
コパ・アメリカはグループステージが終了して、いよいよ今日から決勝トーナメントが始まる。
強豪国にとっては、12チーム中8チームが突破できるグループステージなどほんの小手調べ。
ノックアウト方式となる、ここからが本当のコパ・アメリカだろう。
前回大会とは違って強豪国が順当に勝ち上がった今大会は、ワクワクするような組み合わせとなった。

準々決勝の中で最大の注目カードは、コロンビアvsチリだろう。
しかし、トーナメント全体に目を向けると王国セレソンにとっては、何とも運命を感じずにはいられないものとなった。
先ず準々決勝で対戦するパラグアイは、2015年チリ大会でも今大会と同じく準々決勝で対戦してPK戦で敗れた因縁の相手である。
王国がベスト8で姿を消した事で、コパセミファイナルでの南米クラシコが実現しなかった。
もし、今大会でセレソンがパラグアイにリベンジを果たせば、4年前に絶たれたコパファイナル進出を懸けたアルゼンチンとの南米クラシコが実現する可能性が高い。
そして、セレソンが準決勝で戦う舞台はミネイロン。
セレソン、準決勝、ミネイロンと並べば思い浮かぶキーワードは、【ミネイロンの惨劇】他無いだろう。

記憶に新しい2014年自国開催W杯準決勝でドイツに1-7で敗れ、王国が帝国にずたぼろにされた惨劇が甦る。
アルゼンチンが、準々決勝で順当にベネズエラを下してコパセミファイナルで南米クラシコ激突となれば、セレソンは永遠のライバルに敗れた段階で惨劇の繰り返しとなるだろう。
ホームの大声援をバックにミネイロンの惨劇のリベンジを果たせば、決勝の舞台はマラカナンスタジアムである。

決勝で対戦する相手が(トーマスの一押し)ウルグアイに決まれば、これは凄いシナリオになる。
ブラジル人にとっては、古過ぎるとは言えマラカナッソ(マラカナンの悲劇)が頭から離れないだろう。
1950年自国開催W杯でそれは起きた。
当時はリーグ戦方式だった最後の優勝を決める決勝リーグの最終節で、両者が対戦を迎えた。
ブラジルは決勝リーグ初戦でスウェーデンに7-1、2戦目でスペインに6-1で連勝してウルグアイとの最終節を迎えた一方で、ウルグアイはスウェーデン、スペイン相手に接戦と引き分けで最後のブラジル戦を迎えた。
初戦と2戦目を見る限り、両者の力の差は明らか。
引き分け以上で優勝が決まるブラジルのW杯初優勝は確実視されていた。
試合が始まり、後半2分にブラジルが先制した時は、誰もが優勝した気分でいたという。
ところが、後半21分と34分に失点してウルグアイに逆転優勝を決められた。
試合後のスタンドでは、ブラジルサポーター2人が自殺、2人がショック死、20人以上が失神したとされている。
前出のミネイロンの惨劇とは違って、69年前の悲劇なのでリアルなブラジル人は少ないだろうが、コパファイナルでセレソンの前にウルグアイ代表が出てくれば、ブラジル中が騒然となるだろう。
1950年と2014年の2度に渡る自国開催W杯は、セレソンにとっては悲劇と惨劇という終わり方だったが、過去の4度行われた自国開催コパ・アメリカは、いずれも優勝している。
コパ・アメリカの歴史を見てもホスト国が決勝まで来た場合の優勝確率も高いので、もしブラジルvsウルグアイの決勝になればブラジル有利は変わらないだろう。
でも、69年前のマラカナッソもブラジル圧倒的有利と言われた中で起きた悲劇である事も忘れてはならない。
何よりも気になるのは、今大会でセレソンが着用している白いユニフォームである。
マラカナッソが起きた試合も白いユニフォームで臨み、その試合以降白いユニフォームは封印したはずだった。
それが何故今になって復活したのか分からない。
何れにしても、準々決勝から決勝までの3試合全てでリベンジが付いて回る王国セレソンからは、目が離せない。


