヒーをトレーに乗せたギルベルトが丁度キッチンからやってきたところだった。
「ムリ言って悪かったな」
「なに、お兄様ならいつでも歓迎するぜ」
ケセセと笑いながらロマーノとその向いに座るルートビヒ、その隣の自分の分のテーブルセッティングを済ませ、とりあえず三人はそれぞれコーヒーカップに口をつけた。
「そういや、コレ。ウチのワインとチーズ」
フェシリアーノからだ、と持たされた土産を渡して、それぞれの近況を報告し合う。すると、
「で、今日は確かウチの蔵書を借りたいんだったな?」
口慣らしが終わったと判断したらしいルートビヒがロヴィーノに今日の目的を確認した。
───そう。
ロヴィーノがわざわざドイツはベルリンまで赴いたその理由とは、マニュアル国家で知られるところのこの国の書籍を借り入れるためだった。
何せ、ものは特殊を極める。
イタリア国内で情報源の定かでない本を漁るぐらいなら、データ解析に特化した理屈好きの国の資料を借りた方が確実というもの。
またマニュアル天国のドイツの事だ。マイノリティーなロヴィーノの要求にも応えてくれるに違いない。
コクリと頷くロヴィーノに「で、どんな資料を探してるんだ?」ルートビヒが先を促すと、ロヴィーノは手にしていたカップをソーサに戻した。
そして居住まいを正すのは、ロヴィーノの真剣さの表れである。
「実は───男同士のセックスについてのマニュアルが欲しいんだ」
もしくはアナルセックスについてでも可だ、と両手の指を膝の上で軽く組んで言うロヴィーノに、ルートビヒは思わず口に含んでいたコーヒーを勢いよく吹き出した。
平然とした顔で何の恥じらいもなく非常識極まりない要求を真正面からぶつけてくるロヴィーノに度肝を抜かれたからだ。
この家に何を期待してきたのかは知らないが、何を要求してくれてるんだと思うルートビヒは間違ってはいまい。
けれど、
「…………汚ねぇな」
子供じゃねぇんだからちゃんとしろよ、と布巾を差し出すロヴィーノの分別くさい顔にルートビヒは首を捻る。
この場合、常識を語って聞かせるのは自分の方だと思うせいだ。
とは言え、コーヒーを吹き出すなんて粗相をしたのは事実であったから、ルートビヒは素直に布巾を受けとりはしたが。
「……お兄様、それはつまりアレか?」
とうとうアントーニョと?と目顔で尋ねるギルベルトに「まぁな」と頷くロヴィーノ。
それこそ子供ではないのだし、恋人として辿りつくべきセックスを語るロヴィーノの口ぶりには恥じらいなどどこにもない。無論、ルートビヒの兄であるギルベルトもだ。
けれどいたたまれないのはルートビヒで。知り合い二人の性生活のアレコレを茶うけ話に聞きたいと思えるような性格ではなく、とにもかくにも居心地悪い気分を紛らわすように、意味もなくフォークの先でケーキを崩しそれを黙々と口へ運んだ。
「にしても、どうしてそんなマニュアルなんか……いや、向上心のある男は嫌いじゃねぇぜ?けど、それならお前が何もしなくてもアントーニョが喜んで好き勝手するだろ?」
むしろ何もしないでただ横になってりゃ事が済む、と言うギルベルトは、間違ってはいないが根本的な事を読み違えていると言えるだろう。
「勿論アイツならやりかねねぇ…っつーか、やる気満々だ」
好き勝手、手取り足取り腰取り、最初から最後までアントーニョが自分の思うままにしたいのは確実だ。
だがしかし、それはロヴィーノが女役であってはじめて成立する類の話で。
「俺が上ならそういう訳にもいかねぇだろ」
つまりはそういう事だった。
イニシアチブを握りたいロヴィーノに、アントーニョに好き勝手される訳にはいかないのである。さりとて相手は無駄に経験値ばかりある男だ。初心者であるところのロヴィーノがそれに対抗するには、着け刃であろうとも知識を詰め込むより他はない。
勉強が嫌だの、芋兄弟が気に入らないだのごねている場合ではなかった。
「……なるほど、そういう訳か。漢だな、お兄様」
非力でヘタレこの男が、着痩せしているように見えてもみっちり筋肉の詰まったアントーニョを押し倒す気でいるのか、とアプフェルクーヘンの欠片を青い顔で咀嚼するルートビヒの隣で、ギルベルトがそんなロヴィーノのやる気に賞賛を送るように呟いた。
そして目の前では、満更でもなさそうなロヴィーノがニヒルに笑う。
よく分からないが、彼なりに男らしさをアピールしているのかもしれない。
「でもよ、それなら尚更アントーニョに筆下ろしの手ほどきを受けたらいいんじゃねぇのか?」
書物の知識は素晴らしいがやはり実践には敵わない。そして何より年上の恋人に優しく教えられながら童貞を卒業するというシチュエーションは男のロマンだとギルベルト。
けれどロヴィーノはそれさえも首を振って、
「アイツがそんなタマかよ。…つーか、俺がチンタラしてる間に童貞を卒業するはずがうっかり処女を奪われかねねぇ」
何せアグレッシブな恋人だ。言うまでもなく抱かれるよりは抱きたい派で。
つまりはロヴィーノがアントーニョを抱きたいように、アントーニョもロヴィーノを抱きたがっている訳である。
間違っても自分に突っ込ませるような手ほどきをAV嬢の様に懇切丁寧にロヴィーノにしてくれるとは思えなかった。
そして、それよりも何よりも。
「これは愛のエチュードでも何でもねぇ。今後の俺たちの尻の安全がかかった───言わば戦争だ」
「……ぐふっ」
というルートビヒのせき込みに、チラリと視線だけを向けたロヴィーノが今度はティッシュを放って寄越す。
それを受け取る弟の横で、この家の家長が「それはやべぇな」と顎を撫でた。
自分の立ち位置を最初から見失いかけているルートビヒをよそに、二人は飽くまでも真剣な顔だ。
「相手はあのアントーニョだ───くさっても元大国……」
俺は万全を期して事に臨みたい、と真摯に訴えるロヴィーノに、
「そこで俺たちの力を借りたい、と。……いいだろう、お兄様。普墺戦争の再来と行こうじゃねぇか」
相手は無論オーストリアではなくスペインなのだが、在りし日の勝利をそこに重ねてニヤリと笑うギルベルト。
同性の恋人間におけるセックスの役割分担が、とんでもなく大げさなレベルで語られているものだ。
さりとて恋愛など個人的な事柄である。本人がそれで納得しているのならルートビヒに挟める口はないのだが。
そうだとしても。
「あー……、取り込み中済まないのだが。お前の事情は分かったとして、うちにはその…何だ、男性同士の…ゴニョゴニョ…な本は置いてないんだが」
ドイツ全土を探せばその手の本もあるのだろうが、さしあたって今現在、この家の中にはそのような特殊な嗜好の蔵書はない、と若干赤らめた顔で事実を述べる分には構わないだろう。
けれど、
「……っていうと何か?犬と絡んだり鞭を振り回す様なものはあっても、男同士のものはないと?」
特殊な嗜好が聞いてあきれる、と幾分気分を害したようなロヴィーノは、至って健全な嗜好であると言いたいらしい。
「いいかルートビヒ、今やキリスト教圏内でも同性婚が認められるようなご時勢だ。マイノリティを敵に回すと……」
恐ろしい事になるぜ?と声を潜めて警告する男は、こんな風でも一応は年上の男で。
その歩んできた歴史の重みに、バカバカしい程の一家言が妙に深くルートビヒの中に染み渡った。
二人のペースに呑みこまれている証拠である。
「それにな、お前。でけぇ図体して頬を染めんな」
はっきり言って気持ちが悪いというロヴィーノに、自分でもその自覚がある分カッと気色ばんだルートビヒが、
「それはお前が真昼間からいかがわしい話をするからだろうが!!」
今までの肩身の狭さと居たたまれなさをぶつけると、「何言ってるんだお前は…」心底呆れた風なロヴィーノに、その情けなさを訴えるような大きな吐息を返された。
「教科書の中のエロい単語を見つけてマーカーひいて興奮してるガキかよ…」
お前は一体いくつだ、という哀れがましい視線をロヴィーノが向けるのは、大の大人がセックスの話でうろたえる様が見苦しいからだ。
「だが……っ!」
「あのな、仮にこれが異性間の話として、少なくとも俺はエロ本やエロビデオを貸してくれと言った覚えはない。正しい知識を得るためのテキストを貸してほしいと言ってるんだ。つまりこれがどういう事か分かるか?」
自分が求めているのは卑猥な目的のための嗜好品ではなく、教養のための学術書だ、と。
「そこで、だ。お前はガキの性教育にもいかがわしいと言うタイプの男か?」
それとこれとは同じことだと言い切るロヴィーノにウッと詰まる。
激しく何かが違う気がするが、俄かにそうと言い切れない部分があることも事実だからだ。
マニュアル至上主義の弊害か、屁理屈と言う名の応用力に弱い弟の姿に、
「お兄様、あんまり苛めねぇでやってくれよ」
これでまだガキなところがあるんだ、と弟の立派な上腕二頭筋をバシッと叩きながら苦笑するギルベルト。
「……チッ。弟の教育くらいきちんとしとけよ、チクショーが」
「はは…面目ねぇ」
後でよく言って聞かせておく、と執成すギルベルトにますます首を傾げてしまうルートビヒはもはや正常な判断に自信がないのか、大人しく反論を飲み込んだようだった。
古今東西、弟とは兄に敵わないものらしい。
「あー……、だとしても。先ほども言ったようにウチにはそのような書籍はないのは事実だ。どうしてもと言うなら取り寄せることになるが…」
どうする?と言うルートビヒに、今すぐにでも欲しいロヴィーノは逡巡してるようだった。
取り寄せるか否か。眉根を寄せるロヴィーノに、「そう言えば…」とギルベルトが思案するように天井を睨んで。
「ルート、そういや一番奥の棚の左下…3段目か?アレがあっただろう」
アレだアレ、とルートビヒを見やる。
「一番奥の…と言うとアレか?でも兄さん、アレは……」
「───いや、ヘタな学術書よりとっつきやすい。ど素人のお兄様には却ってそっちの方が良いだろう」
小難しい表現もなく、現実味は薄いがストーリー仕立て。おまけにイラストによる解説だ、というギルベルトに、
「おう、あるんだったらソレ貸してくれよ」
できるだけ易しいテキストに越したことはないと言うロヴィーノは、基本ファッション誌の中の活字以外は読まない派の男だった。
「……わかった。ちょっと待っててくれ」
そして居間を出て書庫を漁っていたらしいルートビヒが戻ってくると、手にはB5サイズの本が数冊。
「随分薄いな……」
自分としてはありがたいが本当にこれで大丈夫なのか、と不安を滲ませるロヴィーノは、この成果如何では自分の人生が大きく変わってしまうリスクを持つだけに慎重な姿勢を崩さない。
この用心深さこそがヘタレ国家をここまで存続させてきた秘訣なのだろう。
「大丈夫だ、お兄様。これはとある東洋の神絵師による最高の指南書だ。何せ売りに出しても一時間で完売すると言う幻の書……」
「………これが?」
その価値にハッとしたように呟いて、パラパラと捲るとそこは可愛らしいイラストとは裏腹に多少エグくも思えるほどのセックス描写。
登場人物の一人がどこか見覚えのある眉毛の太さであることを除けば、薄くとも充分テキストとして申し分ない内容だと言えた。
「取り敢えずそれで大体の流れと手順を頭に叩き込め。イメージトレーニングあるのみだ」
そうして戦略を立てシュミレーションを重ね、その緊張感を決戦当日まで保ち続けることができたら、お前の勝利はすぐそこだ。
「漢を見せろ、お兄様」
軍事国家としてその腕と知略によって一国を興した男の言葉にロヴィーノは頷いた。
そして一刻も早く特訓を始めたいロヴィーノが本を手にバイルシュミット宅を後にしたところで───居間に残されたバイルシュミット兄弟。
「……………兄さん」
少し冷めたコーヒーに口をつけるギルベルトにルートビヒが目で訴える。
ロヴィーノの持って行った本。
あれは最高の指南書ではなくただのBL同人誌だ、と。
「間違ったことは言ってねぇぜ?」
とある東洋の神絵師ことPN本田 菊先生による最高の指南書とも言える同人誌。
米英CP最王手と呼ばれるサークルのその本は、イベント初日わずか一時間で売り切れるという幻っぷりだ。
それが何故バイルシュミット宅にあったのかと言えば───助っ人として原稿を手伝わされた際の献本であったというただそれだけのこと。
貰いものなだけに処分に困って書庫に入れっぱなしになっていたその本の使い道ができてよかったじゃないか、と笑うギルベルトはどこまでが本気か冗談か。人生経験の浅いルートビヒには測りかねるところだけれど。
「………………大丈夫、なんだろうな?」
いつもろくなことをしそうにない兄組二人の妙な友情に、ルートビヒは重い重いため息を吐き出したのだった。
<本編に続く>
一応人物名で国名表記のトコロを人物名に変えてはみたけれど…
どうしても、本来のイミでの国の名前は変えようがないので(変えるとイミフになるので)厳密な意味で検索よけができるとは言い難いのだけれど…。
始まる前に注意書きをしてあるのでギリセーフということで……。
勿論当然のことだけど、一切の現実のものとは関係ない上に、いかなる人、モノ、国、その他を侮辱する意図はありません。
一応登場人物は人名だから、国際的なモーホーな小説で通る範囲だと思ってる。
良い子のマナーでお楽しみくださいね。
以上、サンプルでした。
前記事にも書きましたが、興味があったらTop記事のサイト名「くるみ」から飛べます。
気軽に遊びにきたってな?
※文字数の関係なのか改行が何度やっても入らなくて、ぎっしり感がありすぎて読みづらいです。
なんで改行がはいんないいなだろう……orz