10月に公開する

超次元トリッパー☆イシュタールの

物語を公開していきます

 

 

    

第6話:移ろう実りの中で

エシュタルは

地球に植物に関する叡智を

与えるために降り立った

生命体のひとつだった。

 


天の声を聞く民と共に

豊穣の知恵を分かち合い

人々に農作物を授け続けた。

 

大地は実りに満ち

飢えを知らぬ繁栄の時代が続いた。


宝石赤


だが、ある時

別の土地から

民がやってきた。


彼らは『助けて欲しい』と

口にしながらも

闇に支配された心を持っていた。

 

 

彼らはこの豊穣の大地を奪うには

エシュタルを消すしかないと考え

ある日、彼女を捕らえて

地球の異次元空間に

封じ込めてしまったのだ。


宝石赤


長い孤独が始まった。

エシュタルは自らを支えていた

民に会えぬまま

数万年もの悲しみと不安に耐え続けた。
 

 

長い年月が経ち

結界が崩れ

ついに彼女は

自ら外に出られるようになったとき

 

そこにはもう

かつて共に大地を育てた

民の姿はなかった。

「どうして…私が守り続けた人々は

どこへ行ってしまったの…?」

嘆きに包まれた彼女を見つけたのは

一人の少年だった。

 

彼と共に失われた歴史をたどるうちに

彼女は衝撃を受ける。
 

 

自分が『豊穣』を司るものとして

役割を果たしていたのに

封印後の時代には『破壊神』『呪い』

『冥界の神』として語られていたのだ。
 

 

そして、彼女を信じていた民は

彼女の存在を理由に

根絶やしにされていた。

「私はただ…大地を実らせ

人々を幸せにしたかっただけなのに

なぜ真実は歪められてしまったの…?」


少年は彼女に寄り添い

必死に語った。

「このままここに居ては危ない。

一緒に逃げよう」


宝石赤



だがその夜

結界の崩壊を知った闇に育まれた民が

再び彼女を捕らえ

ベルリンの壁に封じ込めた。

 

彼らはエシュタルの力を利用して

国を分断させようと企んだのだ。
 

しかし

エシュタルは元来

豊穣の神。

 

 

彼女の祈りは呪いではなく

『統合』を呼び

やがて壁の崩壊の日を迎えた。

 


彼女は民の幸せを願い

最後の力を振り絞って

その出来事を導いたが

生命力は限界に達し

消えかけていた。

「どうか…人々が二度と

互いを隔てる壁を作りませんように…」


その願いを残し

東洋から来た人々によって

彼女の存在は日本の大阪へと移された。
 

 

宝石赤

 

 

一方その頃

エシュタルの妹であるイシュタルは

長く音信不通の姉を探すため

TOMAという存在に捜索を託していた。
 

 

今、イシュタル自身は肉体を持って

地球に降り立つことができなかった

 

肉体を持てば生まれる前の

記憶を失うからだ。
 

 

TOMAは依頼を受け

肉体を持ちながらも

イシュタルと連携し

歌によって古代の龍を

呼び覚ます使命に挑んでいた。
 

 

ある日のライブで

その歌の波動はエシュタルの

封印にも届いた。

 

長き時を越え

彼女はついに解き放たれたのだ。



「…やっと、また会えたのね…」


光の中で

エシュタルとイシュタルは

数万年ぶりの再会を果たす。

 

 

二人の祈りは再び響き合い

失われた時を超えて

新たな未来へと物語を紡ぎ始めた。

 

 

 

この物語から生まれた楽曲は

10月11日

お楽しみいただけます