ナツミの店に到着。
記念のつもりで作ってもらったメンバーズカードだったが、翌日にはポイントが加わった。
しかし、せっかくソープに来たものの、あまり気乗りしていない。
それは、風俗でさっぱりしたい、だとか、ナツミにすごく会いたい、という感情よりも、ナツミに自分だけを見てほしいというか、独占したい願望が大半を占めていたからだと思う。
なんとなく、無理なこととわかっていながら、惰性で来たというか、よくわからない。
こんな中途半端な気持ちでいると、受付の愛想ない対応ごときでテンションを落とす。
金を払ったり、女の子の写真が大量に貼られているのを見ると、ここはソープなのだと現実に引き戻される。
ナツミがソープで働いでいるから、私はナツミに会うことができる。
ソープでしか会えないからソープに来た。それはうれしい。
しかし、ソープに来ると、ナツミはソープ嬢。私たちは仕事上のつながり。あの笑顔は営業なのだと、考えなくとも理解できてしまい、また複雑な気分になる
モヤモヤしたまま待合室へ案内された。
昨日はガラガラだった待合室。だが今日は何人もの人がそこにいた。
待合室にいた人たちを見て、私は驚愕した。ビビった。
とにかくガラの悪い連中がそろいもそろっていた。
ガムをくちゃくちゃかみながら、足を大きく広げてドカンと座り、ハンドポケットである。
一言でいえば、どこかの組の若い衆である。
そして、
「お疲れ様っす、いまっすか?今はソープで遊んでました」
みたいなことを電話で話し始めた。
私が真っ先に考えたこと。それは、ナツミはこのような客の接客もするということである。
それを考えたとき、足が震えて倒れれそうな感覚になったのを覚えている。
自分の娘が荒くれ者に無理やり襲われる、かのような強い衝撃を受けた。
「ソープで遊んでいた」、この言葉もどこか許せない気分だった。
自分勝手な考えではあることは承知している。
彼らが悪い客で自分は良い客であるかなどわからない。
彼らガラは悪くても、女の子にとっては馴染みの太い客かもしれない。
遊びだろうが、真剣だろうがどっちでもいい。彼女たちは仕事をするまでなのだろう。
ナツミの仕事、というものを始めて真面目に考えた瞬間だった。
とにかく、あたまの中が混乱していた。
自分の好きな人が、違う男にも抱かれているという事実を突き付けられたからだ。
わかっていたようで、まったくわかっていなかった。
そうこうしているうちに案内されることになった。ガラの悪い方たちとはお別れ。
ナツミとの再会である。
昨日と同じ場所にナツミは立っていて、少し笑顔だったような気がする。
昨日と同じように私の手を取り、部屋へ案内された。昨日とは違う部屋だった。
部屋に入ったものの、やはり先ほどのガラの悪い衝撃が頭の中から抜けきらず、混乱状態が続いていた。
そんなことを考えながらナツミを見つめると、ナツミがとても強い人間に見えた。背中がやたらとデカく見えた。
自分はちっさい人間だと情けなくなった。
