福島の人々、特に子どもたちの健康被害が予想される中で、政府の無策を熱く批判されています。
私はブルンさんのブログで最初に知りました。eruさんもこの件を書かれています。
ネット環境が悪くて動画を見る(ダウンロードする)のにものすごい時間がかかる私も、遅ればせながらようやく観ました。ぜひ紹介させていただきたいと思います。
まず動画はこちらです。
どうも、削除される動きがあるようですが、別の人がまたアップしています。
こちらのリンク先には、英語字幕付きの動画があります。
画面内の"cc"ボタンを押すと、英語字幕が出てきます。
http://ex-skf.blogspot.com/2011/07/video-with-english-caption-professor.html
発表で使われたスライドがこれ。
(http://ex-skf-jp.blogspot.com/2011/07/blog-post_3055.htmlから転載。)
児玉龍彦国会発表詳細
View more presentations from Akihiko Kodama
全文をテキスト化したものはこちらにあります。
http://news.ameba.jp/20110730-33/
ここからいくつか私が重要と思ったポイントを抜き出して、ちょっと私なりの考えを書きます。
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総量が非常に膨大にありますと、これは粒子です。粒子の拡散は、非線形という科学になりまして、我々の流体力学の計算でも最も難しいことになりますが、核燃料というのは要するに砂粒みたいなものが合成樹脂みたいな物の中に埋め込まれています。これがメルトダウンして放出するとなると細かい粒子が沢山放出されるようになります。
そうしたものが出てまいりますと、どういうことが起こるかというのが、今回の稲藁の問題です。例えば、
岩手の藤原町では稲藁 57000ベクレル/kg
宮城県の大崎 17000ベクレル/kg
南相馬市 10万6千ベクレル/kg
白河市 97000ベクレル/kg
岩手 64000ベクレル/kg
ということで、この数値というのは決して同心円上にはいかない。どこでどういうふうに落ちているかは、その時の天候、それから、その物質が例えば水を吸い上げたかどうか。
(----ちょっと飛ばして----)
南相馬でも起こっている事は全くそうでして、20キロ30キロという分け方が全然意味がなくて、その幼稚園ごとに細かく測っていかないと全然ダメです。
それで現在20キロから30キロ圏にバスをたてて1700人の子どもが行っていますが実際には避難その、南相馬で中心地区は海側で学校の7割で比較的線量は低いです。
ところが30キロ以遠の飯館村に近い方の学校にスクールバスで毎日100万円かけて子どもが強制的に移動させられています。このような事態は一刻も早く辞めさせてください。
今その一番の障害になっているのは強制避難でないと保証しないと参議院のこの前の委員会で当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣がそういう答弁を行っていますが、これは分けて下さい。
保障問題とこの線引きの問題と子どもの問題は直ちに分けて下さい。子どもを守るために全力を尽くすことをぜひお願いします。
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微粒子が放出されたメカニズムは、(不十分ながら)昨日書きました。
飯館村が南相馬より遠くなのに汚染は激しいことは、もう誰も知っていること。
政府は緊急時の誤りを認めて、早く現実に即した対応をすべきですね。
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それからもう一つは現地でやっていますと除染というのの緊急避難的除染と恒久的除染をはっきり分けて考えていただきたい。緊急避難的除染を我々もかなりやっております。たとえばここの図表に出ておりますこの滑り台の下。滑り台の下は小さい子が手をつくところですが、この滑り台に雨水がザーッと流れてきますと毎回濃縮します。
右側と左側とズレがあって、片側に集まっていますと平均線量1μのところだと10μ以上の線量が出てきます。
それで、こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはいけません。それからこういうさまざまな苔が生えているような雨どいの下。これも実際に子どもが手をついたりしているところなのですがそういうところは、たとえば高圧洗浄機を持って行って苔を払うと2μシーベルトが0.5μシーベルトまでなります。
だけれども0.5μシーベルト以下にするのは非常に難しいです。それは建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと空間線量として1か所だけを洗っても全体をやる事は非常に難しいです。
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これは、汚染されている地域に住む人々とって、特に重要なポイントですね。
滑り台の右と左で線量が異なる。なぜそうなるかの原理は単純なことです。
まずこういうことが起きることを知ることが第一です。
知ることによって、行政がどのような検査と対策をすべきかわかりますし、子どもを持つ親はどんな注意をすべきか分かるようになります。
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ですから除染を本当にやるという時にいったいどれくらいの問題がかかりどれ位のコストがかかるかという事をイタイイタイ病の一例で挙げますとカドミウム汚染地域、だいたい3000ヘクタールなんですが、そのうち1500ヘクタールまで現在除染の国費が8000億円投入されています。もし、この1000倍という事になれば、いったいどのくらいの国費の投入が必要になるのか。(編注:800兆円)
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具体的な対策費用が推定800兆円・・・。
これが原子力発電のつけとして、結局は国民の肩に乗ってきます。
原子力発電が低コストだと言った人、これからも続けると言っている人は、これに反論しなければなりません。できるでしょうか?
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私の専門は、いわゆる小渕総理の時から内閣府の抗体医薬品の責任者でして、今日では最先端研究支援というので、30億円をかけて抗体医薬品にアイソトープをつけて癌の治療にやる。すなわち人間の体の中にアイソトープを打ち込むという仕事が私の仕事ですから、内部被曝問題に関して一番必死に研究しております。そこで内部被曝がどのように起きるかという問題を説明させていただきます。
内部被曝というものの一番大きな問題は癌です。癌はDNAの切断が行われることによって起きます。ただし、ご存じのとおりDNAというのは二重らせんですから、二重らせんの時には非常に安定的です。これが、細胞分裂をする時は、二重らせんが1本になって、2倍になり4本になります。この過程のところが、物凄く危険です。そのために妊婦の胎児、それから幼い子供、成長期の増殖が盛んな細胞に対しては放射線障害は非常な危険を持ちます。
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妊婦、幼児がなぜ危険なのか、わかりやすい簡単な原理で説明されていますね。
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要するに内部被曝というのは、先程から一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうものは全く意味がありません。
I131は甲状腺に集まります。トロトラストは肝臓に集まります。セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。これらの体内の集積点をみなければ全身をいくらホールボディースキャンやっても全く意味がありません。
トロトラストの場合の、このちょっと小さい数字なんで大きい方は後で見て欲しいんですが、これは実際に、トロトラストというのは造影剤でして、1890年からドイツで用いられ、1930年ごろからは日本でも用いられましたがその後20~30年経つと肝臓癌が25%から30%に起こるという事がわかってまいりました。
最初のが出てくるまで20年というのは何故かというと最初に、このトロトラスト、アルファ線核種なんですがアルファ線は近隣の細胞を傷害します。
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この件、確かにそうです。
福島第一原発の事故が起きた最初の頃に、長瀧重信・長崎大名誉教授も同じことを言っていました。
内部被曝は、放射線核種ごとに考えないと意味がない。
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ですから私は4つの事を緊急に提案したいと思います。
第1番目に国策として食品、土壌、水を日本が持っている最新鋭のイメージングなどを用いた機器を用いてもう半導体のイメージかは簡単です。イメージ化にして流れ作業にしてシャットしていってやるということの最新鋭の機器を投入して抜本的に改善して下さい。これは今の日本の科学技術力で全く可能です。
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イメージングで放射線を測定すると聞いて、サーモグラフィーのようなものを期待して調べてみたのですが、なかなか該当するようなものは見つかりませんでした。
何とかたどりついたのが、イメージングプレートという装置。
レントゲン撮影かコピー機みたいに、対象物に光を当ててその画像を見るもののようです。
でも、ちょっとこれだと屋外の放射線量をそんなに簡単に測れないですよね・・・。
http://www.ies.or.jp/japanese/mini/mini_40b_ip.html
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2番目。緊急に子供の被爆を減少させるために新しい法律を制定して下さい。私が現在やっているのはすべて法律違反です。現在の(放射線)障害防止法では各施設で扱える放射線量、核種等は決められています。
東大の27のそのいろんなセンターを動員して現在南相馬の支援を行っていますが多くの施設はセシウムの使用権限なんか得ておりません。車で運搬するのも違反です。
しかしながら、お母さんや先生たちに高線量のものを渡してくる訳にはいきませんから今の東大の除染ではすべてのものをドラム缶に詰めて東京へ持って帰ってきております。受け入れも法律違反、全て法律違反です。
このような状態を放置しているのは国会の責任であります。全国には例えば国立大学のアイソトープセンターというのはゲルマニウムをはじめ最新鋭の機種を持っているところは沢山あります。そういうところが手足を縛られたままでどうやって国民の総力を挙げて子どもが守れるでしょうか。これは国会の完全なる怠慢であります。
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児玉先生、自ら除染の支援をされているようです。頭が下がります。
法律違反をやっていることを、堂々と国会で発言するとは。
国会議員たちも圧倒されたことでしょう。
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第3番目。国策として土壌汚染を除染する技術を民間の力を結集して下さい。これは、たとえば東レだとかクリタだとかさまざまな化学メーカー。千代田テクノルだとかアトックスというような放射線除去メーカー。それから竹中工務店なんか様々なところは放射線の除染などに対してさまざまなノウハウを持っています。
こういうものを結集して現地に直ちに除染研究センターを創って実際に何10兆円という国費がかかるのをいまだと利権がらみの公共事業になりかねない危惧を私すごく持っております。
国の財政事情を考えたらそんな余裕は一瞬もありません。どうやって除染を本当にやるか。7万人の人が自宅を離れて彷徨っている時に国会は一体何をやっているのですか。以上です。
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まさに。
放っておくと、地元の土建業者に金を落とすことを優先する国会議員や地方議員が暗躍しそうです。
そういう人たちには技術もないし、作業者の安全軽視とか、汚染廃棄物の不法投棄とか新たな問題を引き起こしかねない。
政府は、技術を持っている人たちにちゃんと任せる道筋をつけないといけないですね。
熱のこもった、たいへん大事なお話でした。
国会議員たちは、真剣に受け止めて、すぐに対応をしてほしいと考えます。
(ネット上の動画を削除しているのはどんな勢力なのでしょうか?)
最後に。
児玉教授の人となりを知ることができる余談を見つけました。
http://hisakobaab.exblog.jp/13175893/ から転載します。
児玉龍彦教授のご子息が,ツイッターに書かれたことだそうです。
すばらしいご家族であることがわかります。
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親父が厚労委員会に参考人として招致されました。東大放射線センター長として、毎週末南相馬に400km車を走らせて、自身で除染にあたったうえでの訴えです。どうか見てやってください。
俺は、この人の息子で良かった。
親父の懸命の訴えなので、見てやってほしい。
一生懸命伝えるべきことを伝えてました。
肝臓移植からようやく一年経ったお袋を置いて、毎週末南相馬まで行ってた。
ありがとうございます、父も母も、自分の身を削って世の中のために仕事をしています。
実はうちの母は聴覚障害児教育を仕事にしており、昨年大病をしたのですが今度仕事に復帰します。
親父からはいつも、勇気ということを教えられてきた。親父の立場で、公開の場でああしたことをいうのは、どれだけの勇気がいったことだろう。まずはそれをねぎらってあげたい。
父はそんなに大げさな人間ではなく、科学者としての努めを果たしているまでだと思います。それでも、いろいろな方に応援していただけるのはとてもありがたく思います。
とても多くの方から父の参考人招致について激励の言葉をいただき、感謝の言葉もありません。全ての皆さんにお返事するのが難しいほどですが、全て拝見していますし、父にも伝えます。本当にありがとうございます。
ちょうど一年前に父から肝臓移植をした母は、おかげさまでかなり体調が回復し、今度仕事にでることになりました。あの時もいろいろな方に激励をいただきました。この一年間本当にいろいろなことがありますが、家族一同支え合ってなんとかやっています。
父のスピーチを通して、どうか学者にも社会のため、人のために真摯に仕事をしている人間がいると伝わればと思っています。利権やポジションにとらわれた人間の多さに嫌気がさすこともあると思いますが、物事をよくするために行動することをどうかあきらめないでください。
少しでも被害を減らす役に立てば親父も本望と思います。
親父のスピーチを見ていただいた方に、一つだけお願いさせてください。
父は影響力のある科学者ですが、同時に病気の妻を抱えた58歳のただの男です。一人ですべてを解決できるわけではありません。
本当に状況が良くなるために、一人一人ができることがあると思います。
俺らからすると普通のおっさんだけどね、でも小さい子供たちのために、真剣にがんばってるよ。
昨日今日いただいた大変な反響を通じて、福島の原発の被害について、どれほど多くの方が納得を持っていないか、納得のいく説明がなされていないと思っているか、強く感じました。
原発の件だけでなく、この国の統治全般について、そのようなフラストレーションが溜まっている。
父は医学者として、常に真摯な人間です。訴えが多くの人に届くよう願っています。
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