http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2012/hottest-researchers-2011/
(引用開始)
世界で最も注目を集めた研究者と、最多引用論文を発表
~最も注目を集めた研究者5位に理研の篠崎氏、最多引用論文はテキサス大学の小松氏~
2012年4月12日(日本時間)
米国ペンシルバニア州フィラデルフィア/英国ロンドン発
*米国時間2012年4月11日に発表されたプレスリリースです。
世界的な情報サービス企業であるトムソン・ロイター(本社:米国ニューヨーク、日本オフィス:東京都千代田区)は、毎年恒例の、最も注目を集めた研究者(Hottest Researchers)と、2011年の最多引用論文の調査結果を発表しました。今回は、最も注目を集めた研究者の世界5位に(独)理化学研究所、植物科学研究センター長の篠崎一雄氏、また、最多引用論文の世界1位にテキサス大学教授の小松英一郎氏がそれぞれ選出されました。
【2011年最多引用論文】
テキサス大学教授 小松英一郎氏
2011年に最も多く引用された論文(レビュー論文除く)には、被引用数が564回と2位以降を4倍以上も引き離し、テキサス大学教授/カブリ数物連携宇宙研究機構併任研究員の小松英一郎氏の観測的宇宙論に関する論文がトップに選ばれました。小松氏の論文は、2007年、2009年にも同研究において最多引用論文に輝いています。氏の専門は、観測を通して宇宙の姿を明らかにする宇宙論に関する研究です。
小松氏のコメント
「我々WMAPチーム(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe:ウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機研究チーム)の論文が2007年、2009年に続いて再び引用数第1位になったとのお知らせを頂き、大変光栄に思います。これを励みに、1人でも多くの研究者に読んで頂ける論文を発表できるよう、日々の研究活動に勤しんでまいります。」
(引用終わり)
この論文は、
E. Komatsu, et al., "Seven-year Wilkinson Microwave Anisotropy Probe (WMAP) observations: Cosmological interpretations," Astrophys. J. Suppl. Ser., 192(2): No. 18, February 2011.
だそうです。タイトルだけだと、門外漢には何のことかわかりません…。
小松栄一郎氏は、1974年生まれの37歳。兵庫県宝塚市出身。
Wikipediaの記事
(引用開始)
小松 英一郎(こまつ えいいちろう、1974年 - )は、兵庫県宝塚市出身の日本の物理学者。テキサス大学教授。専門は、観測的宇宙論。博士(理学)(東北大学、2001年)。
東北大学において二間瀬敏史に師事。修士課程修了後にプリンストン大学のDavid Spergelのもとに滞在し、宇宙マイクロ波背景放射観測衛星WMAPのプロジェクトに参画。主要メンバーとして活躍。特に宇宙マイクロ波背景放射の観測結果により、宇宙論パラメーターがどの範囲に収まるのかという、現代宇宙論にとって最重要課題の一つである論文を発表する。その他、宇宙初期の非ガウス性、バリオン音響振動など観測的宇宙論に関する幅広い研究を精力的に進めている。
(引用終わり)
ますます難しくなってしまいましたが(笑)、宇宙から受けているマイクロ波という電磁波を解析して、宇宙の姿・成り立ちを研究されているようです。
個人的には、私が就職して宝塚市の独身寮に住んでいたのが1988年~1992年頃で、およそその頃、小松氏は宝塚西高の高校生。もしかしたらその頃どこかですれ違った高校生が、今や「世界一」の学者になったのかもしれません。
小松先生のサイトはこちら。
http://gyudon.as.utexas.edu/~komatsu/
ここからリンクされていたのが、「宝塚地域情報メディアログ」というサイトで、小松先生が2011年7月に宝塚市で子ども向けに行われた講演の動画がありました。
「みんなにわかる宇宙の歴史」
http://www.zuka-medialog.tv/digest/digestlist/20110724.html
・宇宙はどのくらいの大きさか
・宇宙には何があるのか
・宇宙がどうやってできたのか(「インフレーション」に次いで「ビッグバン」)、
・宇宙の年齢はどのくらいか(小松氏が出した「137億年」が世界的に支持されている)、
・宇宙はこれからどうなるか(「ビッグリップ」が起きる?→著作権のせいか、その話は割愛されています。)
などなどについて、とてもわかりやすく面白く講演されています。
この講演の動画、小学生くらいの子どもさんにも、そして大人にも、お薦めです。
「第一部」が主に小学生向けに宇宙の話一般、「第二部」は先生の最新の研究について、です。
合計で96分間あります。
(私の遅いネット環境では、これらをダウンロードするのに一晩以上かかりました:涙)
講演の中で出てくる
・物質と暗黒物質(ダークマター)と暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の割合
・ブラックホール
・地球外の生命の可能性
などの話は、まるでSFの世界のようですが、きわめて真面目でホットな天文物理学の話です。
なお、あまりに簡単に説明されているので、ぼうっと聞いてたらわかったような気になって、それはそれでいいのかも知れませんが、一方で、いくつかの重要な前提となる科学知識をすっ飛ばして説明されているので、それを知らない人が真面目に聞いていると理解できなくて困ると思います。
例えば、以下のような点を挙げておきます。
・物質は、互いに質量に応じた力で引き合う(ニュートンの万有引力の法則)
・光は、波であるとともに粒子でもある(量子力学)
・エネルギーと質量とは等価である(アインシュタインの特殊相対性理論 E = mc2)
でも、本当にお話もうまいですね。
それに加えて、聴講している子どもらの知識とその質問にもびっくりさせられます。
さらに、第二部の質疑応答では、小松氏の教育論もうかがうことができます。
・小学校5年生の時、父に買い与えられた天文学の図鑑に惹かれ、将来は天文学者になると決めた。
・子どもの頃は変わった子だったが、両親にも先生にもやりたいようにやらせてもらった。
(「これがいいかどうかは紙一重だ」と言われてたのが印象的でした。難しいところですよね。)
・英会話にういては、アメリカに行ってすごく苦労したけど、それでいいと思う。
むしろ、日本や世界の歴史など、もっと基礎的な教養を身につけておきたかったと思う。
目的もなく英会話だけを勉強してもしょうがない。
世界的科学者の講演を直接聴くことができた子どもたちは幸せです。
そして、そんな動画を簡単に観ることができるようになった時代の子どもたちもまた、幸せです。
なお、この講演の謝礼は、東日本大震災で被災した子どもたちのために全て寄付されました。
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