私はとある事業会社で、DXと呼ばれる活動を推進しています。
DXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するために、デジタル技術を活用し、製品やサービス、ビジネスプロセスそのものを変革するとともに、組織や企業文化をも改革し、自社の競争力を高めることを指します。
DXに関わる活動の一環として弊社は、さまざまな企業の方々をお呼びしてDX取組事例を学ぶ場を社員に提供しています。そして、毎回、数百人がオンラインで参加しています。
私も何度か参加していますが、話を聞いてみると、DXというよりデジタル化の話であり、本来の目的である『トランスフォーメーション』の実現には程遠い状態、というのが私の所感です。
それほどトランスフォーメーションは難しい、ということです。
デジタル化が悪いわけではありません。
わざわざ書類に押印するために出社しているような業務が残っているのなら、さっさとデジタル化すれば良いと思います。
しかし、デジタル化は手段に過ぎないので、何でもかんでもデジタル化しようとして、それ自体が目的になってしまっては本末転倒です。
デジタル化を進める上で、重要なことがあります。
それは、デジタル化に関わる人の意識や行動を変えることです。
私は元々IT企業に勤めており、直近は非IT企業でエクセル業務をデジタル化(システム化)する業務を複数担当しています。
(大企業はエクセル業務が大好きで、そこに多くの工数が割かれています)
この業務をしていると、極端ですが、人はおおよそ次のパターンに分かれることがわかりました。
- システム化の事例やシステムの仕組みそのものを知っていて、業務を変えることにポジティブかつ協力的
- システムのことはよくわからず、業務を変えることにネガティブかつ非協力的
そして、業務に関わった多くの人が、後者に当てはまります。
後者の方たちは、システムなんてわからんし今忙しいからとにかく今の業務そのままシステム化してくれればいいよ、みたいなスタンスで接してきます。
一方で前者の方たちは、システム化(将来的なDXも含む)をするにあたって、最低限必要なことやシステム用語を知っています。そのため、ある程度の共通認識を持った状態で話すことができるため、会話が非常にスムーズに進みます。
また、システム化に対してポジティブな姿勢なので、こちらがこの情報欲しいです、とお願いしたことに対して、きっとこの情報も必要だろうな、と情報をプラスして提供してくれます。
(これは仕事ができる人に当てはまる行為でもありますが)
さらに、どうせシステム化するなら今うまくいっていないこのプロセスをシステムに合わせて変えてしまおうとか、こういう機能を付けたらいままでできなかったことができるよね、とか、向こうからアイディアをたくさん出してくれます。
会話もスムーズですし、情報のやり取りも早く、課題を見極めてあるべき姿を定めるのも早い。そして何より、協力的。
そうなんです、圧倒的に物事の進みが早いんです。
そりゃあそうなりますよね。
反対に、積極的に協力しない(できない)方たちは、自分にはあまり影響しない(関係ない)という認識でいるため、自分に直接影響のある目の前の業務を優先します。
これは人間の行動としてよくあることで、仕方のないことだと思っています。
そして、こういう人たちの意識や行動を変えることはかなり難しく、それなりの説得力や権力を要するものと考えています。
(そもそも人を変えようとすること自体が難しいですが
)
だからこそこういった活動は、トップダウンで押し進めることが重要なのです。
トップダウンで進められないのなら、トランスフォーメーションなんてできません。
(トップダウンでないと通せんぼしてくる人がたくさんいるし
)
というわけで、今の仕事に携わって実感しましたが、誰と仕事をするかって、めちゃくちゃ大事だと思っています。
2023年は色んな人と色んな仕事をして、仕事のパートナーの重要性だけでなく、改めて、DXと名の付く活動の難しさを感じた一年でした。
私自身も、知らぬ間に誰かを通せんぼするような人にならないよう気をつけたいと思います。
歳を取ればとるほど、注意してくれる人もいなくなりますしね。
というわけで2023年もあと少し。
体調に気をつけてお過ごしください。
それではまた![]()