NHK『セカイでニホンGO』を見ました。
今回のテーマは「ニホン式がよみがえる!」
http://www.nhk.or.jp/nihongo/archive/index.html
『Japan as No.1』ともてはやされた時代の日本。今と何が違うのか?
当時、日本的経営の最も優れた点とされたのが「集団による知識の追求」。
QCサークルに全国の企業で採用され、従業員全員が休み時間を返上して勉強し、製品品質向上に取り組んでいた。しかし、QCサークルは次第に発表自体が目的化して形式化。
バブルがはじけた後、欧米流の経営スタイルがもてはやされ、日本的経営が全否定されたように感じられた。非正規雇用者が増加し、「全員で学ぶ」ことが難しくなってきた。
そんな中、逆に世界各国で日本的経営を実践し、営業成績を上げている会社が増えている。
「カイゼン」はもはや世界共通語になっている。
アメリカのある会社では、朝礼を行い、一人のミスをみんなで共有し、解決する、そして一人も解雇しないという日本的スタイルで業績を伸ばしている。
人こそが資源であり、従業員が自らKUFU(工夫)しはじめた。
スウェーデン 通信機器メーカー
トルコ 子供用家具
などでもKAIZENが徹底されている。
アメリカのこの会社の経営者は、会社で一番大切なことは教育することであることを日本から学んだ。
従業員を育てる文化が必要だということを初めて知った。
これは、例えば中国のような、他人をひきずりおろさないと自分が出世しないという社会では実現が困難。
こんな話の流れの中で紹介されたのが、岐阜県にある未来工業株式会社。http://www.mirai.co.jp/
電器スイッチの裏側、スイッチボックスでシェア80%を誇る。
常識はずれの経営が、世界からも注目されていると。
(1) 驚異的な新製品開発力
提案(改善提案)制度は、日本の各社が取り組んでいるが、ユニークなのは「提出しただけで500円」の制度。ある人は年間210件提出し、10万円以上獲得したが採用は1件もなし。
経費は全社で年間700万円となっている。
社長「やりたいことをやらせることで喜びを感じる。」
(2) ホウレンソウ禁止
日本的経営を象徴する「ホウレンソウ」(報告、連絡、相談)。
未来工業ではホウレンソウを禁止している。
これにより、上からの指示を待つのではなく、常に自分で考え自分で学ぶ社員が育つ。
(3)あまり働かない会社
未来工業の就業時間は、一日7時間15分。残業一切なし、ノルマなしで、休日は年間140日。
正社員100%で、定年は70歳。
社長「もらった分だけがんばらないとと思うのが日本人」
このような経営方針が評価され、未来工業は「第一回日本でいちばん大切にしたい会社」の大賞に選ばれた。http://blog.canpan.info/nihon/
番組内容的には、こんなところです。
バブル崩壊後の失われた20年とも言われる低成長の中、日本人・日本的経営のよさを見直そうというのは大切な視点と思います。
自分の仕事の関係で考えると、まず化学工場というのは、組立て型工場に比べると素人的発想による本質的カイゼンがなかなか難しいという特性があります。もちろん、それでもこのような取組みが重要であることは間違いなく、実際に工場では日々カイゼンに取り組んでおられます。
海外での工場に関わる仕事をしている私は、この地の現地従業員への技術教育だけでなく思想教育も含めて教育こそが操業の安定、利益の創出のために最も重要だとの意見で関係者と議論することもしばしばあるのですが、それに対し、文化の違いによる教育の困難さがあるだけではなく、最も困るのは、教育して技術を身につけたとたん、よりいい給料の会社に転職されるという事実だと言われています。
なかなか色々なことを考えさせてくれた番組でした。
この番組は今回が最終回でしたが、同様の企画がまたあればいいのに、と思った次第です。