「響新共命」に収録された
楽曲にまつわる物語を
お届けしていきます✨

 

 

    

 

愛する虹へ

 

 

 

目を覚ますと

私はソファに横たわっていた。


 

頭上の窓は開け放たれ

カーテンが風と遊ぶように揺れている。


 

窓辺の白い花さえ

笑っているように見えた。

 

 

 

 

彼の膝の上で眠っていたのだ。

 

あぁ、これは夢の中だ

とすぐにわかった。

もう何度も同じ景色を見てきたから。

これは世界が終わるときの光景だ。

 

そばで、安心させるように

私の手を包む人。


愛するパートナー。

 

 

もうすぐ大きな津波が来る。

ニュースで知っていても

変えられない未来だった。

 

 

 

「私たち、また会えるかな」


「また会えるよ。大丈夫」

 

「ううん、違う。『また会う』

じゃなくて、一緒に次へ行きたい」


「それもいいね」

 

「次はどこに行こうか」


「どこがいいかね」

 

そう言葉を交わし

ふたりで静かに目を閉じた。

 

 

 

 

そして、次に目が覚めたとき

私は<あの世>にいた。

生きていたころの回想なのか

それとも本当に天国なのか。


 

思い浮かべたよりも早く

景色が現れる。

 

「海が見たい」と思う前に

もう目の前に海が広がっている。


 

パートナーと海辺を歩く。

そこに津波の姿はなく

穏やかな波が寄せては

かえすだけだった。

その音が心地よい。

永遠を感じるほどに

その景色を味わった。

 

 

 


けれど

徐々に自分が<宇宙全体の意識>に

溶けていく感覚が生まれ、怖くなる。

 

「大丈夫。未来はあなたが作るものだよ。

誰にも傷つけられることはない」


彼はそう言った。

 

 

 

再び目を覚ますと

柔らかな木漏れ日の中だった。


 

また彼がそっと手を当ててくれている。

「寝ていたのかな」


「寝ていたね」

 

「でも、ずっとあなたがそばにいたよ」


「そうだね、ずっとそばにいたよ」

 

「あぁ、そうか。あなたは私で

私はあなたなんだ」

 

「そうだよ。ずっとあなたは私で

私はあなた」

 

「離れることもないね」

「そうだね。でも、思い出してくれた。

この瞬間が最高の喜びだ」

 

「待っていてくれてありがとう」

「どういたしまして」

 

そう言うと、二人の肉体は

七色の光となり、弾けて踊った。



 

宝石赤

 

 

 

TOMAが振り返ると

 

 

映像を後ろで盗み見していた

ゼイン・クロノスタジアが

泣きながら見ていた。

 

 

「ちょっと!

人のプログラム盗み見してるでしょ!」


TOMAが慌てて言う。

 

 

「あ、見つかっちゃった。

もうこれ、最高なんですよ。


源と繋がるプログラム、最高!

ああぁ……私もこの経験がしたい

したいですぅ!」

 

 

「じゃあ、次のチャンスで

地球に行けばいいじゃん。

 

このプログラムは

どんな物語を入れても応用が効くからさ」

 

「はい!私、行きます!

行っちゃいますよ!


 

出会う人すべてとの縁を

感じて味わいまくります!


 

自分という宇宙を

肉体で味わうんです。

あぁ最高ですね。

 

 

肉体を通して宇宙の理を

体験する―それは壮大な愛の物語!」

 

「まぁ、確かに最高の体験だよね。

ついでにさ、周りの人にも

このプログラムが伝わるように、

一緒に仕事することにしようよー」

 

「え?仕事?せっかく地球に行くのに?

いやいや、それはちょっと…」

 

「いやいや、これだけと言わずに

もっと味わってくださいよっと。

はい、登録しておいたから!

じゃ、のちほど

地球でお会いしましょー」

 

「えええええええ。そんなー!」

 

 

宝石赤

 

 

 

TOMAや、ミッションを持つ者たちが


地球に降り立つ前の一幕でありました。

 

 

「愛する虹へ」は

こちらでご視聴いただけます

 

CDはこちら

 

 

こちらの楽曲は

10月11日

お楽しみいただけます