明日が米国同時多発テロ事件からちょうど10年。
『米同時多発テロ10年となる9月11日にあわせたテロ計画情報でニューヨークは厳戒態勢に』
というニュースが流れています。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00207268.html
(引用開始)
アメリカのクリントン国務長官は9日、同時多発テロ10年となる9月11日にあわせたテロ計画情報について、国際テロ組織アルカイダが背後にいるとの見方を明らかにした。
アメリカ国務省のクリントン長官は「アルカイダが再びアメリカを攻撃するという、未確認ながら信ぴょう性の高い情報がある」と述べた。
同時多発テロ発生から10年を迎えるのを前に、新たに浮上したテロ計画情報。
クリントン国務長官は、国際テロ組織アルカイダが背後にいるとの見方を明らかにし、あらためて市民に警戒を呼びかけた。
これを受け、ニューヨークは厳戒態勢となった。
ニューヨーク中心部のタイムズスクエアでは検問が行われ、警察官がすべてのトラックやワゴン車の荷台をチェックしていた。
街の中心部やマンハッタン島につながる橋など、いたるところで警察が検問を行い、市内は大渋滞となった。
また、鉄道の駅などでは、大きな銃を装備した防弾チョッキ姿の警察官が、不審者の警戒にあたっている。
街の人は「(テロを警戒している?)少し、心の片隅で心配する自分もいるが、心配ばかりしてはいられない」と話した。
11日には、オバマ大統領やブッシュ前大統領も出席し、追悼式典が予定され、会場となる世界貿易センター跡地「グラウンド・ゼロ」は、物々しい雰囲気の中で10年の節目を迎えようとしている。
(引用終わり)
さて、明日がなぜ10年なのかについての疑問を、以前にも書きましたが、この機会にもう一度詳しくおさらいします。
以下、主としてWikipediaからの引用で検証します。
まず、アルカイダとはどんな組織でしょう?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%80
アルカーイダ(アラビア語: القاعدة, al-qāʿidah, 英語: Al-Qaeda)は、イスラーム主義(イスラーム原理主義)と反米・反ユダヤを標榜するスンニ派ムスリムによるイスラーム過激派国際ネットワーク。1990年代以降、主としてアメリカ合衆国を標的とした数々のテロ行為を実行したとされ、特に2001年に実行したアメリカ同時多発テロ事件は世界に大きな衝撃を与えた。
では、イスラム原理主義とは?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E5%8E%9F%E7%90%86%E4%B8%BB%E7%BE%A9
イスラム原理主義(イスラムげんりしゅぎ、Islamic fundamentalism)は、イスラム的な政治・国家・社会の実現を目指して行われる政治活動や諸運動やその思想。つまり、世俗法ではなくイスラム法(シャリーア)によって統治されるイスラム国家の建設を目指す政治活動や諸運動のこと。
一般に認識されている「イスラム原理主義」という言葉は、クルアーン(注:コーラン)の無謬を信じて厳密に字義どおり解釈し、ムハンマドの時代のウンマ(イスラム共同体)を復興させようとする運動のことである。
では、ウンマ(イスラム共同体)で使用される暦は?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%A9
イスラームにおいては、預言者ムハンマドはあくまでも人間として扱われる。それゆえ、イスラーム暦の元年もムハンマドの生年ではなく、ムスリム(イスラーム教徒)の共同体であるウンマの成立した聖遷(ヒジュラ)の年をもって元年とされる。
では、ヒジュラ暦とはどんな暦でしょう?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%A9%E6%9A%A6
ヒジュラ暦は太陰暦で、約29.5日である朔望月に合わせて、1か月が29日の小の月と30日の大の月という大小月をおおむね交互に繰り返す。従って1年はおおむね354暦日となるので、1年ごとに11日ほど太陽暦とずれる。
まとめると、イスラム原理主義、すなわちイスラム共同体を復興させようとするアルカイダは、暦としては西洋の太陽暦ではなく当然ヒジュラ暦を使うはずで、そうだとすると、ヒジュラ暦による10周年からもう既に110日ほど過ぎてしまっています!
今頃なぜ10周年でテロを起こすのか、不思議で仕方がありませんね。
で、5/12の記事にも書いたことですが、「防衛研究所紀要 (2009年12月)」という資料にこんなことが書かれています。
http://www.nids.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j12_1_2.pdf
(引用開始)
なおこの「9 月11 日前後に重要メッセージを公開する」という事実から明白なように、アルカーイダは、西暦(太陽暦で1年は365日)とイスラム暦(ヒジュラ暦。太陰暦で1 年は354日)では、西暦の方を重視する傾向が見られる。西暦2001年9月11日はヒジュラ暦1422年6 月22日だが、アルカーイダはヒジュラ暦6 月22 日に合わせて重要メッセージを公開することはない。
(引用終わり)
先月しばしば書いた「ラマダン」とはヒジュラ暦の9月のことで、この月にイスラム教の人たちは断食をします。このように、ヒジュラ暦はふつうのムスリムにとってもたいへん身近なものです。ごくごく世俗的に見えるトルコ人の日本語ガイドさんですら、ヒジュラ暦に従って断食していたそうです。
その一方で、「イスラム原理主義」を標榜しているくせにヒジュラ暦を使わずに西暦を使うアルカイダって、一体何なのでしょう??原理主義者なら、ふつうのムスリムよりはるかに強く「イスラム的な政治・国家・社会の実現を目指して」いるはずなのですが、とてもそうは思えません。
アルカイダって本当は誰なのか、強い疑問を持ちます。そして、アルカイダが危険だという情報は、今回もそうですが、いつもアメリカ政府から流れるようです。