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さて、3/9号の特集は「3.11連続特集②原発 これでも再び動かすのか」です。
私は以前から書いているように、今後新しい原発は作らない、中長期的には原発は廃止、短期的には「正しく安全が確認された」原発だけは稼動を認めてよい、との意見です。
ただ、「正しく安全が確認された」ということを誰がどのように判断するのかは大変難しいことで、原子力村住民ではなく、かつ極端過ぎる原発廃止論者でもない、科学的な判断ができる識者を参画させることが大切と考えます。そして、一般市民にも分かりやすく説明をして、理解を得ることが原発再稼動の最低条件と考えます。
さて、週刊金曜日の記事から引用します。
(引用開始)
2月8日に開かれた大飯原発3、4号機に関する保安院の「ストレステスト意見聴取会」で井野博満・後藤政志両委員から、一次評価について
①津波の想定が福島の14メートルを下回る11.4メートルに過ぎない
②基礎ボルトなど機器の強度が安全率を削って評価されている
③原子炉建屋などの構造強度の許容値が従来より甘くして適用されている
等の指摘が出た。
しかし保安院はこれらに関する継続審議を放棄し、同月13日に一次評価を「妥当」とする「審査書」を突然安全委員会に提出。このため20日に開かれた「聴取会」の席上、両委員が「なぜ十分審議を尽くすと約束しておきながら答えを急ぐのか」と抗議、市村知也原子力安全技術基盤課長は「明日21日の安全委員会に出席するので意見があったことは言う」と回答した。しかし課長は、翌日の安全委員会の検討会で約束を反故にしてしまう。
(引用終わり)
井野博満氏については、私の1/19の記事にも出てきました。東京大学名誉教授です。
後藤政志氏について調べました。Wikipediaより
(引用開始)
広島大学船舶工学科卒業。
1973年から、三井海洋開発で海洋構造物を設計。
1989年、東芝に入社。原子炉格納容器の圧力と温度に対する強度設計を研究。2002年までに東京電力柏崎刈羽原子力発電所の3号機、6号機、中部電力浜岡原子力発電所の3号機、4号機、東北電力女川原子力発電所の3号機の設計に携わる。
この間、原子炉格納容器の安全性は技術で担保しきれないのではとの疑念を生じるようになり、2007年7月16日の新潟県中越沖地震に伴う柏崎刈羽原子力発電所の一連の事故のときに、これは決定的にだめだ、技術者として黙ってはいられない、と思った。
2009年、東芝を定年退職。
(引用終わり)
この後藤氏のような人がストレステストを科学的(工学的)に見て問題点を指摘し、電力会社はそれを真摯に受け止めて反論するなり、対応するなりして、実りある議論を深めた上で、双方が安全を確かめるべきと私は考えます。
本件に関しては、「関西電力大飯3・4号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明」(2012年2月13日)として、後藤氏が自身のブログにも掲載されていました。
『週刊金曜日』では、その他に、このような記事が掲載されています。
「原発はどこまでの揺れに"耐えられるのか"」
原発が耐えられる地震振動は、阪神淡路大震災・東日本大震災の後で計算が跳ね上がっている。
「再稼動をたくらむ伊方原発に潜む危険性」
再稼動第一号となる可能性のある四国電力伊方原発の沖合い6kmには日本最大級の活断層があるが、この活断層について四国電力はウソをついている。
何度も書きますが、私は技術者の端くれとして、十分な検証を行った結果として、想定に見落としがない・十分な余裕を持った設計になっていることが識者によって確認され、それに(感情的にではなく)科学的に反論の余地がなければ、再稼動させてよいとの意見を持っています。
(例えば30メートルの津波が来たらどうだ、とか、過去数万年にわたって観測されたことのないような規模の地震が来たらどうなる、とか非科学的な意見までは考える必要はない。)
逆にそうでなければ、原発は再稼動させるべきではないと考えます。
これらの報告を読む限り、とても再稼動してもよい条件が整ったとは考えられません。
伊野氏・後藤氏の意見のような科学的・工学的な問題点の指摘に電力会社や保安院がきちんと反論・対応しない限り、原発の再稼動は認めるべきではないと考えます。
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