悪友SSをブログアップしまーす。
悪友とはいっても実際に親分が出てこないのですけど…。
「西ロマの恋愛ってさ~」って感じで仏プが恋バナしてるだけの小話です。
※人名表記です。現実の如何なるものとも無関係の妄想です!
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夜のバルで一人座っていたフランシスは、通話を終えたばかりの携帯をテーブルに置くと、知らずフッと小さく笑った。
週末の夜とあって客の多い店内は随分賑やかだ。
見るともなしにそれを眺めていたフランシスは、
「おう。早いじゃねーか、お前にしちゃ」
ギルベルトの声に顔を向けると、軽く手を上げてやってきた男にヒひらりと手を振りかえす。
相変わらずと言うか、約束の時間ぴったりに現れるギルベルトはドイツ人らしい几帳面さだ。
「出先から直接こっちに来たから、予定より早く着いただけさ」
「ふーん。…で、アイツはいつも通り遅刻かよ?」
テーブルについて嫌そうな顔をするギルベルトの言うアイツとは、言わずと知れたアントーニョ。
いつも時間通りに来たためしのない困った友人の一人である。
「いや、アントーニョの奴、今日は来ないってさ」
さっき電話があったとフランシスがそれに答えると、ギルベルトは器用に眉を吊り上げて「ドタキャンかよ」と呟いた。
近くを通った店員を摑まえて適当に注文を済ませると、それでやっと腰を落ち着けた様に二人は話の続きを再び始める。
「んで、アントーニョは何の用事だったんだ?」
足を組んで椅子に腰かけるギルベルトは、更にテーブルに肘をつくといった行儀の欠片もない格好でフランシスをチラリと眺め、
「ん?そんなん決まってるだろ?恋人とデートだってさ」
それ以外に何があるんだと言うフランシスに、ケッと面白くなさそうに髪を掻き上げた。
「恋人っつったって、相手はお兄様だろ?いっそのこと一緒に連れてこりゃいいじゃねぇか」
「……お前ね、恋人とデートするのに友人同伴はないだろ」
「だから、お兄様だろ?今更じゃねぇか……」
アントーニョと同じだけロヴィーノとも付き合いの長い二人だ。
これまでだって普通に一緒に食事をしたり出かけたりといった事をしてるのだし別に構わないだろ、と言うギルベルトのいう事も分からないではないが。
「…………いや、やっぱナイだろ」
フランシスは、アントーニョとロヴィーノの二人を思い浮かべて緩く首を振った。
解せない顔のギルベルトは、つくづく恋愛ごとに疎いと言うか。
「わかんねぇな。あいつらの場合は特にだ」
「ん?何がわかんないのさ。あいつらいつもバカップルぶりを披露してるじゃない?」
「アイツらが馬鹿だっつーのに異論はないが、あれは親馬鹿の延長みたいなもんだろ?」
バカップルと言うのとも違うだろ、というギルベルトにフランシスは口元だけで小さく笑う。
「そうかな、アイツらはあれでちゃんと恋人してるぜ?」
「恋人、ねぇ……」
そもそもギルベルトからしてみれば、自分がオネショの始末までしてるような相手を恋愛対象と見れるかどうかさえも疑問であるのに。
よしんば恋をしたところで、それまでの保護欲と、恋愛のそれとを区別できるものだろうか。
アントーニョのロヴィーノに対する過保護ぶりをよく見知っているだけに、ギルベルトはそれを思わずにはいられなかった。
その恋心が錯覚とまでは言わないけれど、限りなく家族愛に近いものではないのか、と。
「まぁ、お兄さんもお前と同じように考えてた時もあったんだけどね……」
そんなギルベルトにフランシスは意味深に笑うと、
「でも、アイツちゃんと男の顔してるんだぜ?」
ロヴィーノに向けるアントーニョのその表情は、親のそれでも何でもなく、いっぱしの恋する男のものだった。
けれど、それを言うと、
「そこまでは疑ってねぇよ。確かにお兄様にはベタ惚れなんだろうさ」
ギルベルトは肩を竦めて、だけど普通の恋人同士っていうのともやはり違う気がするのだとそう言った。
いわゆる、好いた惚れたの単純な恋人同士というには、二人の間には名前の違う愛情が育ちすぎていたからだ。
父性愛、家族愛、師弟愛、友愛、敬愛……それらが複雑に絡み合っていて。
それが悪いとは言わないけれど。
全てを包む様な穏やかなその愛情は、時に激しさを伴う「恋愛」とはやはり違うと言わざるを得ない。
そうしてまた、それを二人の間に想像することができなかった。
「…………そうかな?」
「…んだよ、ったく一人で分かったような顔しやがって。どうせ俺にはわからねぇって言うんだろ?」
「だったらいいさ、人の恋路なんてどうでもいいしな」と言うギルベルトが話題を変えるのに付き合って、下らないバカ話を始めながらもフランシスは胸の中で続けた。
(けどさ、お前もあんなアントーニョを見たらわかるだろうよ)
ギルベルトにも言った通り、フランシスも最初は同じように考えていたのだ。
アントーニョの言う愛情は家族愛の上にあるものではないのか、と。ただそれにフィジカルな関係が加わっただけの、そんな愛情だと。
勿論それだって立派な愛だ。
別にそれをどうこう言うつもりはない。
ましてや自分だって愛の国の男である。わが子の様に育てた相手にも恋は出来る男であった。
けれどそんな風に二人の関係を位置づけていたフランシスは。
ある日、ロヴィーノといるアントーニョの姿にそれは違うのではないかと、気づいた。
普段馬鹿ばかりやっては騒がしい男は、ロヴィーノと話す時にはひどく静かな声で喋り。いつもは朗らかに笑う男が、滲むようにはにかむのだ。
躊躇うようにその手を繋ぎ、照れたように隣を歩き、泣きそうなほどの切なさで、その唇を重ねる男は。
ただ恋しさだけを全身で叫んでいるように、フランシスには思えた。
家族としての愛情が、彼らの中から消えてしまったという訳ではないのだろうが。
それでも優しいだけの無償の愛を、養い親として与えている。
そんな風には少しも見えなかった。
アントーニョのそんな顔を、フランシスは初めて見た様に思う。
そしてそれが、ひどく意外に思えたのだ。
二人が恋人同士であることを理解してさえいても。
ただ恋い焦がれる男の顔をアントーニョの上に見たことに、動揺した。
正直、侮ってはいなかっただろうか。
タカをくくってはいなかっただろうか。
長年見てきた二人の、恋人ゴッコを想像して分かった気になっていたのではないだろうか。
親でもなく、兄弟でもなく、友でもなければ師でもない。
アントーニョはただの一人の男にすぎず。
そんな二人は、確かに普通の恋人同士であったのだ。
それにやっと気づいたフランシスは。
ただ、嬉しかった。
自分たちの一生は、とても長い。
だからこそ、そんな風にひたむきに愛せる誰かを持てた友人が、焦がれる相手を持てたことが───まるで奇跡のように、嬉しかった。
自分たちのような存在では、その真似事をすることはできても。
実際にそれを得ることは、やはりとても難しい事であったからだ。
親でもなく、兄弟でもなく、友でもなければ師でもない。
ただの一人の男として在れることの、なんと素晴らしい事か───。
「………フランシス?」
どこか上の空になっていたのだろう。
聞いているのか、と言うギルベルトの問いに、
「───あぁ、聞いてるって」
フランシスはワインを少し口に含んで、なんとも思わゆい友人の恋に微笑むと、
「あーあ…、お兄さんも素敵な恋がしたいねぇ……」
お決まりのセリフを呟いた。それにギルベルトは憮然とビールを一口呷り、
「………やっぱり全然聞いてねぇじゃねぇか……」
自分の話には脈絡もなければ繋がりもないフランシスの呟きにため息を吐いた。
ブツブツと文句を零すギルベルトに、やっぱりフランシスは笑みを深くすると。
「さて、この世の全ての恋人たちに乾杯でもしようじゃないか」
大げさにグラスを掲げ、ギルベルトを呆れさせた。
「ほら……、全ての恋人たちに」
「…………残念な友人に」
何とも可愛げのない呟きと共に、ギルベルトがフランシスのグラスにジョッキをおざなりに当てると。
二人はそれでも笑みを浮かべて、楽しく酒を酌み交わした。
<END>
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以上悪友SSでした!
本日は新作ラッシュでして更新を頑張ってのでちょっくら宣伝。
英日「Mid Night Rose」
完全R18作品。 学パロ。
西ロマ「上とか下とか」
くだらないエロ話。R15位で義務教育以上の閲覧推奨。ギャグ風味。
悪友SS「恋の花は夜に咲く」
このブログに載せたものです。
西ロマの話を全年齢の部分だけでサンプルアップさせますね!
※今回は年齢指定の作品を含むのでブログに直接リンクを張るのは控えます。
トップ記事の「くるみ」というサイト名の所からHPに飛べますので、
興味のある方で年齢的に大丈夫な方のみどうぞ!
次の記事に続く。