根付と携帯ストラップ | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

こんなニュースがありました。

http://www.okinawatimes.co.jp/article/20120104_28126/

(引用開始)
イギリスで江戸の「根付け」が人気

$ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)
英国のオークションで史上最高値で落札された獅子をかたどった象牙の根付け(ボナムス社提供・共同)

2012年1月4日 18時28分
 【ロンドン共同】象牙や木を彫ってつくった江戸時代の小型の装身具、根付けが海外で収集家の人気を呼んでいる。英国では、根付けをモチーフにした本がヒットしたこともあって注目され、オークションでは日本円で3千万円を超える史上最高値をつけるものも現れた。

 根付けは、薬を入れる印籠などを帯に下げる際、外れないようにひもの先端に付けた留め具で、さしずめ〝江戸時代の携帯ストラップ〟。人間やネズミなどの動物が表情豊かに彫刻されている。

 昨年11月にロンドンのボナムス社で開かれた競売では獅子をかたどった18世紀後半の象牙の根付け(約6センチ)が26万5250ポンド(約3180万円)で落札され、根付けとしては最高値を記録した。
(引用終わり)


根付とは?(Wikipediaより)

(引用開始)
根付(ねつけ、ねづけ)とは、江戸時代に煙草入れ、矢立て、印籠、小型の革製鞄(お金、食べ物、筆記用具、薬、煙草など小間物を入れた)などを紐で帯から吊るし持ち歩くときに用いた留め具。江戸時代から近代にかけての古根付と、昭和、平成の現代根付に大別される。高円宮憲仁親王が、収集家として名高かったことでも知られる。

製作国の日本以上に、日本国外では骨董的収集品として高く評価されている。

$ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

ポケットの無い男性用の着物で袋や印籠等を持ち歩く場合に、袋や印籠などに付けられた紐の他方の端に取付け、紐を帯の下に挟み、根付を帯の上方に出す事によって引っ掛って袋や印籠などが落ちないようにする目的で用いられた。大きさは数cmから、小さいものは1cm位のものもある。

材質は堅い木(黄楊、一位、黒檀等)や象牙などが多い。江戸初期のものは簡素なものが多いが、時代と共に実用性と共に装飾性も重視されるようになり、江戸時代後期に入って爆発的に流行した。この頃になると細かい彫刻が施されるようになり、根付自体が美術品として収集の対象となった。

明治時代に入ると海外から高い評価を得て主に輸出用に生産されるようになるが、この頃になると実用性は薄れ穴の空いた小型の精緻な彫刻としてより認知されるようになる。大正、昭和を経て一時衰退に向かうが、平成に入って様々な分野から技術者・多種多様な素材が参入、現代根付として再び動きが活発になりつつある。
(引用終わり)

このニュースを受けてのネット上の議論も面白いです。

http://kyodoga.blogo.jp/archives/3775272.html

そこから秀作の根付の画像をいくつか転載します。

ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)


さて、私は一昨年、仕事でロンドンに1ヶ月ほど滞在した際、週末にひとりでケンブリッジに行ってみました。ケンブリッジ大学は、ご存知のようにニュートンやダーウィン、ホーキングなどなど名だたる科学者を輩出した大学で、ケンブリッジはその大学を中心とした街です。

とても趣のある街で、天才科学者たちに思いを馳せながらのぶらぶら歩きは素晴らしかったですが、そんな中、計画もなしに立ち寄ったのが、フィッツウィリアム美術館
そこで図らずも遭遇したのが、根付のコレクションでした。

$ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

http://www.fitzmuseum.cam.ac.uk/gallery/netsuke/index.html

美しいもの、ユーモラスなもの、何でこんなものをモチーフに?と不思議なもの、さまざまな根付けが専用の部屋で展示されていました。(上記サイトでも、たくさんの根付けの画像を見ることができます。)

私自身、当時、根付についての知識はほとんどなく(海洋堂がチョコエッグのおまけで作っていたとかくらい:笑)、海外で収集されて、そのコレクションがケンブリッジ大学の美術館で展示されているなど思いもよらなかったので、ちょっと衝撃を受けました。

こういう日常的に使う小さいものに凝って、技術を洗練していって芸術にまで高めてしまうというのが日本人の特性なのでしょうね。

また、そのような趣向が今の日本人が携帯ストラップに凝るのと全く同じであり、どうもこれは日本だけの文化のようであるのも、とても面白いことだと思います。iPhoneなど、海外製のスマホなどにはストラップ用の穴がないことに多くの日本人が困っている(?)ようですね。


Wikipediaの英語の記事
http://en.wikipedia.org/wiki/Phone_strap

(引用開始)
Phone strap

A phone strap, cell phone strap, or mobile phone strap, was originally a string or loop to help the user hold their cell phone, which was invented and became popular in Japan where they are known as "keitai straps" (携帯ストラップ?) in Japanese. Phone straps have now become a cultural phenomenon beyond their basic utilities, and they may be decorated or themed with famous characters such as animation heroes or Hello Kitty. Phone straps may also have additions to add additional functions such as detecting ghosts, carrying medicine pills or mobile gardening.
(引用終わり)

(抄訳)
携帯ストラップは、もともとユーザーが携帯電話を持つのを助ける紐で、日本で発明され一般的になったものである。現在では基本的な用法を越えたひとつの文化現象になっており、よくアニメのヒーローやハローキティのような有名キャラクターの装飾が使われる。さらに携帯ストラップは、お化けを探知したり、薬を運んだり、モバイルガーデニングのような、付加的機能をもつこともある。


お化け探知?モバイルガーデニング? こんなのもあるのですね~。
http://item.rakuten.co.jp/keitaistrap/282-051031/
http://item.rakuten.co.jp/keitai/443-649953/


それはさておき、携帯ストラップを愛する現代の日本人は、根付を愛した江戸時代の日本独自の文化を継承しているのですね。

なお、根付の収集家であった故高円宮殿下の現代根付コレクションが、昨年の11月から東京国立博物館で常設展示されることになったようです。ご興味のある方はぜひ。

http://www.tnm.jp/uploads/r_press/21.pdf