イランの核開発(原子力開発)を巡って、さまざまな動きがあります。
まず、イランはウラン濃縮のための新型遠心分離機を開発したと発表しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120216/t10013052071000.html
(引用開始)
核開発を続けるイランは、ウランの濃縮活動のスピードや効率を高める新型の遠心分離機の開発に成功したと発表するなど、自国の核開発技術の進展をアピールし、核開発問題を巡って対立を深める欧米側の反発は避けられないものとみられます。
イランは、自国の核開発は原子力発電所の核燃料やがん患者の放射線治療のための平和目的だとしていますが、欧米諸国は軍事目的の疑いがあるとして、ウランの濃縮活動を止めるように求めて経済制裁を強化しています。
(引用終わり)
イランはなぜこのように、平和利用と言いながら原子力開発をアピールするのでしょうか?
その答えは、昨年9月の、自民党の石破茂氏の日本の原発に対する発言から類推できます。
http://www.news-postseven.com/archives/20110921_31301.html
(引用開始)
私は核兵器を持つべきだとは思っていませんが、原発を維持するということは、核兵器を作ろうと思えば一定期間のうちに作れるという「核の潜在的抑止力」になっていると思っています。逆に言えば、原発をなくすということはその潜在的抑止力をも放棄することになる、という点を問いたい。
(引用終わり)
決してイランが核兵器を持つことを肯定する訳ではありませんが、イスラエルが核兵器を持っていることが公然の秘密になっている以上、それへの対抗として、イランが核兵器をいつでも製造できるとアピールすることは、防衛政策上、理解はできるところです。
これに先立ち、インド、グルジア、タイでイスラエル大使館職員を狙った爆弾攻撃が相次いで起きています。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K3R620120215
(引用開始)
[バンコク 15日 ロイター] タイの首都バンコクで14日に発生した爆弾攻撃で、同国の治安当局は15日、爆弾に使われた磁気シートが、インドのイスラエル大使館を狙った爆弾に使用されたものと同じであることが分かったと発表した。現在、その入手先を捜査中だとしている。
タイの首都バンコクでは、連続して3回の爆発が起き、警察に爆発物を投げつけようとしたイラン国籍の男が片足を失った。
また、13日にはインドとグルジアでイスラエル大使館の職員を狙った爆弾攻撃が発生しており、イスラエルはイランとイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の犯行との見方を示している。イスラエルはバンコクで起きた爆発についてもイランによるものだと主張。
一方、イラン側はいずれの事件への関与も否定している。
(引用終わり)
イランがイスラエル大使館職員を殺したとして、何の利益があるのでしょう?国際的な非難を受けるだけでしょう。しかも、3回連続で、目的を達することなく失敗するという大失態で、イスラエル側は誰も怪我すらしていない。
これ、本当にイランが行ったことでしょうか?どうもそうは思えません。
10月には、イランは米国で、駐米サウジ大使暗殺計画を持っていたと非難されました。このときも未遂で終わっています。
10/13の記事
米国で、駐米サウジ大使暗殺計画容疑でイラン特殊部隊員起訴 イランは反発
誰も死んでいないのに、イランはこういう事件を企てる国だとの印象ばかり強くなります。
実際に暗殺されているのは、複数のイランの核物理学者です。
さて、さらに気になる情報が入ってきました。
アラビア海に米空母リンカーン到着 ペルシャ湾への展開の準備整う
http://www.cnn.co.jp/world/30005340.html
(引用開始)
(CNN) 米海軍関係者によると、空母「エイブラハム・リンカーン」が19日、アラビア海に到着した。
リンカーンは先にこの海域に展開していた空母「ジョン・C・ステニス」と入れ替わる形で、先にアラビア海に到着した空母「カール・ビンソン」と合流した。
(引用終わり)
これがなぜ気になる情報か。
このような空母の交代がまた起きたら、要注意です。
空母「エイブラハム・リンカーン」は、1989年11月11日就役。
空母「カール・ビンソン」は、1982年3月13日に就役
空母「ジョン・C・ステニス」は、1995年12月9日に就役。こちらの空母の方が新しいですが、あまり差はないですね。
これに対し、空母「エンタープライズ」は1961年11月25日に就役。そろそろ退役の予定です。
この空母が、フロリダ州の東海岸でイランとの先頭を想定した軍事演習を行うということを、The Voice of Russiaが報道しています。
http://japanese.ruvr.ru/2012/02/06/65474332.html
この空母「エンタープライズ」がペルシャ湾に配備されたら危険信号だという動画がありました。
老朽化した空母をこの海域に配備し、これをイスラエルの潜水艦が秘密裏に攻撃して沈め、イランの仕業だと非難すれば、イランを攻撃する口実が出来る上に、老朽化した原子力空母を解体する費用を節約し、放射能は米国から遠く離れた地域の問題となると。
最強のテロ国家である米国とイスラエルがイランを挑発し、さらに偽旗事件まで行って戦争を開始することを怖れます。
日本政府には、冷静で平和的な対応を望みます。
こんな折、イスラエルの副首相が来日して野田首相と会談し、イランへの厳しい措置を訴えています。
野田首相は、とりあえず軍事的対応を避けるべきとの意見表明しており、ちょっとほっとしました。
(すぐに、イラン原油輸入禁止に賛成した大臣とかもいましたのでね。)
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20120216k0000m030114000c.html
(引用開始)
野田佳彦首相は15日夕、来日中のイスラエルのバラク副首相兼国防相と首相官邸で会談し、イランの核開発問題について「日本も深刻な懸念を共有し、対話と圧力のアプローチで国際社会と協調していく」と表明した。一方、イスラエルがイランへの軍事攻撃を計画しているとの見方があることを念頭に「外交的、平和的な解決が重要だ。軍事的対応は非常に危険だ」とけん制した。
これに対し、バラク副首相は会談で「国際社会が協力して、イランに厳しい措置を講じることが重要だ」と強調した。野田首相はインドなどでイスラエル外交官を狙ったとみられる爆発物事件が相次いでいることについて「こういう行為は許されることではなく、大変残念だ」と語った。【松尾良】
(引用終わり)