再生エネルギー法案について、与野党修正協議で合意が得られました。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110812ddm005010076000c.html
(引用開始)
再生エネ法案:修正合意 電力買い取り、第三者機関の意見尊重 具体策先送り
◇企業、家庭の負担減
太陽光などで事業者が発電した電力の全量買い取りを電力大手に義務づけることを柱とした「再生可能エネルギー固定価格買い取り法案」を巡る与野党修正協議は、最大の焦点だった電力を大量に使う産業への軽減措置や、買い取り価格決定に関与する第三者機関の設置を盛り込むことで合意した。だが、実際にどの産業をどの程度軽減するかという具体策や、家庭の負担軽減策などについては結論は先送りされた。【和田憲二】
同制度は、電力大手が再生エネ事業者から電気を買い取るコストをそのまま電気料金に転嫁する。買い取り価格が高いほど事業者の投資意欲が増して発電設備の導入は進むが、電気料金の値上げを通じて企業や家庭の負担は増える構図だ。
買い取りコストの負担の仕方について、与党が出した原案ではどの産業も負担は一律だった。これに対し、野党側は「電気料金が値上げされれば、大量に電気を使う企業の海外移転が加速しかねない」と修正を要求。結局、産業を絞って、買い取りコストの転嫁による負担を軽減することを盛り込むことになった。
買い取り価格の決定プロセスも議論のポイントの一つだった。原案では、家庭や企業が太陽光で発電した電力のうち余った分を買い取る現行制度と同様、外部識者で構成する審議会「総合資源エネルギー調査会」が一般の意見を募集するなどして決める手続きを想定していた。だが、審議会の委員は経済産業相が委嘱するため、野党は「経産省による恣意(しい)的な価格決定につながる可能性がある」と主張、中立的な第三者機関の意見を尊重することで落着した。
ただ、軽減対象となる産業の具体的な線引きや軽減幅などは決まっていない。買い取り負担を一部の産業で軽減すると「他の産業にしわ寄せが行く」(海江田万里経産相)懸念もある。さらに、買い取りコストを一律負担する家庭への影響についても、低所得者ほど負担割合が増す逆進性をどうするのかなど、課題は残っている。
毎日新聞 2011年8月12日 東京朝刊
(引用終わり)
ついに成立する見込みになりましたね。
企業用の電力料金を特別扱いにする件、きっと反対する勢力が出てきそうですが、私は製造業に身を置く者のひとりとして賛成です。
書かれているように、ただでさえ円高でますます競争力を失いつつある日本企業が、この上電気料金が値上げになると、日本で業務を続けることは難しくなって海外移転を余儀なくされます。
しかし、産業の線引きなど難しい問題は先送りのようです。
とにかく与野党そろって早くこの法案を通してしまって、菅首相を引きずり降ろしたいのでしょうか。
この法案の問題点として、発送電分離を考えていないことを指摘してきました。
調べたら、あの孫さんも同じことを言っていたことに気づきました。
(引用開始)
孫正義氏:買い取り上限制「本末転倒」 再生エネルギーで
ソフトバンクの孫正義社長は5日、毎日新聞のインタビューに応じ、再生可能エネルギー固定価格買い取り法案の国会審議で、買い取り額に事実上の上限を設ける議論が進んでいることに対し「頭打ちにするのは本末転倒だ」と批判、原発促進の立地交付金を再生エネ向けに振り向けるなどの普及策を求めた。また「発電事業者が送電網を持ち、高い価格で競合事業者に利用させていると競争力が失われる」と指摘し、電力大手の発電、送電部門を分離する発送電分離が必要との認識を示した。
同法案は、再生エネ事業者の電力を電力大手に買い取らせ、買い取りコストは電気料金に転嫁する。海江田万里経済産業相は、転嫁額を1キロワット時当たり0.5円(標準家庭で月約150円)以内に収める方針で、買い取り価格を安くするか、買い取る量を抑える案などを検討している模様だ。
孫社長は「10年先にコーヒー1杯分の負担だ。(安すぎると参入が進まず)“笛吹けど踊らず”になる」と述べ、買い取り価格が安すぎれば、再生エネ事業への新規参入が進まないと指摘。そのうえで「発電所の送電設備を新規事業者と電力大手のどちらが負担するかなどのルールが不透明だ」と指摘し、原発促進の交付金を再生エネ発電所の送電設備向けの補助金などに振り向けるなどの対応を求めた。
また、新規事業者が電力大手の送電網を使用する時の「託送料金」が割高で新規参入が進まないとの指摘を踏まえ、「中立的な送電会社が必要だ。送電網は電力大手から分離されないといけない」と、発送電分離を主張した。
孫社長は「脱原発」で菅直人首相と連携し、国内10カ所以上でメガソーラー(大規模太陽光発電所)などを展開する新会社の設立を検討している。脱原発をビジネスに利用する「政商」との批判もあるが、「新会社からは40年間配当を受け取らない」と反論。「自然エネルギー普及のきっかけを作るのが目的で、一日も早く本業(通信事業)に戻りたい」と述べ、送電や配電事業などへの参入には慎重な見方を示した。
(引用終わり)
この法律の実行段階では、どのような形になるのでしょうか?まだよく見えません。
よく注意しておきたいと考えます。
一方で見えてきたのは、ポスト菅の動き。
でも、本命のいない選挙になりそうですね。