週刊ポストの「正しく恐がる」原発報道姿勢とNHKのデマ | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

週刊ポスト(3/9号)で、

東日本大震災から1年
大新聞・テレビが絶対報道しない
被災地と原発の真実

という特集があったようです。


私が参加している、安井至先生(国際連合大学名誉副学長。東京大学名誉教授)主宰のfacebokのグループ「環境学ガイド」で紹介されていました。このグループに参加されているライターの方が、ひとつの記事を書かれているようです。

見出しを見ると、

・「放射能デマという怪物」
 煽り派メディア・似非科学者のトンデモ発言被害を徹底検証・責任追及する

・こいつらまだ何も変わっていない 電力マフィア「東電」を完全解体せよ

・愛と幻想の「自然エネルギー」を棄て、リアルな脱原発発電を考えよう

と、私の考え・問題意識と似た(←というより私の方が似ているのでしょうが:笑)記事が並んでいるようです。安井先生のコメントも載っているそうです。

ネット上の紹介記事を引用しますが、いきなり、いつも私が耳にタコほど書いている「正しく恐れるために」で始まります。

http://www.weeklypost.com/120309jp/index.html

(引用開始)
<正しく恐れるために>

1年経ってわかった放射能と原発
本当は何が起きていたか

内部被曝、食品汚染、ホットスポット、メルトダウン

皮肉なことに史上最大級の地震による家屋の倒壊や死者はほとんどなかったが、地震が引き起こした津波が財産と人命を根こそぎ奪ってしまった。そして、その津波が引き起こした原発事故と放射能禍は、さらに広い地域と多くの国民を悩ませ、苦しめることになった。ただし、この問題では「現実の危険」と「誤解・誤報による恐怖」がないまぜになっている。改めて真相をレポートする。
(引用終わり)


また、そのうちのひとつの記事がネット上にありました。
http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/postseven-20120229-91144/1.htm

私も1/16の記事で書いた、NHKのデマ番組についてです。
ちょっと長いですが、省略しにくいので、全文引用します。

(引用開始)
放射能被害煽るNHK特番に放射線防護委がBPO提訴する準備も
2012年2月29日(水)7時0分配信

震災直後ならいざ知らず、誰もが激動の1年を心静かに噛みしめて過ごした昨年末、放射能被害の恐怖をいたずらに煽る許しがたい番組が放送された。

 2011年12月28日のNHK『追跡!真相ファイル 低線量被ばく 揺らぐ国際基準』がそれである。

 チェルノブイリの事故で放射性物質が降下したスウェーデンで、少数民族サーメ人の「がん死が34%増えた」、米イリノイ州の原発周辺では「脳腫瘍・白血病が30%増えた」と紹介し、年10ミリシーベルト以下の低線量被曝でも健康被害が激増していると指摘する内容だった。その上で、放射線防護の基準を示している国際放射線防護委員会(ICRP)は低線量被曝の影響を過小評価し、「原子力産業からの圧力で基準を緩和してきた」と厳しく批判したのである。

 これが本当ならとんでもない話だ。事実、放送直後からネット上には視聴者の驚きの声があふれ、「ICRP許すまじ」という論調が巻き起こった。しかし、番組で語られた内容はあまりに現実とかけ離れていることが分かってきた。

 まずサーメ人のがん死増加についてだが、ルイ・パストゥール医学研究センター・分子免疫研究所の藤田晢也・所長はこう説明する。

「番組では事故後1~4年の間、がん死が増えたというが、放射線被曝でがんを発症した場合、発見できる大きさになるまで平均25年かかる。強制移住や食料制限などでストレスが増加し、免疫力が低下したため、すでに進行していたがんが急速に悪化したと考えるほうが現実的です」

 医学の常識では、サーメ人のがんと被曝は全く関係ないのである。

 米イリノイ州の原発周辺で脳腫瘍や白血病が増加した話にもカラクリがある。30%増加したといっているのは、「発症人数」であって「発症率」ではない。

 アメリカの国勢調査によれば、イリノイ州ブレイドウッド原発のある町では、1990年から2010年までの20年間で人口が72.7%増、ドレスデン原発にもっとも近い町シャナホンでは同期間に人口が3倍近く増加している。人口が増えれば「発症人数」は増えて当然である。人口増に比べて患者の増加率は低いようだから、むしろ発症率は下がっている可能性のほうが高い。

 番組後半ではICRPの委員や元委員への取材で、原子力産業からの圧力で基準を緩めてきたとする驚きの証言を引き出して非難するが、これも嘘だ。

 ICRP勧告の公衆被曝の限度は、かつては年5ミリシーベルトだったが、1985年に年1ミリシーベルトに規制強化された。職業被曝の限度は年50ミリシーベルトだったものが、1990年勧告で5年平均が20ミリシーベルトまでという制限が加わっている。緩和どころか逆に厳しくなっている。

 日本のICRP委員である丹羽太貫・京大名誉教授は憤慨する。

「取材に答えた委員や元委員の発言を意図的に編集し、間違った字幕(翻訳)をつけて流したことを我々は問題視しています。NHK側には、訂正報道を求めて二度目の会合をもちますが、ご理解いただけないのならBPO(放送倫理・番組向上機構)に提訴するしか手だてはない」

 丹羽教授は、すでにBPO提訴の準備を始めているという。

 この番組に抗議しているのはICRPだけではない。2012年1月には、原子力の専門家112人が抗議文を提出している。そのなかで、番組内容が正しければ、世界に約440基ある原発周辺や他の北欧諸国でもがんや脳腫瘍などが増加しているはずだ、との疑問を呈している。至極もっともな指摘であり、NHKは訂正しないなら全力を挙げて調べてくるべきだろう。

※週刊ポスト2012年3月9日号
(引用終わり)

また、3月16日号(多分、最新号)には、『目に余る 放射能「煽り派」の犯罪』という記事があるようです。

週刊ポストは(週刊現代とは異なり)、編集長の姿勢で、放射能に関してこのような科学的で冷静な記事が多いそうです。「現実の危険」と「誤解・誤報による恐怖」をきちんと区別した冷静な報道が、NHKではできなくて、週刊ポストができているとすると、何だかなぁという感がします。

同じことを繰り返し書いていますが、念のため。

「何でも安全」という専門家の言葉を信じる一般市民は少ないですが、「何でも危険」という(自称)専門家の言葉を有難がって信じてしまう一般市民は多いです。

自衛のためにはより「危険」という方の意見を取りあえず信じておこうという考えは理解できない訳ではないですが、事実と異なるウソによって危険を煽るアジテータの言葉を信じてしまうことも、むしろ個人・社会に対してさまざまな危害があります。

・過剰な心配のあまり、ストレスによるうつなど精神衛生上の問題
・親の過剰反応により、子どもの精神不安定を招く
・先天性異常を恐れた堕胎(=殺人)
・福島の女性とは結婚すべきでないといういわれなき差別
・必要以上の無駄な除染を行うことによる税金の無駄遣い →国家の借金の増加・増税の必要
・食品の汚染への過剰反応:厳しすぎる許容値/風評被害 →被災地復興への逆風
・遠隔地の自治体での被災地瓦礫処理受け入れの拒否 →被災地復興への逆風

安全側のウソでもなく、危険側のウソでもない、正しい知識・情報に基づいて、怖がるべきものは怖がり、怖がらなくていものは怖がらない、という態度を国民一人一人が行えるように啓蒙するべきなのが政府・自治体であり、公共放送であるNHKであるべきなのですが、政府は縦割り行政で省庁ごとに態度が異なって混乱を招いているし、またNHKがこんなデマ番組を放送してしまうようでは、日本・日本人の先は真っ暗です。

日本の皆様、とりあえずは、週刊ポストの記事に注目ください。