「原発導入のシナリオ」 心理戦争と民衆運動 | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

週刊金曜日の今週号(5/20 847号)は「原発と教育」特集。

その記事のひとつ「今、破綻を来し始めた 米国による冷戦下の”心理戦略”」(池上善彦 「現代思想」前編集長)を紹介します。


まず、1994年政策のNHKのドキュメンタリー「原発導入のシナリオ-冷戦下の対日原子力戦略」が紹介されます。




文字おこし版を見つけましたので、時間のない方はこちらをどうぞ。

(引用開始)
1994年3月16日にNHKが放送した、「現代史スクープドキュメント 原発導入のシナリオ~冷戦下の対日原子力戦略~」を3回に分けて文字に起こした。

今回は第1回目。米ソが水爆開発に躍起になっていた最中の1954年、極秘におこなわれていたビキニ水爆実験で、第五福竜丸が被ばくし、放射能パニックに陥った日本。そんな中、アイゼンハワー大統領が核の平和利用と唄った「原発」を日本に作るため、「毒は毒をもって毒を制す」という題目を掲げた柴田秀利(TOP画像右)という男が暗躍し、読売新聞社主、正力松太郎(TOP画像左)とアメリカをつなげた。福島第一原発事故真っ只中の今、当時の状況と重なるところもあるのではないだろうか。

http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65716223.html

今回は第2回目。ビキニ水爆実験で被ばくした第五福竜丸の船長が放射能症で死亡。世界に先駆けて商業用原発を開発したソビエトが勢力を強める中、日本でも共産や社会主義が勢力を増した。そんな中、読売新聞の柴田と正力は、アメリカの軍需産業の社長を、核の平和利用のために民間施設団として招くことにした。

http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65716356.html

今回は第3回目(最終回)。正力松太郎が、国会議員となり、財界と政界をまとめ、核導入を促していく様子が描かれた。IAEAの問題点を指摘するなど、核の平和利用というプロジェクトが、結果的に困難であると疑問を投げかけている。

http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65733311.html
(引用終わり)


原子力発電と核兵器は切っても切れない関係にある。両者は全く同じものと言っていい。

ソヴィエトとの核兵器開発競争を背景にして、53年からアメリカは「原子力の平和利用」というスローガンを掲げ、原子力技術や濃縮ウランを各国に提供して、核による軍事ブロックを作るソ連との競争を始めた。

日本では、ヒロシマ、ナガサキへの原爆投下のあと、第五福竜丸事件も経験して「核アレルギー」と呼ばれるほど、国民の核に対する反対は強かった。

その頃は「読売争議」など労働運動の最盛期だったが、これに反核運動が加わり、大きな動きになっていった。日本の支配層は民衆の共産主義への傾倒に危機感を募らせていた。

日本に原子力発電所を建設させたいGHQは「読売新聞」を使い、メディア、教育を通して世論を誘導するプロパガンダ戦略をとった。

読売新聞の正力松太郎は、突如衆議院議員に立候補して当選し、財界に働きかけて原子力平和利用懇談会を発足させ、代表世話人に就任した。
正力は原子力が経済的に有利だと説明し、安全との説明も展開した。
また、アメリカからの平和使節団を受け入れ、その情報をメディアで流した。

これらのプロパガンダにより心理戦争は勝利し、日本で原子力発電所は建設された。

その後も東電は原子力の安全を広め、宣伝し、教育するために巨額の資金を使っていた。
こうした操作なしには原子力発電所の存続は困難である。
心理戦争はいまだに継続している。

しかし、

福島第一原発の事故以来、公的機関の発表に頼らず、個人で放射線量を独自に測ろうという動きが広まっている。状況を国家の判断によらないで主体的に把握しようとする必死の努力が始まっている。

状況把握を助けたのは、原発の危険性に警鐘を鳴らしてきた科学者、技術者だった。

われわれ一人一人が判断できる主体になろうとする動きは、「新たな民衆運動」の姿と考えられる。
心理戦争は今、破綻を来たし始めている。



というようなところです。


・核兵器は nuclear weapon、原子力発電所は nuclear power plantで、「核」と「原子力」とは日本語では使い分けていますが、英語では同じnuclearという単語ですね。

・日本への原子力発電所の導入に読売新聞がこのように大きく関与していたことは知りませんでした。
 しかし、政治を批判すべきメディアのトップが政治家になるって・・・。

・私のブログも、わずかな力ながら「新たな民衆運動」に寄与しているとしたらうれしいです。