そこで紹介されていたのが「南信州おひさまファンド」。
最初の方はあまり真面目に観ていなかったけれど、興味深い話だったので、終わってから調べてみました。
この事業を行っているのは、おひさまエネルギーファンド株式会社。
ホームページはこちら。
http://www.ohisama-fund.jp/index.html
わかりやすい説明がないかと探しましたが、こっちのインタビュー記事の方がわかりやすいかと。
http://theearthnews.jp/feature/2010/11/post-32.php?page=1
(引用開始)
原さんが南信州でおひさまファンドの事業を立ち上げたのは、2004年のこと。同年、環境省の「環境と経済の好循環のまちモデル事業(通称:まほろば事業)」の助成を受けて始まった飯田市の事業を請け負う民間企業として、NPO法人南信州おひさま進歩を母体としておひさま進歩エネルギー有限会社を同12月に設立した。翌年5月、「南信州おひさまファンド」を募集し、460名から満額の2億150万円の出資を得、飯田市内38カ所の幼稚園や保育園などの公立施設に太陽光発電設備を設置した。
南信州おひさまファンドのスキームはこうだ。おひさま進歩エネルギーが市民や法人に出資を募り、環境省の補助金と合わせて市内の教育施設や公民館などに太陽光発電システムを設置。設置施設は太陽光発電システムから電力の供給を受け、おひさま進歩エネルギーに電気料金を支払う。おひさま進歩エネルギーは利益を出資者に分配していくという流れだ。
わずか1年足らずで会社設立、ファンドの組成、募集、そして設置を成し遂げ、2007年6月には計画通り第1回現金分配を実施した。その後も、「温暖化防止おひさまファンド」(2007年~)、「おひさまファンド2009」(2009年~)と次々にファンドを募集、出資者も全国に広がり、これまで南信州一帯で設置した太陽光発電設備は162カ所。坂の上から街を見下ろすと、あちこちの屋根に太陽光発電パネルが載っているのがわかる。
(引用終わり)そして、現在4つめの企画「立山アルプス小電力発電事業」の募集中のようです。
(だんだん宣伝めいてきましたが、回し者ではないです。:汗)
http://www.ohisama-fund.jp/contents/fund_about.html
(引用開始)

おひさまファンドへの出資金は、自然エネルギー事業に直接投資され、温暖化防止に確実に貢献します。
事業から生まれた収益によって、出資者の方々に現金分配(元本返還及び利益の分配)を行います。一人では大規模で難しい自然エネルギーなどの導入や活用も、沢山の市民が共に取り組む事で、実現させていきます。
未来の子供たちのため、地球温暖化防止の事業にあなたの意思ある出資で、地球温暖化防止の事業を一緒に実現させましょう!ご一緒に取り組んで頂きますようご協力ください。
(引用終わり)
今や、地球温暖化よりも、脱原発ですね!
立山ファンドの場合、一口50万円で、目標の年間分配利回りが4%。分配金計算期間は7年だそうです。
(別に一口300万円、利回り7%、計算期間1.5年の契約もあります。)
銀行預金の金利が限りなくゼロに近い中で、4%の利回りは投資先としても悪くないですね。
だんだん怪しい儲け話になってきた???
いやいや、しかし、もちろんリスクがあります。
http://www.ohisama-fund.jp/contents/fund_risk.html
(引用開始)
A.本事業の構造に含まれるリスク (投資先事業含む)
(a) 売上の減少
ⅰ 日照、風等の自然エネルギー量の変動
ⅱ 電力会社の電気料金の変動
ⅲ 電力会社の余剰電力購入条件の変動
ⅳ グリーン電力販売額の変動
ⅴ 料金の回収不能の可能性
ⅵ 中途解約の可能性
ⅶ 省エネルギー効果保証の未達可能性
(b) 費用の増大
ⅰ 設備・工事の調達価格の変動
ⅱ 修繕・保守費用の変動
ⅲ 移設費用の発生可能性
ⅳ 燃料仕入価格の変動
(c) 収益率の減少
ⅰ 借入金の発生可能性
ⅱ 太陽光発電以外の事業規模の変動
ⅲ C号匿名組合への出資額の変動
B.一般的な不測事態リスク
(a) 突発的な多額出費または債務
ⅰ 大災害の発生可能性
ⅱ 損害賠償の発生可能性
(b) 営業者、投資先及び重要関係法人の状況悪化
ⅰ 財務の破綻及び倒産可能性
ⅱ 経営判断の悪化可能性
(c) 法規制の変化
ⅰ 業に関する法規制の変化可能性
ⅱ 税制の変更、解釈相違による更正処分可能性
C.(参考)他の一般的有価証券と比しての出資者立場の制限
(a) 資金の流動性 解約不可、売買市場のないこと
(b) 投資運用への影響力 投資や運用判断等に関与のできないこと
(引用終わり)
→いろいろありますね。だから、元本が保証されている訳ではないです。
この中でも最も大事なリスクは、ⅱ 電力会社の電気料金の変動、ⅲ 電力会社の余剰電力購入条件の変動、ですね。
ソフトバンクの孫正義社長が、再生可能エネルギー固定価格買取制度が確立されないとプロの投資家は事業を実施できないと言っていました。(この法案、修正合意されてから、まだ衆院は通っていない?)
プロの判断としては正しいと考えます。
一方で、おひさまファンドでは、一般の市民投資家から、リスクを理解してもらった上で小口の資金を集める仕組みです。分配金も今までのところ予定通り支払われているようです。
私は昨年自宅を新築したのですが、屋根には太陽光発電装置を設置しました。
晴れた日中には順調に売電しており、装置設置の補助金が出たことと太陽光発電の買取り価格が高く設定されていることで、当時のざっとした計算で確か8年くらいで元が取れることになっていました。
うちは、見た目にあまり目立たないように、瓦一体型のちょっとお高いものにしたので、資金効率は悪かったでしょう。もっと条件のそろった場所に、効率のよい装置を設置すれば、より早く投資資金が回収できると思います。
私はたまたま去年家を新築しましたが、一般の個人には、自宅に太陽光発電装置、ましてや小電力発電装置などを設置するという機会は、なかなかないです。
そこでその代わりに、条件のそろっているところに発電装置を設置するための資金を出資して、再生可能エネルギーの利用促進に協力するとともに、実利としても銀行預金よりいい利回りの利子を得る。
もちろん元本割れするリスクはあるけど、もしそうなってたとしても破産するほどのお金を失う訳でもないし、一方で環境にいいことをしたのだからと納得できるだろう、と考える人も多数いると思います。
だから、ファンドへの応募が予想以上にあるようです。
なかなかいい仕組みですね。
今後、固定価格買取制度が成立したら現在の最大のリスクがぐっと小さくなるので、このようなファンドの安全性が増して、よい投資先としてますます魅力的になって応したいと考える人が増え、追随して同様のファンドの設定をする会社も出てきて、その結果、太陽光発電や小電力水力発電などの普及が進むことになるのでは、と期待できます。
私は今まで、このような資金の流れまでは全く考えていませんでしたが、気づいてみるととても面白くて大切なことですね。