最近は東電解体・発送電分離を強く志向しているtomamですが、その線でググると、さまざまなところでその方向への動きがあることに気づきます。うれしいことです。
まず、河野太郎議員のブログ。少し前ですが、7/1の記事が秀逸です。
http://www.taro.org/2011/07/post-1041.php
(引用開始)
「東電救済で国民負担10兆円をおしつけるな」
永田町の噂では、来週の金曜日あたりから、政府が提出した東京電力救済スキーム法案の審議が始まるらしい。
これは極めておぞましい法案で、国民に負担が約10兆円余計にかかってくる。東京電力の経営陣や金融機関など、特定の利益を守るために税や電力料金という形態で、国民に負担をしわ寄せさせる。
ではどうすれば国民負担が最小化されるのか。
1.国が東電に代わって賠償金を仮払いする法案を成立させる。
2.破綻処理に伴い、被害者の賠償債権がカットされた場合に国がその分を補填する旨を立法する。
3.政策投資銀行がDIPファイナンスを実施し国がそれを保証する。
4.東京電力をプリパッケージ型の事業再生をすると決め、調整に入る。準備が整ったところで、会社更生法手続の申し立てをする。
5.法改正して使用済燃料再処理等積立金を取崩し賠償にあてる。
6.企業再生支援機構を通じて東京電力を公的管理する。
7.金融システム安定化のための公的資金の注入の用意をする。
8.電力会社及び電力労組、役員・従業員個人などによる政治家への献金等便宜供与と電力会社による広告宣伝を禁止する。
政府案だと、東電の株主は保護されてしまう。他方、破綻処理をすれば株主資本は100%減資され、再生した東京電力が売却されれば、その分は国民負担から差し引かれる。事故前日の東電の時価総額は3兆4599億円なので、ここで政府案と比べ、3兆円以上の国民負担減になる。
次に政府案は、金融機関も保護している。金融機関からの融資が約4兆円。最大で、この分が国民負担の軽減になる。
原子力環境整備促進・資金管理センターというところに、電力会社は使用済燃料再処理等積立金を2兆4491億円積み立てている。
これで約10兆円になる。政府案では、この10兆円を使わないので、誰かがその分を負担しなければならなくなる。東電以外の電力会社に負担させれば、当然、電力料金が上がる。東電が機構に返済する原資も電力料金だ。国がお金を突っ込めば、それは税金による負担だ。
つまり、政府案は、株主と金融機関という最初に責任を負うべき者の責任を追及しないので(だから当然に経営陣も居座る!)、そして、積立金にも手をつけないので、その10兆円分が国民負担になる。
あきらかに公平性を欠く。さらに、巨額の負債を抱えた東電は、やる気のないままだらだらと存続し、電力改革の邪魔になる。
全く信頼できない経営陣を守り、現場で汗を流している社員の未来を曇らせる。事業再生をすれば経営陣は引責するが、新企業として再スタートを切ることができるし、電力体制も改革することができる。
国民に本来不必要な10兆円の負担を押しつける政府案ではなく、法的破綻処理による事業再生をすべきなのだ。
(引用終わり)
東電をこのまま存続させることは、国民に大きな負担を強いる上に電力改革の邪魔になるという点、強く賛同します。これは国民にとっても東電社員にとっても、不幸なことと思います。
河野太郎議員は、自民党の中でも異端ですが、がんばってほしいものです。
一方の民主党ですが、毎日新聞が仙石官房副長官の東電解体極秘プランを報じています。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110703k0000e020001000c.html
(引用開始)
福島第1原発:東電解体極秘プラン 「発送電分離が焦点」
東京電力福島第1原発事故を受け、仙谷由人官房副長官ら政権中枢が「地域独占の電力供給のゆがみ是正と東電の体制見直しを本格検討する」と事実上の「東電解体」を目指す内部文書を作成していたことが分かった。原発事故の損害賠償で政府は6月、東電を支援する原子力損害賠償支援機構法案を閣議決定したが、文書は「あくまで応急措置」と明記。文書作成に携わった政権幹部は「東電の体制見直しは発電・送電事業の分離と原発国有化が焦点となる」と断言する。
政府が東電の賠償支援策を検討していた4月から5月上旬にかけ、東電の勝俣恒久会長は、首相官邸で賠償問題を引き受けてきた仙谷氏とひそかに会談した。勝俣氏は「東日本大震災は原子力損害賠償法が『電力会社は免責』と定める巨大な天災地変」との文書を手に免責を訴えたが、仙谷氏は一蹴し、「東電を徹底的に『仕分け』する」と迫ったという。
関係者によると、仙谷氏の構想は、東電の送電事業(送電・変電・配電)を売却し、原発は国有化して、東電は火力、水力などの発電事業だけにする。東電の総額7兆円超の電気事業資産のうち、1・6兆円程度しか残らない計算で「原発事故の背景となった官僚的体質の温床」と指摘される地域独占は崩壊する。また、送電事業の売却益を賠償費用に充てることも可能だ。
仙谷氏と勝俣氏の会談が数回にわたって行われているころ、経済産業省は「賠償を支払うため、16%の電気料金値上げが必要」とする賠償支援策の原案を作っていた。東電は国の資金支援を受けながら賠償を続ける一方、原発から火力発電に切り替える燃料費増を電気料金に上乗せして収益を確保し、国への返済原資とする内容だ。
この案では、地域独占で毎年約5兆円の電気料金収入を保証されてきた東電の収益構造は温存され、原発事故のツケは電気料金値上げという形で国民に回される。「こんな国民負担は世間に通用しない」。仙谷氏は経産省幹部をどやしつけた。
しかし、東電の11年3月期決算の発表が5月後半に控えていた。「政府の賠償支援策が固まらなければ、東電は膨大な賠償負担を背負って債務超過に陥る」との観測が広がった株式市場は大きく動揺した。
仙谷氏ら官邸側は、やむをえず経産省案をベースに、電気料金の値上げは明示せずに政府の支援策をまとめた。同時に「今回の支援策は、あくまで東電の決算を円滑に実行し、市場を動揺させない観点から応急的に措置するもの」と指摘したうえで「東電解体」を今後本格的に検討する方針を明記した内部文書を作成し、勝俣氏に「通告」した。
政府が支援策を決定した3日後の5月16日、枝野幸男官房長官が発送電分離について「選択肢として十分あり得る」、18日には菅直人首相も「議論すべきだ」と相次いで意欲を示した。
◇10年前にも浮上
発送電分離は約10年前、当時の世界的な電力自由化の流れの中で議論されたことがある。東電と蜜月関係にあった経産省で一部の「反東電派」が中心となったが、電力業界が与党だった自民党を抱き込んで強く抵抗し、議論は頓挫した。
東電の資産を洗い出すため政府が有識者を集め、6月に設置した「東電に関する経営・財務調査委員会」。発送電分離論者の松村敏弘東大教授らが名を連ね、リーダー役の仙谷氏は周辺に「自民党政権下で確立された電力会社を頂点とする幕藩体制を壊す」と産業構造の大転換に意欲を見せる。
だが、菅首相は退陣を表明しており、「東電解体」の推進力を欠く。東電にOBを役員として天下りさせてきた経産省の幹部は「東電を攻めているという政治的アピールだけ。この政権はしょせん何をやっても実現しない」と冷ややかだ。
【ことば】発送電分離
電力会社が一括して管理してきた電力事業を「発電」と「送電」の機能別に分離し、それぞれ別の事業者に行わせること。「配電」(発電所から送電された電力を家庭や企業に送り届ける機能)も分離の対象になることが多い。発電事業への新規参入組も送電網を公平な条件で使えるようになるため、電力市場の競争が活発化し、電気料金の値下げや太陽光発電など再生可能エネルギーの普及促進につながるとされる。
(引用終わり)
大事なところを太字にしたら、太字だらけになりましたが(笑)。
さすが陰の実力者の仙石氏、このような動きをしているのですね。
菅首相だけだと、経産省幹部のいうように政治的アピールだけかもしれません。
与野党に賛同する議員も多いので、仙石氏がしっかり舵を取って、政府としてこの方向に進めて、経産省幹部の鼻を明かしてほしいです。
最後にエネシフジャパン。
http://www.sustena.org/eneshif/
結果詳細はまだわかりませんが、昨日、発送電分離の勉強会が開催されたようです。
第7回勉強会 7月6日(水)17時~19時
衆議院第2議員会館多目的会議室
「電力システムと発送電分離」
諸富徹京都大学大学院教授
こちらは、呼びかけ人に、長妻昭(民主党)、加藤紘一、河野太郎、高村正彦(自民党)、吉井英勝(共産党)、福島みずほ(社民党)、川田龍平(みんなの党)、亀井静香(国民新党)、園田博之(たちあがれ日本)、田中康夫(新党日本)、荒井広幸(新党改革)等々、まさに超党派の議員が集合しています。
民主党にも自民党にも、東電擁護派と東電解体派との両方がいます。
そして、東電擁護派には元首相など大物議員が多くて、地下に原発を作るとか訳の分からないことまで唱えて、何とか東電と原子力発電の維持を目指しています。
仙石氏を中心とする政府と超党派の心ある議員の集まりで、そんな動きを何とか封じて、東電解体・国民負担の低減、そして将来につながる発送電の分離の方向に進めてほしいと強く願います。