ストレステスト会議妨害のトホホ 原発反対派は本質的な対応策を | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

関西電力大飯原子力発電所の運転再開の判断の前提となるストレステストの結果についての議論を、俳優の山本太郎らが妨害しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120118/t10015365591000.html

(引用開始)
経済産業省の原子力安全・保安院は、18日午後4時15分から省内の会議室で専門家会議を開き、福井県にある関西電力大飯原子力発電所の3号機と4号機の運転再開の判断の前提となるストレステストの結果について、最終的な議論をする予定でした。

ところが、保安院が以前の会議で傍聴者から進行を妨げるような発言があったとして、会議室での傍聴を認めず、別室でモニターでの傍聴としたことなどから、原発の運転再開に反対する人たちなどおよそ20人が午後4時すぎから会議室に入り込んで抗議を続け、予定から2時間半以上たっても開催できない異例の事態が続いています。

会議室では、原発の運転再開に慎重な一部の専門家を除いて大半の委員が午後6時までに会議室を退出し、抗議をしている人たちがその場に残り続けています。原子力安全・保安院は今後の対応を検討しています。
(引用終わり)

会議には「原発の運転再開に慎重な一部の専門家」も参加しており、どういう議論をしているかは、モニターで公開されています。以前であれば、それこそ原発推進派だけで密室で議論し、せいぜい形式的な議事録だけ出して、はい再開OKとしたことでしょう。福島第一原発の事故を受け、当然のこととはいいえ、ずい分と大きく変わったものと思います。

しかし、ここは意見を聞く場ではなく、専門的な議論をする場です。
素人が傍聴してもちんぷんかんぷんで有意義な発言ができるはずもなく、大声で進行を妨げる妨害を行うだけでしょう。

別室で公開されていることで、専門家にとってもいい加減な発言はできないと緊張感が生まれることは大変いいことで、それで十分と考えます。

山本太郎は何をしたいのでしょうか?
原発反対派のイメージダウンを狙っている?トホホです。


(引用開始)
これについて、枝野経済産業大臣は、午後5時半すぎから急きょ記者会見し、会議が平穏な形で開催されないのは到底容認できないとして強く非難しました。

この中で、枝野経済産業大臣は「原発の再稼働は反対だなどという意見は重く受け止めなければならない。私も大臣という立場を離れ、心情的には、原発の再稼働については限りなく慎重であるべきだと主張している皆さんの信条にかなり近い」と述べました。

そのうえで、枝野大臣は「政治的に決めるプロセスなら、デモは政治行動としてありうるが、この会議は科学的、専門的な知見から安全性を議論する場であり、平穏に開催されないのは到底容認できない」と述べ、今回の抗議行動は容認できないという考えを示すとともに、会議の専門家にはいったん会場から退出してもらい、できるだけ速やかに再開したいという考えを示しました。
(引用終わり)

私が注目している政治家の枝野大臣、今回の難しい局面での発言は合格です。

こんなタイミングでの経済産業大臣は、最も難しい役職でしょう。

そもそも経済産業省は産業を発展させるのが使命なので、産業界の意向は尊重しなければならない。自分の仕事をサポートする官僚も原子力推進派が大部分なのでしょう。しかし選挙で選ばれる政治家として、しかも民主党の幹部として、今や原発反対が大多数である国民に配慮しなければ、自身および党の将来はない。

その中での今回のこの発言、ぎりぎりのところで政治的に正しい発言と思います。

原発反対派は、このような枝野大臣をうまく味方につけるように戦略を練るべきで、逆に怒らせるようでは、全く目的と手段を見失っています。


さて、ストレステストによって原発稼動再開を判断して大丈夫なのでしょうか?
それこそが最も重要なことです。

毎日新聞に「特集ワイド:ストレステストって? 原発メーカーに行ってみた」という記事があったようです。しかし、残念ながらネット上では削除されているようです。

こちらに、その記事が残っていました。(というか、こちらで知ったのですが。)
http://d.hatena.ne.jp/byebyegenpatsukyoto/20120102/1325453236

毎日新聞の記者が、ストレステストを行っている「三菱重工業」の原子力事業本部(神戸市)を取材したようです。さすがにこのご時世、三菱重工はこのような取材を受けたのですね。「約600人の社員が、通常業務と並行する形でストレステストの作業を進めている」そうです。


(引用開始)
 そもそもストレステストとは何か。

 ストレステストとは、地震や津波などのストレス(負荷)を受けた場合、どこまでなら原子炉が損傷せずに耐えられるかを調べる。欧州連合(EU)も同様のテストを行っており、今年7月、当時の菅直人首相が定期検査で停止中の原発の再稼働の前提として導入を指示した。結果を踏まえ、野田佳彦首相と3閣僚が再稼働を判断する。

 加藤室長によると地震▽津波▽全電源喪失▽海水への熱放出機能の喪失(冷却機能が失われること)--の四つのストレスについてテストする。さまざまな安全設備が正常に動いた場合と動かなかった場合に分け、あらゆるパターンをまとめたマップ(通称・イベントツリー)を作成。これに沿って、限界値をはじき出す。

 原発には立地場所によって活断層の状況などから起こりうる地震の大きさの想定(基準地震動)がある。ストレステストでは「想定される地震(津波)の〇倍まで耐えられる」のかや、全電源と熱放出機能について「喪失しても〇日間は原子炉内の核燃料を冷却できる」と具体的に示す。

 だが、調べるといっても、具体的には原発の設計図を基にコンピューターで行う計算作業だ。三菱重工業は、関西電力や四国電力などの加圧水型の原発24基を製造した。電力会社の要望に応じて優先順位を決め、複数の原発のテストを並行して行っている。

(中略)

 「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」の呼び掛け人でもある井野博満・東京大学名誉教授(金属材料学)は、ストレステストについて「結果だけでなく、結果に至る中身の公開性を高める」ことを求めている。

井野さんは、原子力安全・保安院が設置した意見聴取会の有識者委員の一人でもある。ストレステスト自体は「各原発の状態を客観的に数値化する点で意味はあり、参考情報として役に立つ」と評価する。だが「国がテスト結果だけを見て原発の再稼働を認めるなら意味がない。想定される地震よりも何倍まで余裕があれば安全なのかなんて誰にも分からない」と話す。


 07年7月の新潟県中越沖地震で被災した東電の柏崎刈羽原発では、地震による初めての原発火災が発生した。09年5月「安全確認された」と7号機が運転を再開したが、それから2年もたたず、福島第1原発の大事故。

 井野さんは「(国や専門家たちは)信頼が地に落ちているという認識がないのではないか」と厳しく批判。「不公正な安全評価をしていないか外部の人間が検証できるようにすべきだ」と指摘する。

 原発トラブルが起きると、メーカーが安全対策を策定し、専門家がそれにお墨付きを与えて国が運転再開を認める--。このパターンが繰り返されてきた。ストレステストも「原子力ムラ」の人々の間ですべてが判断される仕組みである限り、もはや信頼は得られまい。
(引用終わり)


このような視点こそが、原発反対派が目指すべき大事なポイントですね。
検討結果を議論する最終会議を感情的に妨害しているだけでは、何も得られるものはありません。

長い時間がかかるでしょうが、検討そのものの段階から原発反対派…は無理としても、公正中立で技術が分かる第三者を参加させることこそを求めないと。

個人的には、三菱重工の600人もの社員が、日本・世界から批判的に注目されている検討について、意図的にデータ捏造するとは考えにくいと思います。もしそんなことをしていれば、さすがに何人かでも勇気を持って告発する人が出てくるでしょう。同じ技術者として、皆さん、専門的な方法論に従って真面目に取り組んでいるものと想像します。

それでも視点の見落としや方法論の間違いがあれば、意味がありません。
そういう意味でも、三菱重工内での検討中から、第三者による監視を行うようにすべきと考えます。


個人的な意見は…、

電力供給の安定化のために本当に必要で、ストレステストが信用できるものであれば、運転再開を認めてもいいと考えます。逆に言うと、そうでなければ認めるべきでない。

原子力発電所は、安全性の低いもの、老朽化したものから次第に停止していき、中期的には全て停止させる。

なお、関連するニュースですが、せっかく原発の稼動軌間は40年と一旦決めたのに、20年間の延長を認めるような首尾一貫しない政策は全く認めるべきではないと考えます。