九州電力 やらせメール | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

九州電力のやらせメール問題、皆さんもご存知のことでしょう。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110715k0000m040153000c.html

(引用開始)
 九州電力が14日公表した「やらせメール」問題に関する報告書は、九電が組織ぐるみで世論を操作していた実態を明らかにした。同社では以前から原発関係の説明会などで社員らを大量動員するなど「やらせ的手法」をとっていた可能性もある。同様の手法は他の電力会社にも共通しているとの指摘もあり、原子力行政が電力会社によって恣意(しい)的にゆがめられていた疑いが浮かんだ。
(中略)
 経済産業省によると原発の安全に関する住民説明会は自治体の要望を受けて行われるが、問題発覚後、要望はゼロ。同省幹部は「説明会の信頼が傷つき、電力会社全体に対する疑念も広がっている」と話し、地元の理解を促す直接的手段の一つが事実上、封じられたことへの危機感をあらわにした。
(引用終わり)

九電だけが責められていますが、この説明会自体、自治体、経済産業省、電力会社がグルになって「住民に説明して、理解は得られた」というアリバイづくりのために開催したことだろうと想像するのは容易です。

やらせメールが発覚する前の報道はこのようになっています。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/250509

(引用開始)
 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を目指し、経済産業省は26日、原発の安全対策に関する県民向け「説明番組」を同県内のケーブルテレビ(CATV)などで中継した。同省が選んだ県民7人が出演し、担当者と質疑した。終了後、古川康知事は「(県民理解に)一定の役割を果たした」と評価したが、記者会見した出演者6人は「時間が短い。説明も歯切れが悪く、納得できなかった」などと不満を述べた。

 福島第1原発事故後、原発立地自治体の住民に対する国の説明活動としては初めて。ただ、説明対象者を限定し、放送するという手法には批判もあり、運転再開に反対する市民団体が番組の会場となったCATV会社周辺で抗議活動をした。

 番組は午前10時から90分、県内の4割以上にあたる約13万世帯が加入するCATVとインターネットで中継された。県民の出演者は、国が地元の広告代理店にリストアップを依頼して決めた農業や主婦、商工団体代表や大学生など男女7人(20-60代)。同省原子力安全・保安院の黒木慎一審議官らが福島第1原発事故の拡大原因や、その後に九電が実施した緊急安全対策を説明した。

 質疑では「原発事故が収束していない中、玄海原発を早く再開すべき緊急性とは何か」「本当に電力量は足りないのか」といった声が相次いだ。番組視聴者からメールやファクスで2041通の質問や意見が届き、一部は番組内で紹介された。

 終了後の会見で、出演者6人は「時間が短く、説明も分かりにくかった」「国の説明は歯切れが悪く、安心できない」「これで(説明会を)終わりにしないでほしい」などと指摘。テレビ番組という手法には「賛成派だけで(運転再開への)シナリオを作ってしまうと誤解を招く」「公開型説明会が必要ではないか」との意見が出た。

 同省側は「安全対策をしていることは分かってもらえた気がした。透明性と科学的データに基づく情報発信を続けるしかない」と述べた。

 説明会実施を国に要請した古川知事は知事室で番組を視聴。取材に「やらせではない、いいやりとりができていたのでは」と評価した。県民や県議会の一部から要望がある県主催の大規模な説明会については「今日のやりとりを分析したいが、現時点でやるべきとは考えていない」と語った。

=2011/06/27付 西日本新聞朝刊=
(引用終わり)

・説明会を要請したのが古川知事。
・番組を準備し、出演者の県民を選び、安全性について説明したのが経済産業省。

彼らは、この「説明番組」に番組視聴者から県民の意見を公平に反映したメールやファクスが来ることを想定し、望んでいたのでしょうか?はじめから九電が組織的に動員をかけてくると知っていたのでは、さらには合意?要請?したのでは、とおおいに疑問がわきます。


一般にこのような住民説明会自体などは、
・原発誘致や稼動によって補助金が欲しい自治体首長
・先輩官僚と将来の自分の天下り先機関を儲けさせるため、原発政策を推進したい経済産業省
・原発をやれば電気料金を高くして儲けが増える仕組みのため原発を増やしたい電力会社(※)
の三者がグルになって、形式上住民の合意を得たことにするために開いている茶番劇と考えるべきでしょう。

(※ この件は小出先生の著書「原発のウソ」にありました。また別途紹介します。)

もちろん、反対派の人も参加できるのでしょうが、わざわざ自分のお金と時間をかけて足を運ぶ奇特な人の数はしれているので、電力会社が関連企業も含めて組織動員すれば、「反対意見もあったが賛成多数」との結論を出せるので、これで住民の意見も聞いたとのお墨付きをもらったことにするためにみんなグルで開催したと考えるのが自然です。

それを今回いつもの通りにやろうとしたら、さすがにこの状況で関連会社の中にもこのやり方はおかしいと考える人が出て、リークされてしまったのだと考えます。

自治体首長はさっと意見を翻し、経済産業省はずる賢いから初めから自分の尻尾を出すことはないよう(そんなことだけに頭を使って)慎重に勧めているので、九州電力だけが悪者になっている構図と推定します。
(九州電力を擁護するわけではありませんが。)


今回の事件を受けて、住民説明会についての調査を他の電力会社についてもやることになったようです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110715/t10014221631000.html

(引用開始)
玄海原発の2号機と3号機の運転再開に向けて先月、佐賀市で国主催の説明会が開かれた際、九州電力の社員が運転再開に賛成する意見を説明会に送るよう社内や子会社にメールで指示していた問題で、九州電力は14日、指示を受けて説明会にメールなどを送った関係者が141人に上るとする調査結果を国に報告しました。経済産業省は、ほかの電力会社でも、こうした問題がなかったか調査することにしたもので、対象となるのは、過去5年間に国が原子力発電への理解を求めるため開いた住民説明会に関わった北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・中国電力・四国電力の6社です。調査では、住民説明会の開催に合わせ、みずからの社員や関連会社の社員に何らかの情報提供や働きかけを行った事実があるかどうかや、今回のメール問題のように社員らに一般市民を装って特定の意見を述べるよう要請した事実の有無を調べるよう各社に求めています。経済産業省では、29日までに結果を報告するよう求めており、問題が見つかれば厳しく処分する方針です。
(引用終わり)

経済産業省と電力会社がウラで結託して、他ではそのような不正はなかったとの結論を出しかねないと思って心配になります。でも、関係者の数が多いでしょうから、その中から異議を唱える人も出てくることを懸念するはずですね。

最初は「そんな不正はなかった」と言い切っていて、後でかえって批判が大きくなった九電の二の舞にはならないようにするでしょう。

しかし、全ての電力会社でそのような不正があったことが分かったとき、経済産業省が「厳しく処分」するって何をするのでしょうかね?原発を止めるように指示するとか・・・まさか。

あまりに白々しく電力会社を処分するなどというと、今度は電力会社から経産省の指示でやったことだとかの裏話のリークが出てきたりして・・・。


とにかくやらせ事件をきっかけにして、このドロドロズブズブの原子力村の関係を清算して、独占電力会社の解体、発電・送電の分離という方向に話が進んでいけばいいなと思う次第です。