FOOCOM.NET ~「科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体」のサイト | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

ブルンさんのブログで、松永和紀氏(女性)が代表になっている消費者団体のサイトがあるのを知りました。一般社団法人「Food Communication Compass」で、「科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体」とうたわれており、無料ウェブ媒体「FOOCOM.NET」を運営されています。

サイトはこちら↓
http://www.foocom.net/

「ごあいさつ」を引用します。

(引用開始)
 科学的根拠に欠ける食情報が社会には氾濫し、有用な食品や技術が疎んじられたり、注意を向けなければならないものに対する管理がおろそかになったりしています。マスメディアの流す間違った情報に踊らされた消費者は、食品業界に不信感を抱き、良心的な事業者が根拠のないクレーム対応に追われ苦境に陥っています。一部の消費者団体に迎合した政治的判断も目立つようになりました。科学的根拠が薄く公平さを欠いた施策は、消費者のほんとうの健康、安全を守れるはずもなく、健全な産業の発展も妨げかねません。

 消費者自身が現状の混乱に気付き情報を多角的に収集し、適切な情報を見分け判断し行動する力を身につける必要があります。

 そこで、私たちは新たな消費者団体を設立し、食に関する新しいメディア「FOOCOM.NET」(フーコムネット)をウェブ上に開設することにしました。企業、研究者、行政機関、ほかの消費者団体などとネットワークを構築し情報開示を要請し、食品にからむ多岐にわたる情報を、科学的根拠に基づいて分かりやすく迅速に提供します。

 書き手は各分野の厳選されたプロフェッショナル。編集長を科学ライター、松永和紀が務めます。だれもがプロでありつつも消費者です。それぞれの知識、考察力を活かし、消費者が冷静に食の問題に対処できる社会を自分たちの手で作ってゆきたい。それが私たちの願いです。
 ご協力をお願い致します。

森田満樹、松永和紀
(引用終わり)

いいですね。
2011年3月29日に設立されたそうです。今まで知りませんでしたー。

松永和紀さんは、京都大学農学部の修士課程を修了後、毎日新聞の記者になり、退職してフリーランスの科学ライターとして活躍されています。
(1963年生まれということは、私と大学時代が重なります。共通の知人がいるかも……。)

私は、安井至先生のサイトで彼女の著書『食卓の安全学』が紹介されていたことで最初に知りました。

食卓の安全学―「食品報道」のウソを見破る/松永 和紀

¥1,470
Amazon.co.jp

(※余談ですが、「安井至 松永和紀」でググったら、「原発業界御用学者リスト@ウィキ」というサイトがトップで引っかかりました。何と御用学者のレッテル貼りが好きな人が多いことでしょう。このお二人は原発業界から何の利益を得ることもないはずということは、ちょっと調べれば明白なのに。
 それから、5番目にブルンさんのブログとそれへの私へのコメント返信が引っかかってビックリ。)

それから、こちらの本も買いました。

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)/松永 和紀

¥777
Amazon.co.jp

この本では日本科学ジャーナリスト賞2008を受賞されているようです。

どちらの本も、食品の安全・危険とはどういうことか、そしてそれに関する報道の問題について、きちんとした科学に基づいて、かつたいへんわかりやすく書かれています。


そんな注目すべき松永氏のサイトですから、FOOCOM.NETも間違いなく、わかりやすくためになるサイトだと確信して読んだら、本当にその通り。


安井至先生の「市民のための環境学ガイド」は、きわめて科学的だけれども、やや一般の読者にはとっつきにくく、また詳しすぎて読む気をなくすほどの場合もあるので、僭越ながら私が要約したり、言い換えて簡単に説明したりしてご紹介することもありました。

しかし松永氏の文章は、科学的態度はもちろんのこと、さすがに元新聞記者さん、簡潔でわかりやすく書かれていますので、浅学の私などリンクしてこれをお読みください、だけで十分ですね(笑)。その基本的思想に、私はほぼ完全に共鳴していますので。


そんなことで、私がざっと読んだところで、いくつか大事なまた興味深い記事を紹介しておきます。


最新の話題は、

『食品安全委員会の新見解か、つじつま合わせか』

食品安全委員会が、放射性物質のリスク評価書の内容について説明を変えた。
これまで、「生涯における追加の累積の実効線量がおおよそ 100mSv 以上で放射線による健康影響が見出されている」とし、ワーキンググループ座長らが「外部被ばくを含めて全体の数値を出している」という趣旨の説明をしていたのに、生涯の累積実効線量100mSvはそのままで「食品による内部被ばくのみ」と言い始めた。・・・

しかし、この話は、そもそもが分かりにくいですね。
これを読む前に、先にこちらを読んだ方が問題点がわかりやすいように思います。

『食品安全委員会が出した「生涯累積線量100mSv」が抱える問題点』

問題点1 生涯累積線量100 mSvはどこから出てきたか
問題点2 閾値あり・なしの議論を、どうまとめたか
問題点3 なぜ、外部被ばくも内部被ばくも一緒に評価したか
問題点4 暫定規制値はどうなるか

7月の記事ですねー。(こちらは森田満樹という人の記事)。
これもわかりやすい。もっと早く読んでおきたかったです。


それから、放射線被曝に関する基本的な内容として

『超訳・放射能汚染1~疫学が示す「100mSv未満は大丈夫」』
『超訳・放射能汚染2~毒性学の建前は「極力低減」』

なんと、私が安井先生のサイトなどから素人ながら理解して咀嚼して書いてきたことと、全く同じようなことがここに書かれているではないですか!

例えば…、

(引用開始)
 とはいえ、「100mSv以上であれば発がんリスクがわずかに上がる」というところでは、大多数の疫学者の意見が一致している。わずかに、というのは具体的には0.5%。つまり、1000人のうち5人が、年間100mSv以上の放射線を浴びることが原因で致死性のがんになる、ということだ。

 こう書くと、「大変だ」という印象になるが、日本人の4~5割は一生のうちに1度はがんにかかり、約3割はがんで死亡するので、1000人中300人ががんで死亡するのが、年間100mSvの放射線により1000人中305人に増える、ということになる。
(引用終わり)

リスクが高まるのは「発がん」であって「がんによる死亡」ではないはずだから、1000人中300人より400~500人をベースとするべきと私は思いますが、それはさておき、書きたいことは全く同じでした。

もちろん、こちらの記事の方が信頼性もあるし、わかりやすいですね。
この記事に気づいていたら、これを紹介するだけでよかったかも、と。
(まぁ、ややほっとしたのも事実です。)


放射線と関係ない話で興味深いのがこちら。

『ヤマザキパンはなぜカビないか』

ごく微量に含まれる食品添加物よりも、カビの方がよほど発がんのリスクが高いという話。
『続』もあります。

興味の尽きない記事がたくさんあります。
私もまだ少ししか読んでいませんが、ぜひ乱読をお薦めします。


このサイトで、一点だけ心配なこと。FAQにこんなことが書かれています。

Q. 運営資金はどこから出ているのですか?
A. 設立者である森田、松永が自らお金を出しています。設立時に二人であわせて500万円を準備しました。この資金は、ウェブサイトを構築し運営する、一般社団法人を設立する、連絡先としてのレンタルオフィスを借りる、専門家コラムの原稿料をお支払する、取材をする等々、当面数か月の運営費用に充てる予定です。

Q. この先、どうやって運営していくのですか?
A. 私たちの活動を支援して頂く有料会員の皆様のお力がなければ、運営できません。この点をどうぞご理解頂き、ぜひ、会員としてご支援くださいますようお願い申し上げます。


で、会員募集はこうなっています。

<有料会員のご案内>
・ 個人会員(年会費 一口 1万円)
・ 法人会員(年会費 一口 10万円)
特典1. メールマガジンを週1回以上送信します。
特典2. 機関紙を郵送します。
特典3. 年に数回のセミナー、ワークショップの無料参加及び参加割引があります。


うーん。
大部分の情報を無料で読むことができるのに、毎年1万円払う人ってどれだけいるのだろう。
残念ながら、私は払う気にはちょっとならないなぁ。。。

このような消費者団体・サイトを運営する資金をどうやって捻出するかは、なかなか難しい問題ですねぇ。
うまく運営して長く継続されることを(お金も出さずに遠くから全く勝手ながら)願っております。