日本のクールな技 折り紙と宇宙船 | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

NHKの番組「Cool! Japan 発掘!かっこいいニッポン」、いつもなかなか面白いです。

日本人の衣食住の文化が外国人から見ると実は意外にカッコいい、というような物事を、毎回ひとつずつ紹介する番組です。

カレーライス・ラーメン・流行・絵・数字・キレイ好き・キッチン用品などなど、日本人から見たらごく日常にすぎないものが、外国人にこんなに評価されるとは、と気持ちのいい番組です。

http://www.nhk.or.jp/cooljapan/

さて、先日のJSTVで放送されたテーマは、再放送のようですが「たたむ」でした。

洗濯物をきちんとたたんでタンスに仕舞う、ということすら、日本人らしいのだと。あるアフリカ(だったか)の女性は、お国では衣類をたたむことなしにタンスに放り込むのがふつうとか。驚きです。

それから提灯(ちょうちん)が紹介されました。日系アメリカ人の芸術家イサム・ノグチが提灯をモチーフにした電灯の「Akari」というシリーズを発表し、欧米で高く評価されたと。

このような紙と竹で作った電灯は日本ではごくふつうに電器店で売られていますし、こちら中東某国ですら売っているのを見ました。紙を通した柔らかい光であることだけでなく、コンパクトにたたんで販売・持ち運びできるのもポイントのようですね。


さて、これらとともに紹介されたのが、折り紙。

特に、日本が開発した宇宙船イカロスに、折り紙の技術が活かされたとの逸話です。

(引用開始)
日本が世界で初めて成功した宇宙ヨット「イカロス」。太陽光を帆に受けて進む夢の宇宙船だが、課題は巨大な帆をどうたたんで打ち上げ、宇宙空間でどう広げるかだった。その開発には折り紙の技術が生かされていたという。
(引用終わり)


まず、イカロスについて少し調べてみました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/IKAROS

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(引用開始)
IKAROS(Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation Of the Sun、イカロス)とは独立行政法人宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所(ISAS/JAXA)及び月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC/JAXA)が開発した小型ソーラー電力セイル実証機である。名称は森治により、ギリシア神話の登場人物の一人イカロスにちなんでつけられた。

金星探査機「あかつき」と共に、2010年5月21日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、6月3日から6月10日にかけてセイルを展開、7月9日に太陽光による光子加速の実証に成功した。12月8日には金星フライバイを行っている。
(引用終わり)

ここで大事なのは、"ソーラー電力セイル"
Wikipediaの「太陽帆」(ソーラーセイル)のページに、このような説明がありました。

(引用開始)
太陽からの太陽風によって推進していると誤解される場合が多いが、そうではなく、光子の反射によって生じる反作用によるものである。光の粒子が太陽帆を形成する薄膜に当たり反射すると、薄膜には光の入射方向と逆向きの力が発生する。この力は、セイルの面積と光圧力に比例する。光圧力は光源からの距離の二乗に反比例する値となる。地球での太陽からの光圧力は、約4.57 ×10-6 N/m2である。船舶で使用される帆とは異なり、流体力学的に発する揚力は発生しないため、帆に発する力は帆に反射する光の圧力のみとなる。
(引用終わり)

宇宙空間は真空であり、大気との摩擦によるエネルギーの損失がないため、光が当たった圧力の反作用というごく小さい力だけで、宇宙船の推力として使え、加速が行えるようです。
IKAROSでは帆に太陽電池を貼り付けて発電もしているので、「ソーラー電力セイル」と呼んでいるようです。

それで、できるだけ広い面積の帆を持つことが望ましいですが、宇宙に送るまでは小さくコンパクトにしたい。ということで、日本の折り紙のテクニックを研究して、実現したそうです。

(引用開始)
イカロスの帆は一辺約14mの正方形で、厚さ7.5μmのポリイミド樹脂膜にアルミを蒸着したもの。約200m2の10%に薄膜太陽電池を貼る。直径1.6m、長さ1m、重さ300kgの本体を中心にX字形に畳んでおき、打ち上げ後、船体を一時的に高速回転させ、帆を遠心力で展開させ、その後ゆっくり回転させて帆の形を維持させる。

2010年6月3日からセイルの展開を開始し、6月10日に地球からの距離約770万kmにて、セイルの展張、及びセイルに配置されている薄膜太陽電池からの発電を確認した。7月初頭からは光子加速実証フェーズへと移行し、7月9日、ついにIKAROSが光子加速を行っていることを確認。
(引用終わり)

ここで検討された折り紙技術こそが、この"Cool Japan"の番組で紹介された肝心の箇所です。

NHKのサイトには詳しく載っていないのですが、こちらのサイトに番組の静止画を取り込みながら紹介されていました。端折りながら転載させていただきます。
http://eikojuku.seesaa.net/article/229736580.html

(引用開始)
セイル(帆)は実に巨大であり、「14m×14m」、およそ「200平方メートル(60坪・120畳)」もある。

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打ち上げの際に畳んでおいた帆を、宇宙船本体が回転する遠心力のみで展開しなければならない。
この難題を解決するために活用されたのが、日本の伝統「折り紙」の技術であった。

最初は「扇子(せんす)折り」という折り方が有力な候補に上がった。しかし、この折り方では「折り目」が中央に集中してしまい、中央部分のセイル(帆)の損傷が懸念された。

そこで、「らせん折り」という方法が試された。この折り方であれば、折り目が分散するので、よりセイル(帆)に優しい結果となった。

しかし、この「らせん折り」は見た目よりもずっと複雑である。直線に見える部分が、実は全部「曲線」なのだ。制作も困難であれば、キレイに折り畳むこともより困難である。

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長き試行錯誤の末、最終的に採用された方法は「四角型折り」というシンプルな折り方だった。
巨大なセイル(帆)を四分割し、その4つの部分が独立して展開する仕組みである。

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このセイル(帆)、実に薄い。わずか7.5マイクロメートル(0.0075mm)。
「イカロス」のセイル(帆)は、大の大人が10人がかりで一折り、一折り、心を込めて折っていったのだという。

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このような苦心の末に成功したのですから、「はやぶさ」の例だけでなく、日本の宇宙研究のアイデアと技術は、さすが "Cool!" です。


Wikipediaの折り紙の記事によると、折り紙は、どうも日本とヨーロッパでそれぞれ独自に発展したものがあったようで、私たちもよく作る帆掛船(だまし船)や風船はヨーロッパの伝承作品だとか。

しかし、今では世界中で"Origami"で通じるようです。
Wikipediaでリンクから各国語のページをみても"Origami"になっています。中国語では「摺紙」と呼ぶようですが、日本の伝統と書かれています。

韓国語の折り紙のページでも「日本の伝統芸術」と書かれていますが、「韓国起源説」のページを見ると、案の定、こんなことが書かれていました。

(引用開始)
一部の在米韓国人の女性グループが「折り紙はもともと韓国(朝鮮)で作り出されたもので、日韓統治時代に日本人が自分たちの文化と偽って世界に広めた」と主張し、現地で折り紙教室を開いている。また、社団法人韓国折り紙協会は、起源については明確に言及しないものの、「日本の植民地時代に日本は韓国の文化を全面的に抹殺し、韓国の伝統的折り紙文化も排斥した。」と主張し、日本とは別の折り紙文化が朝鮮半島に存在したと主張している。また協会では検定制度により指導師を養成し、さらに、日本の折り紙を模倣したものを「韓国の伝統的折り紙」と称して世界各地で宣伝し普及活動をしている。
(引用終わり)

やっぱりですね。トホホです。


さて、日本および世界には「折り紙作家」がいて、信じられないような技巧を凝らした折り紙作品を発表しています。

私は平成5年~9年にかけて発刊されていた、大人のための美しい折り紙雑誌「季刊をる」を購入していました。毎号、有名作家のため息の出るような折り紙作品が紹介されるとともに、いくつかの折り図も掲載されていました。

幻の折り紙雑誌「季刊をる」バックナンバーのお知らせ
http://www.sojusha.co.jp/woru/cat_1.html

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当時、いくつかはトライして成功しましたが、いくつかは途中で断念したきりです。
また見直して、折ってみたいと思っています。